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473話 出会わなかったなんて、想像できない


「俺たちの出会いは、覚えているか?」


シン王子の問いかけに、思わず笑ってしまう。

忘れるわけがない。

全ての始まりなのだから。


「あんな強烈な出会いを忘れるわけがありません。」

「初めて会った時から、シンはめちゃめちゃだったな。」

「そうだったか?まぁ、あの時は余裕がなかったからな…」

「正直、あの時のことは、忘れて欲しいのだけれど…」


余裕がなくて、初対面の人をあれだけ巻き込めるのであれば、ある意味すごいと思う。

まぁ、アルビナ令嬢の言っていることも分かるけどね。

ド修羅場だったから。

あんな修羅場、実際目撃することがあるんだ…ってくらいの修羅場。


「その後に、私とネロがシン王子に頼まれて、アルビナ令嬢を追いかけて、そこで月の約束の話を聞いた。」


月の約束に興味を持って、そこからいろいろ調べ回って、シン王子と共にナトゥラに行った。

月の約束の探検は、死ぬ思いだったけれど、たどり着いたその先には、死ぬ思いをしてまで、その場に行った価値があると思えるほど、幻想的な場所が広がっていた。

その象徴がアルビナ令嬢のティアラにはまっている石だと思うと、苦労して見に行った甲斐があったという物だ。

そう言えば、アルビナ令嬢は、月の約束の終わりを知っているのだろうか?

あ、もっと言えば、トリウェア女王も…

チラリとシン王子の方を見ると、口元に人差し指を持って来て、シッとポーズをとる。

まぁ、私が聞いても仕方がないよね。

月の約束は、誓いの話。

シン王子とアルビナ令嬢の中で話が綺麗にまとまっているのであれば、私たちが口を出すべきじゃない。

口を出したら、また要らない物に巻き込まれるかもしれないし。

触らぬ神に祟りなしともいう。

変に突っつかない方が、身のためかもしれないな。


「チヒロとネロがいなければ、まだ、さまよっていただろうな。」

「そうしたら、私はクラト公子と結婚していたでしょうね。」


この令嬢、本当に怖いことを仰る。

そうならなくてよかったと思うよ。

クラト公子の恋心も、今じゃ、しっかり知ってしまっているし。

シン王子がアルビナ令嬢に関して、ポンコツだということも分かってしまっている。

本当にアルビナ令嬢がクラト公子と婚約なんてした日には、シン王子がどうなってしまうか分からない。

あぁ、こわ。


「そうならなくて、良かったな。なっていたら、シンは使い物にならなかっただろうな。」

「そこまで言うのか?」

「事実だろう?」


そして、シン王子に容赦がないネロは、言いたい放題である。

でも、私もそう思う。

言わないけどね?


「どれほどお礼を言っても、尽くせないな。」

「それなら、しっかり返してもらっているので、心配いりません。シン王子は、約束を守ってくれましたし。もう忘れているんですか?」

「…いや、忘れていない。」


私とネロ、シン王子との約束。

それを見届けることが出来たから、私的には、大満足。

どんなものよりも価値があると思う。

…このままだと、本当にシン王子とアルビナ令嬢とずっと話してしまう。

トリウェア女王とクヴェレ殿下の気遣いは、本当に正解でした。


「あの、プティテーラでお世話になった人たちに、お礼の品を渡しているんですけど、シン王子とアルビナ令嬢にも、お渡ししてもいいですか?」

「お礼の品?」

「あぁ、さっきから、賑やかだったのは、そのせいかしら?」


賑やか?

あぁ、跪いたの…王子様だの…

確かに、賑やかだった。

私は、頭を振って思考を追い出し、袋からシン王子とアルビナ令嬢のミサンガを取り出した。

そして、ミサンガの説明をしつつ、二人の様子を伺った。

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