474話 異世界でも経済は回ります
「お礼の品を用意しているなんて、知らなかった。」
「これをみんなにあげていたのね。なるほど。」
そう、二人にまじまじと見られると、恥ずかしいんだけど。
そんなにじっくり見られて大丈夫かな。
ミサンガの編み目…
「ミサンガ…本当にチヒロは、いろんなものを生み出しているのね。」
「いろんな物?」
「聞いたわよ。ブラー公子と作ったボトルのこと。」
「え?なんで知っているんですか?誰から…?」
私、あのボトルのこと、誰かに言ったっけな?
お手伝いした時も、あくまでお手伝いなんだけどな?
「違うわよ。」
「リカとリオにボトルをあげたんだろ?二人が貰ったと言っていた。それで、父さんが調べて、知ったんだ。」
「クヴェレ殿下…調べたんですか?」
あ、もしかして、ブラーさんが言っていた大口の…って、ここか。
それは、大口だわ。
「いい物は、買って経済を回さないといけないからな。」
異世界に来て、経済という話を聞くとは思いませんでした。
お金が世の中に回るのは、大事だもんね。
でも、ブラーさん、ちゃんと目に留まっていましたよ。
やりましたね…と心の中で思いました。
「それで、ミサンガはどんな話があるの?」
「話?」
「ミルキーウェイも話がとても素敵だったじゃない?タナバタ伝説と言ったかしら?」
あぁ、七夕伝説のような話を期待しているのであれば、ミサンガにそのような伝承はないと思う…というか、私は知らない。
七夕伝説は、実際に私の世界にあったものだけど、ミサンガはなぁ。
それに、あくまで補助アイテムですよって、言っちゃっているしなぁ。
ここで、願いを叶えてくれる魔法のアイテムなんだよ…と言ったところで、なんか違うよね。
そういえば、ミサンガって、一つの一般的な話があるというより、渡す人によって、いろんな物語ができるよね。
好きな人にミサンガを作って、大会前にあげるとか…青春しているじゃない?
ミサンガの何がいいって、運動部でも文化部でも、気兼ねなくつけられることだよね。
手作りしたんだ…みたいなさ。
…うん、そうだよ。
「ミサンガの話は、自分たちで作るものなんですよ。」
「どういう意味なの?」
「ミサンガはですね。どんな話にもできる無限の可能性を秘めているんです。」
ネロは、何を言っているんだ?といった顔で見てきた。
「ミサンガは、結ぶときに願いを込めると、切れた時に願いが叶う…それがミサンガです。どんな願いを込めるかは、自由。だから、七夕伝説のような話はありません。」
「そうなの?」
「でも、自由だからこそ、何でも願うことが出来ます。七夕伝説は、何となく恋愛がらみのことを願った方が、叶うような…みたいな感じで、どうしても思考にとらわれてしまいます。でも、ミサンガは、何を願うのも自由。恋愛でも、仕事でも、今後の夢でも。」
願うことは、自由だしね。
「へぇ、何を願ってもいい…それもそれでいいわね。」
「ですよね。」
自由だからこそ、願えることもあるのだ。
「プティテーラの環境的に、ミサンガは人気が出そうだよな。」
「あぁ、それなら、クラト公子とブラーさんに作り方と、概要等々を渡してあるので、そのうちプティテーラでも売りに出されるんじゃないですかな?」
それに、こんなに王族や貴族の人たちが、体のどこかしらに謎の紐をつけているのに気が付いたら、社交界などで話題にもなるだろう。
そのタイミングで売り出しでもすれば、儲かると思うなぁ。
「相変わらず、手が早いな。」
「ブラーさん達が、ミサンガを解体する勢いだったので、それならば、作り方ぐらい置いていくのに…と思いまして。」
私の世界じゃ珍しい技術でもないし。
異世界に流行ったとしても、そこまで問題もないだろうし。
だって、異世界だし。
同じ世界だと、パラレルワールド的な何かで、技術を伝えることは、問題が発生するかもしれないけれど、異世界交流も盛んにおこなわれているみたいだし、大丈夫でしょ。
それに、私のいた世界には、ゲートも通じていないしね。
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