457話 女王様の話はジェットコースターの様だ
人には、第一のギャップ、第二のギャップと今まで見えてなかったところが見えて、思わず胸がキュンとすることがある。
私は女王様に対して、胸がドキッとした。
心臓が飛び出るほどの冷や汗を感じて。
これは、ギャップなのか…?
「シンやアルビナ嬢はともかく、バルドルやロゼ、それにクヴェレが会ったとなれば、私が会わない訳にはいかないだろ?」
そうかな?
「あ、でも、バルドル公爵やロゼ夫人と会ったのは、図書館で偶然というのが一番初めですし、その後は、パーティで何度かお会いしたという感じなので…」
「そう、そこだ。図書館で偶然…偶然の導きによって、バルドルとロゼは、君たち二人にあった訳だろ?そもそもだ。シンとナンナルと知り合ったことも偶然なのだろう?そして、アルビナ嬢とも。それは、どんな偶然なのだ?」
いや、アルビナ令嬢は、必然でしたね。
シン王子に頼まれたので。
「まぁ、それはいい。」
いいんだ。
全然良さそうじゃなかったんだけど。
「偶然は、偶然だとしてだな。クヴェレはどうだ?クヴェレは、君たち二人に会いに行ったのだろう?私に内緒で。」
「あはは…言えるわけがないだろう。」
それはそう。
言えるわけがないでしょう。
「でも、クヴェレ殿下のことは、私たちも気になっていたので、お会いできて良かったですよ?」
「なんだと?」
なんだろう?
「クヴェレのことが気になっていた?」
え、なんでそこに引っかかるの?
まさか、憧れ的な意味に聞こえた?
「いや、あの…シン王子から、クヴェレ殿下のことを伺っていたので…」
「シンから?」
クヴェレ殿下がシン王子に月の約束の話をしたと。
だから、クヴェレ殿下と答え合わせがしたかっただけなんだ…
「なんで、クヴェレが気になって会えてよかったとなるのに、私のことは気にならない?」
そっち?
「いや、トリウェア女王のことが気にならなかったとか、そういう事ではなくてですね…」
「じゃあ、どういうことなのだ?私だけ仲間外れみたいではないか?」
本当に、仲間外れだって、女王様が言っていたんだ。
クヴェレ殿下やシン王子の冗談だと思っていた。
疑ってごめんなさい、お二人とも。
「まぁ、いいさ。最後にちゃんと会えたのだからな。外交パーティの時に会った時から、気になってはいたんだ。」
え、そんな前から、私たちのことを知ってくれていたの?
まぁ、一度あったとはいえ、たった一度挨拶をさせて貰った程度。
覚えて貰えているとは、思わなかった。
「あのお辞儀、きつかっただろう?」
あぁ、なるほど。
意地張って、お辞儀しておいて良かった…ってことね。
というか、この場合、なんて答えるのが正解なの?
「ん?」
顔面の圧力…
「きつかったです。」
口から思わずポロリと出てくる言葉に、私は顔を引きつらせた。
そして、背中をネロにつままれた。
「あははははは。だよな。きつそうにしていたもんな。」
でも、女王様は怒る様子はなく、むしろ清々しく笑っている。
この女王様、クールだと思っていたけれど、こんなに笑い上戸なの?
ただ、その笑い声に、私は居たたまれなくなる。
「すみません。」
「いいさ。面白い物を見せて貰ったからな。喧嘩でも売られたのかと思ったぞ?」
いや、女王様に対してではなく、周囲の圧に負けない様にと必死だったので、許してください…
「取りあえず、私は聞きたいことが聞けて満足だ。」
え?
聞きたいことって、あの時のお辞儀がきつかったかどうかって事?
「クヴェレやシンから話は聞いている。挨拶の場を設けるために、ささやかなパーティをと。食堂に準備させているから、そちらに移動しよう。そして、私にも君たちの話を聞かせてくれ。」
「話ですか?」
「あぁ、君たちの話を息子やクヴェレがするからな。私も話してみたいと思ったんだ。帰界の日に、来てくれて本当にありがとう。」
「私も、トリウェア女王とお話がしてみたいです。」
ここに入って来た時の緊張はすっかりと解けて、私は女王様に笑いかけた。
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