421話 メルヘンで可愛い太陽の街のカフェ
「着いたー」
舟を停めて、太陽の街に降りる。
太陽の街に来るのは、何度目だろう。
調べ物に来たり、人に会いに来たり、太陽の街に来るときは、なんだかんだやることがあったから、こういう自由な観光は、あまりなかったかもしれない。
改めて太陽の街に来て思うけど、雫の街とは、全然違う。
知的な街並み。
「うん。本当に全然雰囲気が違う。ミシュティのエリアみたいな感じだね。」
いや、ミシュティのエリアは、本当に別物だから。
プティテーラの街は、雰囲気は全然違うけれど、水路や建物、共通点もある。
「ミシュティのエリアは、もう別世界だろ?」
「そんなことないと思うけどな。」
メルが口を膨らませると、ビスクートさんは苦笑い。
メルと一緒にビスクートさんが異世界を周っている理由がなんとなくわかるね。
本当にメルは、お母さん似だ。
「それで、太陽の街の料理というのは、どこで食べられるんだろうか?」
歩きながら、ウォーターフルーツをどこで頼もうか、辺りを探す。
すると、目に留まる一つの建物。
「雫の街と同じように、割とどこでも売っています。そこのお店に入って、休憩がてら、お茶にでもしましょう。」
そこにあるのは、テラスのあるカフェ。
白い建物に赤色の屋根。
緑の植物が建物を取り囲み、まるで絵本に出てきそうな可愛らしいお店。
太陽の街のかっちりとした雰囲気とは少し違って、気になってしまった。
「虹の街に比較的近いから、雰囲気もああいう雰囲気に寄せているんだろう。」
あぁ、なるほど。
だから、可愛らしい様相なのか。
「でも、いいんじゃない?珍しい建物の中には、珍しい料理も眠っているかもしれない。」
ウォーターフルーツを飲むのもこれで三度目。
「早速行ってみよう。」
中に入ると、そこに広がるのはメルヘンチックな世界。
ふんわりフリルの布がお姫様の天蓋ベッドのようにお店中央から、壁に向かって伸びており、窓には、シフォンのカーテン。
お店に設置された家具もパステルカラー。
まさに虹といった感じ。
「いらっしゃいませ。」
そして、奥から現れた店員さんは、黒と白を基調としたワークドレス。
どことなく見たことがある服装。
メイドさんがおる…?
前回、ウォーターフルーツを食べに太陽の街に来たときは、ホテルの従業員のような人が店員さんだったけど、今回はメイドさんかぁ。
席に案内されて、四人用テーブルを私とネロ、メルとビスクートさんに分かれて座る。
メニュー表を渡し、メイドさんはテーブルから離れた。
席を見ると、メニュー表に興味が移ったネロと、お店のかわいい雰囲気に興奮気味のメル。
そして、居心地の悪そうなビスクートさん。
「なぁ、可愛い雰囲気過ぎて、俺、浮いてないかい?」
「大丈夫ですよ。」
ビスクートさん、戸惑っている顔もイケメンですね。
安心してください。
周りのお客人も、ビスクートさんの顔がイケメン過ぎて、ジロジロと見ているんでしょう。
それにしても、客層から見ても、メイドカフェではなく、メルヘンカフェだな。
お店の中を見渡すと、お客さんは、ほぼ女の人といってもいいだろう。
女性定員さんだけでなく、イケメン店員でもいるんだろう。
キャッと黄色い声が上がり、そちらに目を向けると、奥から出てきたのはイケメンの料理人だった。
店員さんではなく、料理人さんの方でしたか。
黄色い歓声に目もくれず、ネロ、メル、ビスクートさんは、メニュー選びをしていた。
…そう言えば、ネロはともかく、メルもビスクートさんも歓声には慣れている人だよね。
メルは、色気より食い気だろうし。
私もメニューを見ようかな。
ネロの傍に寄り、メニュー表を覗き込む。
メニューの中身もおしゃれなカフェだ。
軽い軽食、ドリンク、そして甘いスイーツ。
スイーツの名前を見つけて、メルとビスクートさんの目の色が変わる。
あはは…
二人は、
ほっとくとして、メニューをペラっとめくると、やっぱりあるウォーターフルーツ。
種類も、甘いスイーツ寄りのウォーターフルーツが多いみたい。
「これは、悩むな…」
メニュー表とにらめっこをしつつ、何を食べるのか、唸ることになった。
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