431話 メルとアピさんを見て、親になった気分
「プティテーラに及ぼす魔力の影響がこういう風に使われているなんて、知らなかったわ。」
「ミシュティでは、お菓子の建物があるんですね。お菓子の建物を保存しておくために…それに、生きているお菓子があるなんて…凄すぎます。」
本当に仲が良くなったみたいだ。
お互いの世界のことを褒め合っては、キャッキャとはしゃいでいる二人を見て、とても微笑ましい。
「私も今度、ミシュティに行ってみたいです。」
「もちろん、ぜひ来てよ。」
ミシュティは、異世界を初めて観光する場所としては、いい場所だと思う。
存在そのものが、まず驚きだしね。
お菓子の城、噴水、道、森、花園…すべてがお菓子で出来た夢の国。
自分の中にある価値観と概念が全て覆るよね。
それでいて、五感全てで楽しめる世界。
私がはじめて行った世界がミシュティで本当に良かったと思っている。
私の世界ではありえない事象がたくさんあった世界に行くことで、私がいるのは異世界だということを実感したわけだし。
プティテーラだったら、実感しきれなかったかもしれないな。
水の都も、私の中では、イメージが全く無いわけではなかった。
ナトゥラの規模と迫力は、私の元居た世界ではありえないけど、それに似た滝がないわけではなかったしね。
「見て、チヒロ。こんなにたくさん買っちゃった。」
そして、メルは買ったものを私の方へ持って来て、見せてくれる。
なんか、親になった気分なんだけど。
「ここの糸は凄いのね。それにこの布も透き通るような薄さ。これをアピが全て作っていると思うと、感動しちゃう。それに、コロロヴァードという、糸も面白いわ。魔力が与える影響は、本当に不思議ね。興味深いわ…」
それは、同意。
魔力が与える影響力が、世界によって違うのは本当に面白い。
利用方法って、いうのかな?
「今度は、ミシュティの中でも魔力操作に精通している人をプティテーラに送らないといけないわね。」
「パーティに来ていた、パルテシオンでも魔力を利用しているんだよね?」
「そうそう。婚約パーティなのに、楽しんじゃった。」
魔力の勉強をし始めてから、魔力の使われ方に興味を持つようになった。
あぁ、師匠は今頃何をしているだろうか。
「はぁ、満足。」
「満足した?」
「うん、アピとの話はとても楽しかったし、お店もワクワクしたし。それで、次はどこに行くの?」
満足したとは?
「だって、アピは、チヒロのドレスを仕立てた子でしょ?他は、誰がやったのか、ここまで来たら気になるじゃん。もしかして、教えられない人なの?」
そんなことはないけど、むしろ本人としては、メルたちとの繋がりを所望している。
「じゃあ、もう一か所、行ってみようか。」
「そう、こなくっちゃ。」
「メルが振り回して、悪いね。」
いや、慣れてます。
メルに振り回されるのは。
「じゃあ、アピさん、ファイさん。今日はありがとうございました。全部任せちゃって、すみません。」
「いえ、私こそ、こんな機会をいただいてありがとうございました。」
「アピ。今度は、私もアピにドレスを仕立てて貰いたいわ。」
「光栄です。」
本当に仲が良くなりまして、私としては、嬉しい限りです。
それにアピさんが仕立てたドレスをメルが着る…ちょっと見てみたいかも。
私としては、お菓子の国モチーフのデザインとか、ぜひアピさんにやってほしい。
ふんわりホイップを表現した可愛いドレスとか、メルに着てほしい。
ビスクートさんは、やっぱりきっちりとした恰好が似合うと思うけど、あえて、ゆるふわカーディガンとか私は着てみて欲しい。
うわ…考えただけでも楽しいんだけど。
おねだりしたら、三人とも私の妄想を現実にすること、手伝ってくれないかな?
「顔が気持ち悪いぞ。」
そう言うネロには、フリフリのドレスを着せてあげよう…
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