459話 ネロの食い気は無限大?
「そう言えば、女王様の話を聞く限り、女王様のイタズラは、みんな食らったんですよね。」
「あぁ、そうだな。俺が生まれる前は、バルドル公爵と父は、良いターゲットだったらしい。」
バルドル公爵が、良いターゲットというのは、何となくわかる気がする。
なんかさ、真面目がゆえに、揶揄い甲斐があるのだろう。
多分、女王様とバルドル公爵が仲の良い関係ならば。
「アルビナ令嬢は、面白い反応が返って来ないと、言っていましたが。」
「あぁ。アルビナは、手に乗ったカエルを見て、にっこりと微笑みカエルが逃げ出すからな。」
え?
カエルが逃げ出すほどの微笑みって何?
怖いような…でも見てみたいような。
「他にも、クラトはいい玩具になりそうだったが、あの立ち回りの良さで、回避するという方法をとったな。」
クラト公子も揶揄い甲斐がありそうだもんね。
なんか、分かるわ…
「じゃあ、ロゼ夫人は?」
「イタズラ仲間。」
それも納得。
女王様とロゼ夫人が組んで、バルドル公爵にいたずらを仕掛けるイメージが想像できるよ。
「じゃあ、ナンナル王子は?」
「ナンナルも俺と一緒。母の振る舞いに慣れてしまっているから、母の望むような驚く反応は出来ないんだよな。あまりにも反応が面白くなかったのか、俺とナンナルは母からダメ出しを貰ったことがある。」
そんな滅茶苦茶な…
「まぁ、母いわく、父譲りらしい。父もそこまで面白い反応をしたことがないらしいから。」
「へぇ、でも、女王様はクヴェレ殿下と結婚されたんですもんね。」
「それとこれとは、別問題なんだろう。」
それもそうか。
「それで何だが、チヒロとネロに頼みがあってな。」
「頼みですか?」
「なんだ?」
言いよどむシン王子に、何か余程の頼みごとなのかと、緊張する。
「あのだな。」
「…はい。」
「母のあの感じを知っているのは、先ほどの部屋にいた者のみなんだ。」
え?
「だからな。これから、また母は感じが変わるかもしれないが、驚かないで欲しいと、先に伝えておこうと思ってだな。」
「私のイメージのトリウェア女王は、外交パーティの時のモノなので、驚きはしないと思いますが…えっと、秘密にした方がいいってことですよね?」
「あー…母は隠していないが、声を大にして言う必要は、周りはないと思っている…まぁ、母は隠していないから、どうなるかは分からないんだけどな。」
隠していないんだ…
初めて知った人たちは、驚くだろうね。
「教えていただいて、ありがとうございます。でも、あれ以上の驚きは、何となくですけど、ないと思いますね…はい。」
「本当に、母がすまない。」
「いえいえ。凛々しい女王様には、緊張してうまくしゃべることが出来なかったんですけど、ちょっと親近感がわきました。」
イタズラ大好き女王様なんて、可愛いじゃん。
外交パーティの時の女王様なんて、隙がなさ過ぎて、こっちも必死になって対抗したわけだし。
振り回される側の人たちは、大変だろうけど、私はあっちの女王様も話しやすくて良かったな。
「この後も話す機会があるだろう。もちろん、俺たちとも。来てくれてありがとな。」
「こちらこそ、ご招待ありがとうございました。」
「ネロも、サンキューな。」
「あぁ。それよりも、シン。うまいご飯があると聞いたが、食べられるのか?」
おい。
今、良い感じの流れだったじゃん。
それにさ、ここに来る前に、アルビナ令嬢とクラト公子を待たせて、朝ご飯をしっかり食べていたよね?
「相変わらずの、食い気だな。」
「腹が減るのは、生き物の生理的欲求だろ?」
「睡眠欲、食欲、性欲…だったか?」
人間の三大欲求じゃん。
そう言えば、無人島研修で、そんな話をしたような…?
してないような…?
ネロにも人間の三大欲求って、当てはまるんだ?
私の知る限り、ネロは睡眠欲と食欲に欲求を振り切っているよね。
性欲ってあるのかな?
ふと思いつくと、気になりだしてしまった。
でも、ネロは男の子だしな…
聞いたら、セクハラで訴えられるだろうな。
私は、災いを呼ぶであろう思考を頭の隅に追いやって、ネロとクヴェレ殿下の食欲トークに耳を傾けた。
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