448話 最後にみんなに会えるかも…?
「とにかく、トリウェアが君たちに会いたがっていて、そのタイミングを計っている間に、君達の帰界の予定が立ち、こうして慌てて呼びに来たという訳だ。」
おぉ、分かりやすくまとめていただいて、ありがとうございます。
「でも、トリウェア女王が会いたいって、私たちに?」
「俺や、息子たち、それにバルドルやロゼ。トリウェアの周りの人物達が君たちの話をするから、うっぷんが溜まっていたみたいなんだよね。」
どんな話をされていたのか、とても気になるんですけど…
「だから、明日、コスモスに帰る前に、トリウェアと会ってほしいんだ。」
「挨拶回りをすると言っていただろ?その場をこっちで設けるから、母の願いを叶えてくれないか?」
クヴェレ殿下とシン王子にそこまで頼まれるとさぁ。
別に帰る日を動かす訳でもなく、別に会うこと自体も嫌ではないんだけど。
失礼がないようにしないといけない訳でしょ…
「どうだろうか?」
うーん。
「頼む。もし嫌でなければ、会ってほしい。」
「あの、なぜそこまで?」
「あぁ、それはだな…母は、拗ねると少々面倒くさいんだよ。だから、俺らのためだと思って、会ってくれよ。」
拗ねる?
面倒くさい?
「プティテーラに来てくれたこと、感謝する。楽しんでくれ。」
「震えているが、大丈夫か?」
イメージが付かない…
あの凛々しい女王様が、拗ねるの?
どんなよ…?
「イメージが付かないかな?」
「…正直、全然イメージが付かないですね。」
「あれでいて、トリウェアは、可愛いところがあるんだよ。」
そうなんだぁ…
クヴェレ殿下にそう言われると、なんだか惚気を聞かされている気分になるんだけど。
「で?どう?頼みを聞いてもらえないだろうか?」
拗ねる女王様というのも興味深い物ではあるんだけど、ネロの方をチラリとみる。
目が合うと、何ともなさそうにフンと顔を逸らした。
まぁ、いいってことね。
「はい。ぜひ、私も女王様とお会いしたいです。」
「そう言ってくれて、助かる。」
「これで、何もいい報告がなく、セレーネギアに帰ったら、トリウェアが拗ねる所だった。」
そんなに言うほど、トリウェア女王の拗ね方は凄いのだろうか?
本当に想像できないんだけど…
「急に来て済まなかったね。」
「それは、別に大丈夫です。わざわざ、来ていただいてありがとうございました。」
「夜遅くに押しかけてしまったからね。」
あ、はい。
それは、とてもビックリしましたけど…
「それじゃあ、明日の朝、迎えに来るね。」
「また明日会おうな。」
そして、クヴェレ殿下とシン王子は、嵐のように帰って行った。
「あははは…」
「忙しなかったな。」
「そうだねぇ…」
それに、賑やかだったし。
あぁ、もう。
せっかく、覚悟を決めたのに、また寂しくなるじゃん。
「また、覚悟の決め直しだな。」
「ほんとだよ。」
シン王子、元気そうだったな。
「それにしても、あの女王が会いたいって言っているとシン達は言っていたが…何を言われるんだろうな?」
「それね。あの女王様が拗ねるって、一体どういう事だろうね。」
「明日会うんだろ?行ってみれば、分かるんじゃないか?明日のお楽しみってことだろ?」
いや、緊張するけどね。
「それに、お礼の品を渡すチャンスもできたんじゃないか?」
あ、そういえば、そうだ。
「直接渡すのは、ちょっと恥ずかしくない?」
「せっかく作ったんだから、渡したときの反応が見たいだろ?」
「えー…まぁ、そうだけど。」
それでも、やっぱり照れくさくない?
「それにさ。女王や王配殿下にも渡せるチャンスがあるかもしれないんだろ?」
「うわ、ほんとだ。でも、それ、ネロがやめとけって言ってなかったっけ?」
「やめとけとは、言っていないだろ?」
そうだっけ?
「まぁ、本当に渡す気でいるのか?とは言った気がするが。」
「ほぼ同義じゃない…それ?」
「でも、お前が渡そうとするなら、それでもいい気がしたんだよ。まさか女王まで、チヒロに目をかけているとはなぁ。お前どこまで行く気だよ。」
いい意味で目を付けていただいていることを願うけどね。
「だが、プティテーラでの最後の思い出としては、良いんじゃないか?」
「え?」
「会えるかどうか分からないって、寂しそうにしていただろ?良かったな。」
良かったのかな…?
でも、そうか。
最後にみんなに会えるのか。
「うん。良かったかも。」
読んでいただき、ありがとうございます!
よろしければ、
評価、ブックマーク、感想等いただけると
嬉しいです!
よろしくお願いします!