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452話 お別れは華々しく


マイペースの集団に巻き込まれつつも、ようやく帰界の準備とセレーネギアに行く準備が完了した。

朝七時にクラト公子とアルビナ令嬢が来たはずなのに、今じゃもう九時半だ。

こんな事なら、この時間に迎えに来てもらえばよかったのでは?と思ってしまった。

そうしたら、私ももう少し寝られたのでは…?

それに、この時間なら、本来、私たちが予定していた挨拶回りためにこの宿泊施設を出る時間と同じくらいである。

それに、このくらいの時間にここを出れば、火の街に着くのは、大体十時から十時半。

人様のお宅にお邪魔しても、大丈夫だと思われる時間だろう。


「このくらいの時間に来ても良かったってことだな。」

「そうね。ちょっと早く来すぎちゃったわ。」


あはははは…

はぁ…

もういい、もういいよ。

なんだろう、ちょっとだけ涙が出そうだ。


「さて、二人の準備もできたことだし、セレーネギアに向かうか。」

「そうね。さすがにこれ以上待たせると、怒られてしまいそうだし。」


普通だったら、怒られると思います。

すでに、私たちの部屋で一時間半をのんびりとお茶&ご飯で過ごしているので、アルビナ令嬢たちがいろいろと伝えているのであれば、怒られない方がおかしいです。

もちろん、私たちも、女王様を待たせているのには、変わらないんだけどね。


「忘れ物はないかしら?」


忘れ物はないはず。

自分の荷物も、そしてお礼の品、お土産も持った。


「大丈夫です。」

「そうか、なら行くか。」

「はい。」


部屋を出て、扉を閉める。

プティテーラで、ずっとお世話になったこの宿泊施設とは、一足早くお別れだな。

この部屋があったから、プティテーラでの居心地が良かったと言っても過言ではないと思う。

長い間、本当にありがとう。

すると、ネロが私の肩に乗って、部屋の方をジッと見つめている。

二人で、お部屋にお礼を言うの、恒例になりそうだな。


「お礼はできた?」

「当たり前だ。チヒロこそできたのか?言うこと言っておかないと、後で寂しいって泣くことになるぞ。」

「言いましたぁ!」


さすがにプティテーラの宿泊施設が恋しくなって、泣くことはない。

…ないはずだ。


「おーい。大丈夫か?」

「やっぱり、何か忘れものがあったのかしら?」


先に歩いていた二人は、私たちが来ないのを見て、戻ってきてくれたらしい。


「いえ、やることを、ちゃんと終わらせましたので。」

「大したことじゃない。」

「そう?ならいいのだけれど。」


私とネロの顔を見て、首を傾げつつも、また再び前を歩きだす。

ここからは、ちょっとずつお別れがスタートする。

虹の街アルカンシェル、見慣れた景色になりつつあった、この場所ともお別れ。


「ここから、舟で向かおうと思うの。」

「もちろん、VIP待遇の水馬車でな。」


おぉ、目立ちまくっている。

でも最後だし、思いっきり目立ってもいいか。


「水馬車、恥ずかしいって言わないのか?」


肩に乗っているネロが私に問いかけてくる。


「最後くらい派手でもよくない?」

「なるほどな。」

「最後くらい華々しくって言うでしょ?」


最後は派手にお別れを。


「…お前は、死ぬのか?」

「え?死なないけど。」

「…そうかよ。お前があほだってことは、よく分かった。」


肩に乗りながら、やれやれとため息をつくネロに、こめかみがピキリとくる。

華々しく散る予定は、もちろんないですけど?

ただ、派手にお別れしようとしているだけだから。


「ほら、二人とも早く。」

「今日は、置いてく訳に行かないからさ。早く来いよ。」


今日じゃなかったら、置いて行かれたのだろうか?

舟の近くで私たちを呼んでいるアルビナ令嬢とクラト公子。

この辺は、ゆっくりお別れを言う暇がなさそうだな。


「今、行きます!」


また来るよ、虹の街アルカンシェル。


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