462話 あの跪きは何と言われても…
「おいおい、さっきは驚いたぞ?」
「そうね、まるで王子様がお姫様に跪いたみたい。」
「次は、ラックとルアルか。」
アピさんとファイさんの次に私たちの所に来てくれたのは、ルアルさんとラックさん。
観光案内所コンビだ。
プティテーラの入り口の観光案内所にいるルアルさん。
それから、ナトゥラの入り口にいる、ラックさん。
「来てくださったんですね。」
「それは、もちろん。だって、お二人からいち早く連絡を受けたのが私ですから。こんな重要なイベントに来ない訳がありませんよ。」
「俺もさ、散々楽しませてもらったからな。それに、シンの全く前に進む兆しがない恋愛相談ともおさらば出来たわけだし、感謝しかないよ。」
ルアルさんは、プティテーラに来て始めたあった人で、初めてお世話になった人。
お薦めの場所や、おススメの料理、それから観光客に対しての丁寧な案内。
聞きに行けば、答えてくれるそんな人。
それから、ラックさん。
ラックさんには、シン王子と共に迷惑をかけることが多々あった。
夜用気球を水浸しにしたり、爆速号を借り受けたり、シン王子を観光案内所に連れて行ったり。
…あれ?
ほとんどシン王子とのエピソードで、迷惑をかけているんだけど…
これって、シン王子が迷惑を…いや、私も乗っかっていたから同罪だろう…
「こちらこそ、お二人には大変お世話になりました。プティテーラでの快適な暮らしは、お二人がいたからこそですね。」
「そうだな。生活面や観光面に関して、あまり困った記憶がない。プティテーラには、良い観光案内人がいるな。」
うんうん。
ほんとうに、そう。
「チヒロさんとネロ君たちに、そう言ってもらえると、観光案内人としても、友人としても嬉しいですね。」
「あぁ、そうだな。」
観光客としても、友人としても、助かったんだもの。
「それで?気になったことがあるんですけど。」
「さきほど、二人が跪いていた理由はなんだよ?」
お、やっぱり聞いてきたか。
「跪いていたわけではないんですけどね…?」
「そうなんですか?でも、跪いているように見えましたよ?」
そんなに?
まぁ確かに、アピさんとファイさんの足元にしゃがみ込んではいたけれど、それは、足元にミサンガを結ぶためだし。
「チヒロ。」
ルアルさんとラックさんにもミサンガを渡す予定だし、別に隠していることでもない、
「これです。」
私は、袋の中からルアルさん用とラックさん用のミサンガを取り出した。
「これは?」
「紐ですね…」
ミサンガを目の前にして、アピさんやファイさんと同じ反応をした二人に、少し笑ってしまう。
「お世話になったお礼として、プティテーラで採れた糸を使って、作らせてもらいました。私の故郷のアクセサリーでミサンガといいます。ネロも一緒に作ってくれたんですよ。」
「俺は器用だからな。」
はいはい…
「みさんが…こちらを私たちに下さるのですか?」
「はい。貰っていただけると、嬉しいです。」
一生懸命に作ったので。
そして、間に合わせるために、急ピッチで頑張ったので…
「嬉しいです。」
「まさかお礼の品を貰えるとは…」
喜んでくれているみたいで良かった。
「あの、アクセサリーと言っていましたが、どのように使うものなのですか?」
あぶね…
用途を伝え忘れていた。
これじゃあ、何か分からない物を貰ったということになってしまう。
これで、良く喜んでくれたな…
二人とも。
「この紐を手首や足首に結ぶんです。結ぶときにお願い事をする。そして、これが切れた時に願い事が叶うと言われています。なので、ルアルさんとラックさんも、もし身に着けていただけるなら、願い事をしながら結んでみてください。」
アピさんとファイさんの時は、流れで結んでしまったけど、ミサンガって形式上、ずっと外さないから、自分がいいと思ったところに結んでもらわないと、多分邪魔になると思うんだよね。
ルアルさんは、月の一族でラックさんも、そういうパーティに駆り出されることがあるだろうから、体のどこかに身につけることは難しいかもしれないな。
「それで、さっきの跪き…」
「あの時は、足首に、この、みさんがを結んでいたという事か。」
ちゃんと意味があるしゃがみこみですよ。
じゃないとセクハラになってしまうからね。
ルアルさんとラックさんは、何かを考えているようだったが、それが終わると私とネロの方を向いてニヤリと笑った。
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