476話 女王様のおかげでした
シン王子とアルビナ令嬢と、コスモス旅行の約束をして、いったんお別れ。
「さて、最後だな。」
「こんな場所を提供してくれたんだもの。あの人たちには、ちゃんとお礼を言わないとね。」
初めは、会いたいという女王様の言葉でも、実際私たちにとっても、最後のお別れが出来て良かったわけだし。
「トリウェア女王、クヴェレ殿下。」
「あぁ、やっとここまで来たな。」
「こらこら。トリウェア?君のわがままから始まった事なんだから、二人にそんなこと言うのは、ダメだろう?」
「でも、待っていたのは本当だ。私が開いた会なのに、私が最後な訳だからな。」
あはははは…
そんなことを言わないでください…
「仕方がないだろう?トリウェアは、この中でこの二人と一番かかわりが薄いんだからさ。」
「おい。それこそ仕方がないことだろう?だったら、なんだ?私がプティテーラ中を徘徊して、この二人を追いかけても、文句は言わないということだな?」
いや、やめて欲しい。
旅行先の一番偉い人に、追い回される旅行って、どんな恐怖旅行ですか?
ホラーだろうか?
それだと、仕事どころではなく、コスモスに帰る羽目になるんですが…
「あははは。トリウェアは、面白いことを言うね。」
笑っている場合じゃない。
さっきまで、手綱を握っているような動きをしていたじゃないですか。
クヴェレ殿下と目が合うと、ニコリと微笑み返されて、どこまでが冗談なのか分からなくなってしまった。
…どうして、私が出会う王族の人たちって、こうもぶっ飛んだ人たちが多いんだろう?
もしかして、異世界の王族って、こんな感じなんだろうか?
「まぁ、お前たち二人の様子を見させてもらっていたが、なかなか愉快だった。」
「愉快?」
「あぁ。お前たち二人に寄っていく姿が特にな…ここにいる者たちは、お前たちに本当に世話になったみたいだな。私の息子たちもしかり…そして、クヴェレもそうなのだろう?」
クヴェレ殿下とは、シン王子とアルビナ令嬢の婚約発表パーティの時に、初めまして…だったんだけど、いままでもシン王子の話に登場して来ていたので、やっと会えたという感覚だったんだよね。
クヴェレ殿下に、何かした覚えなんかないけど…?
「私の話を聞いてくれただろう?」
そんな、お爺ちゃんみたいなことでいいんですか…?
「それに、リカとリオ。何よりも、シンのことに関しては世話になったんだよ。」
「それについては、お礼をしっかり貰いました。お互い様です。」
私もクヴェレ殿下について、聞きたい放題、質問攻めにさせて貰ったし。
それに、絶対に聞くことが出来ないであろう、クヴェレ殿下の恋愛についても聞くことが出来た。
なかなか恋愛に発展しなかった、恋愛トークだったけれど。
十分すぎるだろう…
「それに、今日帰る予定だったのに、昨夜押しかけて、無理な頼みもしたからね。」
「だが、俺たちも、最後にプティテーラで会った人たちに会うことが出来た。そこに関しても、俺たちの願いを叶えてくれているだろう?」
「それに、女王様のお気遣いのおかげで、一人一人とちゃんとお話しすることが出来ましたし。」
女王様が順番を決めたのであれば、二人ずつ来てくれたことも、決めてくれたことなんだろう。
人数が何人も来てしまったら、話が全然できずに、終わってしまう所だった。
二人ずつならば、しゃべりやすいし、それぞれの人たちと思い出を共有することもできる。
最初は、なんで二人ずつ?って、思っていたんだけど、めちゃくちゃ話しやすかったんだよね。
「なんのことだ?」
鼻で笑われてしまったけれど、そんなもの知らない。
「貴方のおかげで、プティテーラ旅行が最後の最後まで、楽しむことが出来ました。」
私は女王様の顔をまっすぐに見て言った。
読んでいただき、ありがとうございます!
よろしければ、
評価、ブックマーク、感想等いただけると
嬉しいです!
よろしくお願いします!