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444話 一日かけて、お礼の品づくり


「それで、帰る準備ってなんだ?荷物をまとめるだけなら、一日もいらないだろ。」

「そう。だから、帰る準備という名のお礼の品づくりを今日一日かけてやりたいと思います。」


お礼の品を送ると決めてから、空いている時間を利用してコツコツと作っては来たけど、まだまだ量が残っている。

なにせ、量が量だから。

それに渡したいって思っている人たちに下手なものは渡せない。

一つ一つ丁寧にやっていたら、いつも朝になっているんだよね。


「あぁ、確かに。終わらなかったら、やり残したことになるな。」

「そう。だから、今日は、一日、宿泊施設の中に籠って、お礼の品準備です。分かった?」

「挨拶回りをしたいと言っていなかったか?」


それもしたいけど、それは明日かなぁ。

ルアルさんから、クラト公子に伝われば、もしかしたらクラト公子が他の人にも伝えてくれるかもしれないし。

そうしたら、会いやすくなるしね。

だから、取りあえず今日やることは、この品々を完成させること。


「分かったら、取り掛かるよ。時間がないんだから。」


さぁ、どんどんやって行くぞ。


「なぁ、そう言えば、このミサンガ。」

「なに?」

「当初の予定だったら、婚約パーティの時に、渡す予定じゃなかったか?」


あぁ…

そうなんだけど。


「すっかり忘れていたよね…」

「あれだけ意気込んどいて、忘れるとか、どうなんだ?」


でも、それはネロも同罪と思う。


「婚約パーティの朝は、ちょっとバタついていたし…それに、クラト公子とブラーさんが宿泊施設まで来ちゃってたし、どっちにしろ、渡すことは難しかったと思うけどね。」


二人で、この宿泊施設に訪れたかと思えば、やることやってブラーさんは帰っちゃうし。

クラト公子は、パーティ準備を、急かすし。


「で、結局お礼の品ということになった訳だが…」

「うん。でも時間が出来た分、いろんな模様のミサンガが作れているし、オールオッケーでしょ。」

「単純だな。」


そこが取り柄ですから。


「ほら、ネロ。ちゃんと手も動かしてる?」

「当たり前だ。お前よりは進むのが早いと思うぞ。」


そう言われて、ネロの手元を見れば、本当にすいすいと編み込まれていて模様が浮かび上がるミサンガ。

なんで、こんなにも器用なのか。


「お前の髪の毛をやっているのは、誰だと思っているんだ?」

「ネロ様です。」

「分かればよろしい。」


勝てない。

器用すぎる猫に勝てる気がしない。

それからも、口を開けば言い合いをしつつ、黙々と作業を続け、お昼を注文し、お昼休憩をとりながらも、作業を続行と…

ひたすら、ミサンガを編み続けるということを、一日中やった。


「腕が痛い…」

「目が疲れた。」


さすがのネロも、一日中の手元作業にどっと疲れた様子を見せた。

私はというと、腕を上げて体をぐっと伸ばすと、肩が変な音を立てるくらいには、体にガタが来ているみたいだった。


「肩こりすごいよ…」

「チヒロ。」

「なにかな?」

「俺は糖分を欲している。」


えぇ…

はいはい、分かったよ。

エントランスに電話でもして、何か甘い物でも頼もう。


「俺は思うんだ。」

「今度は何?」

「もっと、計画的にやっていれば、こんな事にはならなかったんじゃないかって…」


それは言わないで。

コツコツやってきたつもりとはいえ、本当につもりだった。

見通しが甘かったどころではない。

でも私、夏休みの宿題とか溜めるタイプじゃないから。

やるべきことは、最初に終わらせて、後は優雅に遊ぶつもりだから…

今回、その通りにならなかっただけで。


「最終日って、本来なら仕上げとかアレンジにあてる時間だろ?なのに…今作っているなんて…と俺は作りながら思った。」

「私は、それどころじゃ無かったです。」

「ほら窓の外を見ろ。日が沈んできている…」

「でも、モノづくりを一日やるというのも、楽しかったでしょ?」

「…はぁ。まあな。」

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