5話 美しいものを見ると言語がおかしくなるのは、ホントらしい
案内されたのは、天まで貫くビルの入り口。
私の様子をうかがうことなく、ビルの中にどんどん入ってく猫に若干イラっとする。
別に猫ちゃんが悪いわけではないんだけども。
やっと私のほうを見たかと思うと、目の前の円に腕を向けた。
「円に入れ」
よく分からないが、言われた通り円の中に入ると、床になんかの絵が出てきて光りだした。
正直、急に光るのは、もう勘弁してほしい。
「着いたぞ。大丈夫か?」
へたり込む私に、空飛ぶ猫が声をかけてきた。
着いたってどこに?
目の前にはガラスでできた扉があり、入り口には旅行先の本が置いてあった。
なんか見たことある気がすると思ったら、旅行代理店っぽい?
「「いらっしゃいませ」」
ガラス扉が開いて中から子供が二人でてきた。
えぇえぇえ、かわいいんだけど?
めっちゃ、ふわふわしてる!天使がいる!!
見た目は似ていて双子っぽい。
髪色は真っ白、金色の目をしていて身長は120センチくらい。
一人は髪の毛が緩くウェーブがかっており、右側に三つ編みをしている男の子で、もう一人は、若干髪の毛が外にはねていて、左側に三つ編みをしている男の子。
服装は白と紺のセーラー服で胸元に赤いネクタイをいている。
ショタか?ショタ天使か??
あまりに可愛い男の子の登場に見惚れていると、また扉が開き超絶美人が顔を出す。
紫ストレートロングの髪色に赤メッシュが所々に入っており、目の色は赤色。
そして何よりも特徴的なのは、その豊満な胸、腰、尻。完璧なボンッキュボンである。
こんな毒々しい髪色でこんなにエロボディなのに、なぜ清楚に見えるのだろうか。
え??意味わからん。
顔面偏差値SSレートか?ガチャだったら★5が三枚でたって感じ。
★5のカントツしている感じ。
「ちょっとネロ、駄目じゃない。ちゃんと案内してあげなくちゃ。」
「しただろっ」
猫が美人に反論しようとしたところで、猫の声が途絶える。
分からないけど、口から魂が出ていくようなそんなものが見えた気がする。
見なかったことにしようかな。
「ごめんなさいね。立てるかしら?」
猫をほっといて、私に手を差し出してくる美人さん。
この状況いいのか?猫ちゃん大丈夫?
「大丈夫?」
「だ、だ、だいじょうぶです…」
猫のほうをドン引きしながら見ていると、美人が顔を覗き込んできて驚いてしまった。
慌てて立ち上がり、にっこりと笑い返す。
絶対にひきつった。
笑顔ひきつったよ。
「そう。無事たどり着いてよかったわ。中で説明するからどうぞ」
美人さんがそういうと、双子くんたちは猫を拾い、先に中へ入っていく。
私は、戸惑いながら美人さんのほうを見ると、にっこりと笑って「どうぞ♡」と再び言ってきた。
促させるまま中に入ると、旅行とか観光とか書かれた本がたくさん並んでいて、きれいなオフィスだなと思いながら、美人さんについていく。
ついていくと、いかにも、現在修羅場迎えています。といった感じの部屋に案内された。