434話 進化したミルキーウェイ
「チヒロ。お土産いっぱい買っちゃった。」
メルが、またニコニコとしながら、両手に袋を抱えて、私たちの方に来た。
これまた、いっぱい買ったね。
「それはもちろん、ミシュティでも大活躍だったチヒロとネロが、一緒に考えたとなれば、買わずにはいられないし、お父さんもお母さんも絶対に欲しがると思うんだよね。だから、私の分が無くならない様にたくさん買っていかないと。」
…メルのお土産の量が尋常じゃなく多くない?
配っても余る量がある気がするのは、気のせい?
「そんなにメルの分いる?」
「いるよ。だって、見て。同じもの一つもないんだよ。模様が一緒の物が一つも。」
それはそうなんだけど。
それに、ミルキーウェイって、ペア用じゃなかったっけ?
中を覗き込んでみると、ペアの物は見当たらない。
「もう一回見てくる。」
まだ買うの?
ガラスだから、持って帰るのが、大変だと思うんだけど。
ペア売りを個別に買っているってこと?
「個別売りを始めたんだって。そして、チャームを別に付けることによって、ペアにもできるらしい。ミルキーウェイの設定で、ペア売りも人気なんだが、思っていたよりも、バラで売ってほしいという人がいたらしくてね。そういう売り方も始めたんだと。」
「それがウケるのか?」
ネロと同じ意見なんだけど。
元々ペア売りだったものを、ばらで売ったら、縁起悪いとか言われない?
「それがウケてるんだよな。新たな噂と共に。」
「新たな噂?」
「あぁ、それぞれ別に架かったミルキーウェイが、出会った時に一つに重なるっていう話。」
ん?
つまり?
「個別で買ったミルキーウェイを相手も持っていた場合、別々のミルキーウェイが出会うという意味で、一つに重なり、幸せになれる…という事らしいぜ。」
あぁ…なんというか。
「物は捉えようだな。」
「そうだね…」
でも、噂が進化するほど、日数もそんなに経っていない気がするけど?
って、いうか、昨日だよね?
本格的に、大衆に広がったの。
一日にして、そんなに大市場になったの?
婚約パーティ様様だな…
「月の約束のような話が好きだからな…そういう、ミルキーウェイのような話も好きなんだろうよ。」
ここまで来ると、そういう問題では、ない気がします…
「でも、異世界の人がミルキーウェイを買ってくれて、ミルキーウェイを買った人同士で出会ったら、本当に天の川伝説だよね。」
「時空の狭間が、川か?」
「そうそう。そう思うと、個別売りもいいな。」
それで、ミルキーウェイを持っていて、お互い惹かれ合ったんだと思います…みたいな展開になったら、私は凄く萌えると思う。
「どんな奇跡だよ。」
「何を言っているかな。出会いというものは、もともと奇跡みたいなものでしょ。私とネロが出会ったのだって、奇跡だし。私がプティテーラに来たことも、そこにいる人たちと出会ったことも奇跡みたいなものだよ。」
「じゃあ、ミルキーウェイがあろうがなかろうが、奇跡じゃねーか。」
「そうとも言う。」
良いところに気が付いたな。
そこを突かれると何も言えなくなるよ?
「モノに意味を持たせたがる…なるほどね。チヒロ達の世界が少しだけ分かった気がするよ。」
「まぁ、引き寄せられる可能性は高いんじゃないですか?同じ共通点を持つ人同士は、惹かれ合いやすいって、よく言いますし。異世界の品である、ミルキーウェイを持っていたら、話は盛り上がるでしょうね。」
話題一個ゲットだ。
一番初めのデートは映画館が鉄板。
映画館だと、長時間二人っきりで話さなくてもいい。
そして、映画を見終わった後は、その映画について二人で語り合う。
話題に困らない。
とにかく、お互い探り合いからのお付き合いの場合は、話題に困るのだ。
そんな時に、ミルキーウェイネタがあれば、盛り上がること間違いなしだろうな。
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