477話 こら、ネロ。好き勝手言わないの
「ふふ…あはははは。最後の最後まで、お前は私の顔を見て意見を主張するんだな。」
「い、意見ではありません。感謝の気持ちです。感謝は、ちゃんと顔を見て、目を見て言った方が伝わるんですよ。」
「感謝ぁ?いかにも、女王の言ったことなんて関係がない。私がお礼を言いたいから、しっかり言わせろや、みたいな顔をしておいて、感謝?」
…どんな顔ですか、それは。
なぜ、お礼を言ったら、笑われる?
「女王、俺はチヒロのその顔がよく分かるぞ。」
「ほらみろ。お前の相棒も、こう言ってるぞ?」
なんで、お礼を言ったのにここまで言われなくてはいけないんだ?
まぁ、確かに、私がお礼を言いたいから、そうしただけだけど…
そして、ネロ。
なぜ、そこで女王様の方につく?
「本当に、私を見つめる目に、このやろう、ただじゃやられないぞ…っという気持ちが入っていて面白いんだよな。素直に転がされておけば、いいものの。」
嫌だよ。
なんで、手のひらでコロコロ、コロコロと転がされなくてはいけないんだ。
「そんなことは、ありえません。」
「はいはい。そうだな。」
くうううううう…
頭を撫でられているのに、素直に喜べない。
これ、遊ばれているよね。
女王様、私で遊びだしたよね。
ネロに助けを求めるべく、ネロの方を向くと、ネロが鼻で笑った。
…なぜ、そこで笑う?
ネロを訴えたいが、頭がグルグルと回されて、ネロの方を向くこともできなくなった。
助けて…
一通り、女王様が私で遊んで、飽きたのだろうか。
その時、私は、うぷっと口元に手を当てた。
「それで、お前たちは、ここに来て何かを配っていたよな?」
ミサンガの事だろうか…?
ただ、私はしばらくライフがゼロです。
「あぁ、プティテーラで世話になった人たちに、チヒロがいた世界に伝わるミサンガという物を手作りして渡していた。なんでも、ミサンガを結ぶときに願い事をして、それが切れると願いが叶うらしい。」
ネロ、偉いぞ。
「切れると…貰いものを切るとは…それでいいのか?」
「あぁ、いいらしい。それに、願うことも何でもいいらしい。」
うんうん。
私が話している様子をしっかりと見ていたんだね。
偉いぞ、ネロ。
「その生暖かい目を止めろ。不本意すぎて、説明する気が失せるだろ?」
そして、本当に可愛げがないな。
いいじゃん、ちょっとくらい。
「リカとリオが私たちに、二人と会話をした後、見せに来てくれたんだ。確かに、あれが切れるには、時間がかかりそうな紐だったよね。」
「自分で、ナイフなどで切るのは、ダメらしい。」
まぁ、切ってもいいけど、ナイフで切ったら、簡単に切れてしまうから、意味ないんだよね。
そもそも、願い事がミサンガを付けて、切った瞬間からほいほいと叶っていったら、願い事のありがたみが無くなるでしょうが。
「そうなのか。面白い文化があるものだな。」
「チヒロがいた世界の文化は、だいたい、どれも面白い。アクセサリー、一つとっても、いろんな意味があるみたいだしな。」
「ほう、例えば、どんな?」
ネロが、そう言うと、女王様とクヴェレ殿下が興味を示す。
なんか嫌な予感が…
「腕に付けるアクセサリーを手錠、足につける物を足枷、首に付ける物を首輪に例えるらしい。」
…もうちょっと、言い方があったと思う。
「それに、指に付けるアクセサリーは、誓いを意味し、心臓を握っているという意味もある。」
いや、怖いから。
指輪を付けたら、心臓を握られるわけではないよ?
私がしゃべられないと思って、この子、好き勝手言っているな?
「それは、なんとすごいな。執念を感じるぞ。」
「アクセサリーを付けるのにも、命がかかっているんだね。」
そして、話がどんどんと拗れていく。
ちょっと、ネロ。
この話の流れで、ミサンガをこの二人にどうやって渡そうって言うの?
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