420話 流れる景色を見て、世界を想う
「ふー…美味しかった!参考にもなったし。」
それは良かった。
「まだ、入りそう?それともお腹いっぱいだったりする?」
「そうだね。私は、まだまだ食べられるよ。観光は、その場所でしか食べられない物がいっぱいあるから、お腹いっぱいでも、出来るだけ詰め込むし。」
いやいや。
お腹いっぱいなら、いったん諦めよ?
食べる時に、そこまでの意気込み必要?
メルたちだって、プティテーラの滞在が今日だけってわけないよね?
そんな食い意地張らなくても。
「それで?次は、どこに行く予定?」
「まだお腹に入りそうなら、太陽の街に行って、太陽の街の五大料理を食べようかなって。虹の街の料理は、多分、プティテーラ滞在中に食べる機会がたくさんあると思うし。」
メルたちも虹の街の宿泊施設に泊まっているなら、虹の街の水団子は、たくさん目にするだろう。
私たちも、滞在期間中にすごくお世話になったし。
それに、太陽の街の料理は、メルたち好みだと思うんだよね。
甘いもの大好きなネロが気に入っていたぐらいだから。
「太陽の街か…アルビナ令嬢の一族の街だよね。どんな街なんだい?」
「そうです。現在はシュルーク公爵家がトップで治めている街ですね。街の特徴は、公共の街と言った感じでしょうか。」
「図書館や、博物館、役所といった重要拠点が揃っている。雫の街とは、雰囲気が全然違う。」
街中に水が張り巡らせられている雫の街と違い、防犯観点から、太陽の街は水路の量が少ないと聞いた。
私とネロが太陽の街について話をすると、メルは目をキラキラとさせ、ビスクートさんも少し楽しそうだ。
「どう?太陽の街。行ってみる?」
「うん。楽しそう。行こう!」
うん。
話題の食いつきもいいし、やっぱり太陽の街に行くのがよさそう。
じゃあ、このまま太陽の街に行くために、舟の速度を速める。
もちろん、刻印の操作は、ネロがやるんですけどね…
ゆっくりと流れる景色が、舟のスピードを上げることにより、どんどんと後ろに流れていく。
「よくこれで事故らないよね。」
「感知の刻印が作動してるらしいよ。障害物等に反応して、止まったり避けたりできるんだって。面白いよね。」
「プティテーラって、いままで外交を開いていなかったのよね?それなのに、これほどまでの技術。それってすごいことじゃない?」
私に言わせれば、ミシュティの技術もなかなかの物でした。
ポイ捨て防止のために、全ての容器に刻印を刻んじゃうあたりとかね。
それに、ミシュティも外部から文化を取り入れ始めたのは、最近だし、独自の世界の在り方をプティテーラもミシュティも確立していると思う。
私のいた世界では、考えられないような技術が異世界には広がっているんだ。
もちろん、私が元居た世界の方が進んでいるものも、あるといえばある。
インターネットとか?
ミシュティもプティテーラも魔法というものを除けば、どちらかというとアナログチックな所があると思う。
コスモスは…まぁ、近未来かなぁ…
空飛ぶ車は飛んでいるし、映画の世界みたい。
コスモスにおいては、私のいた世界よりも進んでいると思う。
私が元の世界にいた時は、空飛ぶ車が出来て、実用が可能になるかもしれない…ただ、値段はあまりにも高額で一般への販売は、いつになるか分からない…みたいな感じだった。
それが、普通に車を飛ばしちゃっているんだから、もし、元世界の人たちが異世界に飛ばされたら、驚くだろう。
AIの進歩は、凄まじかったけど、車が平然と空を飛ぶのは、きっと私が生きている間には、実現しないんだろう。
だからこそ、刻印で自動に動く舟や気球、変形する乗り物、魔力という未知の力。
どれもが新鮮で、体験できることが幸運だ。
そんなことを考えていると、どんどんと流れる景色が変わってくる。
水路が減って、陸地が多くなってきた。
「太陽の街に着きますね。」
「本当に、雰囲気が違うね。楽しみ。」
よし。
それじゃあ、舟を降りて、太陽の街へ、いざ!
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