447話 伝言を残すつもりでしたが…
「明日の予定…コスモスに帰る予定ですが…?え?」
そう言うと、シン王子とクヴェレ殿下は、急に難しい顔になった。
その顔は、なんでしょう…?
「えっと、帰ると言っていたが、すぐに帰るのかい?朝一?それとも、お昼くらいなのかな?」
お?
あぁ、そういう事。
「なるほど。お世話になった人たちにご挨拶をして、帰ろうかと。まぁ、王族や貴族の方たちなので、無理な方には、伝言という形になってしまうんですけど。」
まぁ、ほとんどの方には、伝言だろう。
ルアルさんには、申し訳ないけど。
ルアルさんは、絶対に会えるとして、ラックさんや、火の街の職人さん達がメインになるだろうな。
「いつ頃帰るとは、細かく決めていないが、朝一に、この宿泊施設を出て、火の街や観光案内所を周って、そのまま帰るつもりだから、午前中には帰るだろうな。」
「挨拶回りか…」
「どうする、父さん?一挙に集めれば、時間もできると思うが。」
「そうか。ならば、予定通りだね。」
そして、目の前で謎の話し合いを始めた、クヴェレ殿下とシン王子。
ん?
「明日の帰界。夜にすることはできるかな?」
「えっと、なぜでしょう?」
出来ないこともないけど、私たち自身は、もう、やるべきこともやって、帰るだけだから、何もなければ、帰るべきなんだけど。
「あぁ。お礼をしたい。」
お礼ですか…
お礼という言葉に首を傾げ、聞きやすいシン王子の方へと目を向ける。
「…シン王子。ちなみに、何のお礼ですか…?」
「…お礼がしたいという事にしておいてくれ。」
それは、お礼じゃありませんけどね?
「あの、いまいち、状況が把握できていないんですけど、明日何かがあるという事ですか?」
「何かがあるというよりは、明日、俺たちに付き合ってほしい。」
何もないのに?
「明日、挨拶回りを除けば、コスモスに帰るだけだよね?」
「まぁ、そうですけど。」
「別れの挨拶についても、こっちが持とう。誰と話をする予定か教えておいてくれれば、私たちが責任を持って、呼んでおくよ。」
わざわざ呼ぶの?
え?
どゆこと?
「なぁ、どういう事だ?確かに、俺たちはプティテーラで世話になった人達に会って、最後の挨拶をしたいが、シンや殿下が出て来てまですることでは、ない気がするが。」
そうそう。
ネロの言う通り。
シン王子とクヴェレ殿下が、そこまでする必要はないというか…
さっきも言ったけど、無理な方たちは、申し訳ないが伝言で…という形で言葉を残させてもらうし。
「いや、小規模だけど、パーティ形式で見送らせてもらおう。」
だから、なんでそこまで?
「はぁ、トリウェアがね。君たちに会いたいと言っていてね。」
トリウェア?
えぇ?
「女王様????なぜ?」
「ははは…」
シン王子。
笑い事じゃないんですけど?
「君たち、バルドルやロゼとも交流を持ったんでしょ?」
「はい。太陽の街でお会いして、それからアルビナ令嬢関連でお話ししましたね。」
クラト公子とアルビナ令嬢の婚約発表パーティでも会ったし、なんなら、シン王子とアルビナ令嬢の婚約パーティでも会ったな。
娘大好きお父さんとお母さんって感じで面白かったのを覚えている。
「それで、シンやナンナルとも知り合いだろ?」
シン王子とナンナル王子は、友人だし。
まぁ、出会いはいいように使われたと言っても過言ではないが…
特にナンナル王子。
「そうですね。シン王子とアルビナ令嬢の婚約について、いろいろと話を聞いていました。」
「そして、私とあのパーティの時に話をしただろう?」
クヴェレ殿下にお呼び出しを食らったときね。
プティテーラの話や、クヴェレ殿下のことを知る機会になったから、良かった。
「それで、私の周りは、みんな関わっているのに、私だけ仲間外れなんてズルい…って言いだしてね。だから、会いたいとずっと言っていたんだけど、今日、君たちが明日帰ることを、クラト伝手に聞いてね。大慌てで、君たちに会いに来たという訳さ。
いや…ちょっと情報が多すぎて、いまいち、よく分からなかったんだけど。
なんで、トリウェア女王が私たちに会いたがるのだろうか?
仲間外れって、いったい何のことだ?
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