480話 ミシュティの二人も来てくれました
ネロとワチャワチャしつつ、プティテーラの景色を目に焼き付けていく。
そうしたら、アッという間に観光案内所に着いてしまった。
「着いたね。」
「着いたな。」
後ろから追いかけて来てくれていた、シン王子たちも観光案内所に到着して、合流。
「随分、賑やかだったな。」
「楽しそうでなによりだけどね。」
さすが、舟を後ろに付けていただけあって、賑やかにしていたのは、バレたらしい。
「どうだった?プティテーラ滞在最後の水路観光は?」
「最高でした。」
ネロと賑やかに水路を渡ってきたとはいえ、ゆったりと最後に景色を見てくることが出来た。
あれ、もしかして、私たちが景色をじっくり見られるように、舟を別にしてくれたのかな。
本当はそうか分からないけど、この人たちならそういう気遣いもしてしまいそうだ。
「忘れ物はないか?」
忘れ物はないと思うけど…
「ルアルさん、もし忘れ物があったら、異世界転送装置で送ってもらってもいいですか?」
「分かりました。転送させてもらいますね。」
こういう時に一瞬で異世界間を転送できるのって、便利だよね。
「チヒロー。」
「ネロ。」
すると、観光案内所に走って近づいてくる声。
「メル?」
「ビスクート?何をやっているんだ?」
そこには、プティテーラ観光中のミシュティの二人がいた。
「あぁ、私が連絡しました。メルさんとビスクートさんは、お二人の知り合いだと聞いていましたので。」
ルアルさん…
そんな気遣いまで、してもらっていたんですね…
それに、連絡が来て、ちゃんと見送りに来てくれるメルとビスクートさんも…
「あぁ、間に合った。よかった。」
「シン王子とアルビナ公爵令嬢、お久しぶりです。我々も一緒に二人の見送りに参加させていただいて、いいですか?」
走りながらやってきた、メルとビスクートさん。
メルは息を整えているけど、ビスクートさんは、ケロッとしていて、すぐにシン王子とアルビナ令嬢の方へと顔を向ける。
「もちろんよ。見送りは多い方がいいでしょう。」
「ありがとうございます。アルビナ令嬢。」
まさか、メルたちも見送りに来てくれるとは。
「あぁあ、また、チヒロ達を見送ることになるんだね。」
「それは、仕方がないでしょ。メルたちがコスモスに来れば、私たちがメルたちをお見送りすることが出来るよ。」
確かに、見送られる側と見送る側では、全然、心持ちが違うことを、アスガルさんをコスモスに見送った時に知ったけれど。
「見送るという感覚は、なんだか新鮮ですね。今後はこういう事が増えていくのでしょうか?」
「増えますよ、きっと。出会いが増えるだけ、増えていきます。」
ルアルさんが首を傾げながら言う姿に、メルが答えた。
さすが、観光客をたくさん見送っているだけあるわ。
「メルたちは、観光できたの?」
「うん。ナトゥラに行ってきたよ。チヒロ達が言っていたように自然が豊かだったし、迫力もすごかった。ミシュティにはない、場所だったね。」
ナトゥラは、圧巻…の一言に尽きる。
「私から言わせてもらうと、ミシュティもプティテーラも両方凄いから…」
ミシュティのお菓子の建造物も、生きるお菓子たちも。
「いい勉強になったよ。異世界ってやっぱり楽しいね。」
今まで見たことのない世界が広がっているもんね。
私も異世界旅行が大好きだな。
「あ、そうだ。メル、これあげる。」
「なに?」
「この前、貰った物のお礼ということで。」
メルがプティテーラに来ていることを知って、めちゃくちゃ時間をかけて作った物。
ネロにも怒られながら、作ったんだから。
「じゃあ、メル。ビスクートさん。また会いましょう。」
「またな。」
メルには、あげ逃げになってしまうけれど、それはしょうがないということで。
私とネロは、再び、シン王子たちに顔を向けた。
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