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42話 それは、食べられる気がします


私とネロは、メルに案内してもらい、まずは水辺に来ていた。

水を覗き込んでみると、透き通っていて、水の底が見えるくらいキレイ。


あっ、魚がいる。


「ネロ、魚が泳いでる」

「ミシュティで、スイーツ以外の食べ物を初めて見たな」


今なら、魚をどんな風に調理しても、おいしく食べられる自信がある。

私は、魚を見つめながら、いろんな魚料理を思い浮かべた。


焼き魚、煮つけ、お刺身

うん、美味しそう。


「え?この生き物は、食べる物なの?」

「え?食べちゃダメなの?もしかして、毒とかある?」


私たちの会話に、メルは首を傾げている。

もしかして、この魚は、ミシュティの主とかで、食べちゃいけないとか?


「毒?知らないけど、このグネグネしている生き物って食べられるものなんだって思ったの」


ま、まさか。

ミシュティには、魚料理という文化がないの?


「ここの人たちって普段は、何を食べてるの?」

「え?お菓子エリアで出しているものと一緒だけど。」


お菓子以外の食べ物の概念がないのか…。

そして、ふと気になることが浮かんだ。


「ミシュティって観光地だよね?ミシュティの人たちは、他の世界に行ったりとかしないの?」

「行っちゃいけないことはないけど、行く人はほとんどいないのよね」

「なんで?」

「帰って来なくなるから、ミシュティの外は危険な場所ってイメージが強いのよ」

「連絡がつかなくなるとか?」

「いいえ、ただ帰って来ないだけ。連絡は取れて、無事も確認されているみたい」


帰って来なくなる…

連絡はつくのに。


ミシュティは、コスモスが運営する異世界転送装置デゥールで移動ができたはず。

つまり、観光者ライセンスがしっかり適応されている世界ということ。

危険な国に行くのなら、本人の実力を上げて、ステータスを上げなくてはいけない。


安全も確認され、連絡も普通についているのに、帰ってきていないということは、その人たちの意思で帰ってきていないってことにならない?

それってさぁ…


他世界の居心地(食文化)に惹かれて、帰って来ないだけじゃないかな…。

ミシュティの主食が、スイーツというのであれば、ここから他の世界に行ったとき、食という違いに驚くと思う。

だって、甘い以外の感覚を、味覚で感じるのだから。

やっぱり、初めて食べる料理とか、新鮮なのかな。

意外と慣れ親しんでない料理って、苦手意識でると思うけど。

でも、自分の中の世界が一気に広がるんじゃないかな。


そんなことを考えていたら、メルが次の場所に連れてきてくれた。

緑が生い茂る、森。

もしかしてと思い、あたりを見回してみると、食べられそうなものがある。


「メル、これは?」


私が指をさしたのは、地中から少し顔を出しているサツマイモとジャガイモらしきもの。

スイートポテトとか、スナック系に使われているイメージあるけど。


「紫の芋は食べられているわ。もう一つの方は、食べられてないわね。」


サツマイモは芋なのに、ジャガイモっぽい物は、食べられるものと思われてないんだ。

しょっぱいスナック系は、ミシュティでは無いってことかな。

そもそも、甘いスイーツ以外が食べ物として見られてないのかも。


その後も、森の中を散策して、いくつか食べられそうなものを見つけたんだけど、メルはことごとく、それは食べ物なのかと聞いてきた。


……。

これは、稲??

えぇぇ、雑草みたいに、生える理由が分からないんだけど、見ためは完全に、稲。

ここで、お米食べられるってこと?

異世界に飛ばされてから、さすがにお米は食べてなかったんだよな。

だって、無いから。


そして、異世界では、稲は自生するらしい。

そりゃ、丹精込めて作られたお米には、劣るだろうけど。

もし、これが稲だとしたら、おにぎりが食べたい。


「チヒロ!」

「危ない」


私が稲にうっとりしていると、ネロとメルの焦った声が聞こえた。

後ろを振り返ってみると、木の形をした生物。


もしかして、これが魔物?


木の生物が、蔓を振り上げ、私に狙いを定める。

振り上げと同時に、木の生物が何かを私に向けて撃ってきた。


殴られるかと思ったけど、射撃もあるんかい

殴りなら、ワンチャン避けれるかなって思ったけど、その量の球を撃ってこられたら、さすがに無理。

ワンチャン避けられるかについても、大分舐めているとは言われると思うが。

人間が生命の危機に陥ったときの反射の力は、割と馬鹿にならないと思う。

私は、それに賭けただけだし。

舐めてないし。


そんなことを考えていると、何か強い力で私の体が引っ張られた。

思っていたのと違う衝撃にビクつき、思わず目をつむってしまった。


「大丈夫?」


恐る恐る目を開けると、目の前にはメル。

私は、メルに抱きかかえられていた。


「大丈夫か?」


そしてネロは、先ほどの木の生物を倒しきっていた。


「ありがとう…」


私は二人にお礼を告げた。

メルやネロに助けられた。

守られてしまった。


魔物に初めて襲われて、気が付いた。

今後も、観光部の職員として働くなら、こういう魔物に襲われる場面が出てくるということだ。

私は、その都度、ネロに助けて貰うつもりなのか。

なんか、やだ。

それこそ、私はこの仕事をするのに、ネロがいないと駄目になってしまう。

誰かに頼らないと生きていけないなんて嫌なのに。

何とかしないと…。


ん?

目の前に、先ほど倒した木の生物が撃ってきたものが落ちていた。


……。

あっ!


「もしかして大豆?」


私は見事に、その場の空気をクラッシュし、大豆に大興奮なのであった。

読んでいただき、ありがとうございます


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