469話 願いを叶える魔法使い?
「リカちゃん、リオ君。素敵なプレゼントをありがとうございます。」
お礼を伝えると、二人の顔が、また花のようにふんわりと笑う。
「それからね、私たちからもプティテーラに来て、ありがとうを伝えるために、プレゼントを渡しているんだけど、リカちゃんとリオ君は、受け取ってくれますか?」
すると、鼻のような笑顔から、少し戸惑った顔になった。
ここで、要らないと言われたら、割とへこむと思う。
「お姉さんたちから、プレゼント?」
「でも、私たちはキレイなボトルのお礼なのよ?また貰ってしまうことになっちゃうのよ?」
あらあら。
そういう所はしっかりとしているのね。
「このお礼はですね。二人に出会えて嬉しいです。出会ってくれてありがとう…という意味があるんです。」
「私たちに出会えて?」
「僕たちにありがとう?」
そう。
私は、二人に向かって、大きく頷く。
「俺たちが二人のために作った物だから、貰ってほしい。」
そして、ダメ押しのネロアタック。
すると、戸惑った感じはなくなり、興味がありますという顔に変わる。
コロコロと変わる表情は、見ていて楽しい。
鞄からミサンガを出して、今まで同様に話をする。
もちろん、出来るだけ分かりやすく、伝わりやすい言葉を選んで。
「どうですか?」
「お願い事をするの?」
「この、みさんがを結びながら、お願い事…」
「そうです。ミサンガが切れた時に、お願い事が叶うんですよ。どうですか?」
手の上に乗っているミサンガを、リカちゃんとリオ君はじっと見つめている。
そして、その様子をネロと二人で眺める。
「お姉ちゃんとネロは、もしかして魔法使い?」
「え?」
「ん?」
すると、リカちゃんから変わった言葉が飛び出した。
魔法使い??
「だって、このキレイなボトルも恋を叶えてくれるでしょ?ハートが一つになるのも魔法みたい。このボトルを見ているとね。キラキラした気持ちになるのよ。」
「うん。この、みさんがも願いを叶えてくれる…お姉さんとネロは、願いを叶える魔法使いさんなんだね。」
あぁ、そういう事か。
…えっと。
ボトルの方は、商品のキャッチコピーで、ミサンガの方は、そう言う言い伝えがあるんです…なんて言える雰囲気じゃない。
だって、二人とも私とネロのことを、願いを叶えてくれる魔法使いだと思って、めちゃくちゃキラキラした目で見てくるんだもの。
ミサンガの事だって、バルドル公爵とロゼ夫人には、願いを叶える補助アイテム位に思ってくれればいいですよ…って、言ったのに。
「確かに魔法みたいですよね…」
「魔法じゃないの?」
正直、私の中での魔法って、魔力を利用して扱うものだと認識していたから、ここに来て、純粋な願いを叶える系の魔法の話を聞くとは、思わなかったんだけど…
今、夢を壊すのって、なんか違うよね。
だからって、何でもかんでも、魔法があればオッケーという伝え方をするのも違うと思った。
「そうです。魔法みたいですよね。」
「うん。」
「でも、ですね。私の魔法は万能じゃないんです。」
「え?」
リカちゃんの悲しそうな顔。
「私の魔法は、リカちゃんとリオ君のお願いが叶うように、お手伝いする物なんです。だからですね。二人が、このミサンガや、ボトルにお願い事をしっぱなしではダメなんですよ…」
「じゃあ、どうすればいいの?」
「僕のお願いは、叶わないの?」
「なので、このミサンガやボトルのお手伝いをしてあげてくれませんか?すると、この子達も、きっとお二人のお願いを叶えてくれようとするかもしれません。私はまだまだ未熟なので、お二人がお願い事を叶えるために、この子達を助けてあげて欲しいんです。」
…これで、いけるだろうか?
要約すると、バルドル公爵達に行ったのと同じ、あくまで補助アイテムなんです…って感じなんだけど。
「お姉さんの作ったこの子達のお手伝いをすると、お願い事が叶いやすくなるってこと?」
そう。
まさに、それだ。
「なら、やる。いっぱいお願い事をして、叶えるために、この子達のお手伝いする。」
うわぁぁ…
ありがとうございます。
夢を壊さずに、済んだかな?
それと一つ修正しないといけないことが…
「あとですね。その綺麗なボトルは、私とネロの手作りではないんです。」
「そうなの?」
「はい。プティテーラでも手に入りますよ。火の街に売っているんです。」
「こんなにキレイな物を作るなんて、火の街はさすがね。」
本当に、そうだよね。
「お姉ちゃん、ネロ、ありがとう。」
「お姉さん、ネロ、大事にするね。」
リカちゃんとリオ君が手首にミサンガを付けるというので、それを手伝った。
ふう…
これで、リカちゃんとリオ君にも無事にお礼の品を渡すことが出来たわけだ。
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