430話 友人の友人はみんな友人?
「じゃあ、そちらの方は…」
「ビスクートさんは、メルのお父様の奥さんの弟…なので、メルの叔父さんにあたりますね。」
「あぁ…そうだったんですね。」
アピさん…顔が死んでます。
「でも、王族といっても、別の世界の王族という立場なので…それにチヒロの友人ならば、私もアピさんと仲良くさせていただきたいです。」
「それは、光栄なんですが…チヒロさんの交友関係って一体…?」
「それ、分かります。私もまさか、プティテーラで王族関係の人たちと仲良くなっていると思いませんでした。」
アピさんの言葉に、メルも大きく頷いている。
ちなみに言おうか?
私も思わなかったから、安心して。
こういう状況は、誰も予想できなかったってことだから。
「相変わらずのチヒロ節ってことかな?」
「あぁ、プティテーラでも振り回されまくっていたからな。」
それは、褒められていないよね?
それに、誰からに会うたびに、交友関係を驚かれてしまい、説明をするのも何度目だという感じだ。
交友関係が広がっていくことは、いいことだけどね…
「それで?アピさんのお店では、なにがおススメなのかしら?」
「あ、はい。これです。」
アピさんとメルは無事に打ち解けてくれたみたいなので、お店の案内はアピさんにお任せしよう。
私は、出してもらったお茶をすすりつつ、商品を楽しそうに見る二人と、その様子を見ているビスクートさんの様子を見る係でもしようかな。
「何、アピに全部任せているんだ?」
私がお店の端の方で、三人の様子を見ていると、ビスクートさんの元からネロが帰ってくる。
「お店のことは、アピさんに任せた方がいいって。生半可な知識の人が言うよりも、分かりやすいと思うよ。」
それに、アピさんの仕立てる布が気に入っているのだ。
アピさんに任せておいた方が、面白いことが起きるかもしれないじゃないか。
こういうのは、人が間に入れば入るほど、話がこんがらがるしね。
アピさんにとっても、いいチャンスだし、邪魔はしない方がいいだろう。
「一体どこまでのことを考えて、私にドレスとそれに付随する一式を送って来たんだろうね。」
「あの公子も、ここまでのことになるとは、思っていなかったと思うがな。」
クラト公子が私の交友関係まで読んで、あのドレスたちを送って来たんだとしたら、さすが火の街のブレーンだ。
「私たちにどこまで期待してくれていたかは知らないけど、予想以上の働きはしたんじゃない?」
「それはそうだろ。今度、あの公子にお礼を貰いに行こう。」
ネロも、シン王子同様、クラト公子には、容赦なくなってきているよね。
「この後は、ブラーの所に行くんだろ?」
「ブラーさんは、どういう対応をするかな?」
この様子だと、メルが言うに私と友人であると言うことが、思ったよりも会話の後押しをしているみたいだけど。
「貴族社会は、嘘とまやかしの世界。友人関係とは真逆の関係を築く。」
「それにアピさんって、見るからに素直そうだからなぁ。」
「そりゃそうだろ。アピは、貴族社会を知らないからな。それに対して、ブラーは、貴族社会を知っている。それに、一介の貴族だ。マナーと社交辞令はお手の物だろうよ。」
社交辞令がお手の物って…
それが一種のマナーだから、仕方ないとは思うけど。
「そういう点で言うと、ミシュティの王族はフランクだよな。」
「そうだね。対抗関係の存在がいないからかな?」
「あそこまで王族トラブルがないのも珍しいかもな。それを言うとプティテーラもそうだが。」
でも、プティテーラは昔に勢力争いがあったらしいし…
ミシュティは、本当に穏やかな気がする。
「あの二人は、ミシュティの王妃の関係でああいう性格なんじゃないか…?」
あ、そうかも。
王妃様が破天荒で、ハチャメチャな人だったからなぁ。
読んでいただき、ありがとうございます!
よろしければ、
評価、ブックマーク、感想等いただけると
嬉しいです!
よろしくお願いします!