464話 お次は、ナンナル王子とデウィスリ夫人
「チヒロもネロも板についていたけれど、どこかで王子様や騎士の経験でもあるの?」
「ナンナル王子。」
ルアルさんとラックさんの観光案内人コンビと別れると、今度は、本物の王子様。
「そうね。カッコが良かったわ。ぜひ、私もエスコートしてもらいたいわね。」
それから、プティテーラでの我らの先生。
「デウィスリ夫人。来ていただけて嬉しいです。」
「当たり前です。私のかわいい教え子ですもの。挨拶をさせて貰える機会を貰えることが嬉しいわ。」
「私も、デウィスリ夫人に会えて、嬉しいです。」
今度は、ナンナル王子とデウィスリ夫人。
ナンナル王子とは、ナトゥラの観光案内所で会ったことがきっかけで、一気に仲良くなれたんだよね。
シン王子と、下見を兼ねた一回目のナトゥラ探索。
その帰りに観光案内所でナンナル王子と会った。
今、考えてもあの時のナンナル王子は、嵐を運んできたと言ってもいいと思う。
シン王子とアルビナ令嬢の婚約破棄、それから、アルビナ令嬢が新たに婚約するという話を引っ提げて、現れたのだから。
あの時のナンナル王子は、お兄さんであるシン王子に嫌われたら…ってことが、気になりすぎていたけど。
可愛い小悪魔系と思いきや、すっごいブラコンなんだよね、ナンナル王子って。
あの時は、爆速号を出してもらい、セレーネギアまで特急で向かったっけ?
生命の危機を感じたこと、いまだに覚えていますからね…
その後、シン王子とアルビナ令嬢が拗れに拗れて、クラト公子を巻き込む婚約破棄騒動になった。
騒動に片足を突っ込んでいた私たちは、私の失言により、どっぷりと浸かることになった訳で…
騒動解決後に、ナンナル王子とはデウィスリ夫人の家で会った。
デウィスリ夫人とナンナル王子は、先生と生徒の関係性で、ちょっとぎくしゃくしていたイメージだったけど、婚約パーティ以降、それも取れたように感じる。
デウィスリ夫人は、私とネロに月の料理を教えてくれた。
コンジェラルチェ。
その後も、デウィスリ夫人は、私たちのサポートをやってくれた。
ブラーさんのボトルの時とかね?
デウィスリ夫人の教師としての在り方が、私は好きだった。
先生って言ってもらえたこと、嬉しかったんだよねぇ。
「本物の王子様であるナンナル王子と、王族関係者のデウィスリ夫人に言われると、ちょっと恥ずかしいですね。」
王子様の経験なんてないし、エスコートなんて無理だ。
外交パーティで、一人は心細く、エスコートしてくれよと、ネロに言ったくらいだからね。
「俺も騎士は、遠慮する。」
「そう残念。」
いやいや、無理だって。
王子様になりきれたとしても、私は本物の王子様になれないのだ。
佇まい、思考、王子様としての在り方、矜持…全てが私には無理だろう。
「王子様は、ともかくとして、何をやっていたのかは気になるわ。」
「確かに。チヒロとネロを跪かせるなんて、ルアル嬢もラックもやるよね。何やっていたの?」
あれ?
もしかして、こうやって会いに来てくれる人たち全員に同じ答えを言い続けなければいけないのか?
うーん
まぁ、仕方ないのか…
「あれはですね。私たちからお礼の品を渡していたんです。」
「お礼?それで、王子様になっていたの?」
お礼のために、王子様になった訳ではないんだけど。
「足首に結ぶために、しゃがまないとダメだったんです。王子様のために、跪いていたわけではないですよ?」
「足首に?」
「はい。」
私は、実際に見せた方が早いと思い、袋の中からミサンガを二本取り出す。
もちろん、デウィスリ夫人用とナンナル王子用。
「紐?」
「何本もの紐を一本に束ねているのね。」
そして、私は前の二組と同じように、ミサンガの説明をナンナル王子とデウィスリ夫人にした。
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