419話 旅行プランは食べ歩き
今回を機に魚が嫌いにならないといいけど
…というのは、杞憂に終わった。
「な、なにこれ。口に入れた瞬間にジュワって…それにホロホロしていて、すごく美味しいんだけど。タレも甘じょっぱいタレ…この調味料はいったい何?」
「こっちのから揚げもいいね。外はサクサク、中はジューシー。非常に食べ応えがある。それに、このフレーブサンド。まずパンの生地がいい。そして、中身は魔水魚のタレ、サクサクとした野菜の触感。どれも食べ応えがあるな。」
…めちゃくちゃいい食レポをしてくれたんだけど。
「魚料理を異世界に行って何度か食べたけど、ここまで美味しいのは、初めてだわ。」
「魔水魚は、魔力を多く含んだ魚で、それが異常なおいしさを誇っているらしいですよ。自然エリアのナトゥラの方で、魔水魚は採れるみたいです。」
「魔力を含むだけで、これだけ、味に変化があるの?」
「これは天然物の魔力だからなのか…それとも、食材に魔力が含まれていれば、含まれる過程は関係ないのか…」
…あれ?
私と全く着眼点が違うんだけど。
魔力を含む過程?
そんなこと気にしたこともなかったのですが…?
「もし、関係がないのであれば、私たちの世界でも導入できるかもしれないわね。」
「より甘く、より美味なスイーツの提供ができるかもしれない。」
…さすが、お菓子の世界。
そして、魔力操作の達人たち。
気にすることが違う。
「もしかして、ミシュティでも導入できるか検討中だったりします?」
「当たり前だね。ここまで美味しいんだ。同じ食材を扱う世界としては、研究しない訳にはいかないだろう。」
別にプティテーラは、食材を扱う世界ではないんですけどね。
勝手に食材を扱う世界にされているし、さらに対抗心バチバチじゃないか…
メルとビスクートさんは、どんどんと静かになり、魔水魚をしっかりと味わい続けている。
「これでよかったのかな?」
「いいんじゃないか?あの二人は、満足してそうだ。」
「観光、どんな感じにしようかと思ってたんだけど、プティテーラの料理ツアーをしようか?」
「それは、いい。」
二人が魔水魚料理に夢中になってくれているみたいで良かった。
私も、から揚げを一つ口の中に入れて、二人の方を見る。
うま…
二人の言う通り、魔水魚のから揚げは、外はサクサク、中はジューシー。
口に入れた瞬間、ザクっとした感覚の中から、ジュワっと出てくる魔水魚。
私は、から揚げはサクサク派なのだ。
これは、私好みのから揚げ。
「うまいな。」
「ね。魔水魚の新作に今後も期待。」
さて、最後はおばちゃんのサービスのフレーブサンド。
フレーブの生地のポケットの中には、溢れんばかりの食材たち。
大きく口を開けて、フレーブサンドを齧る。
「ん…」
「これは、いいな。」
火の街で食べたフレーブよりも、生地がモチモチしている気がする。
モチモチとした生地の中に、魔水魚を甘辛いタレで和えたものと、千切りにした野菜がいっぱいに入っているんだけど、これがまたバランスが最高というか…
「う、うまい。」
フレーブと魔水魚の相性が良すぎたんだろうな。
夢のコラボだと思っていたけれど、本当に最高のコラボだ。
うん。
決めた。
メルとビスクートさんがいいと言ってくれれば、プティテーラ食べ歩きツアーをすることにしよう。
そして、最後に火の街に行って、お土産を選ぶのもアリ。
というか、ブラーさんの所とアピさんの所には、二人を連れて行きたいよね。
そうすると、今日は、カナリス観光。
それも、それぞれの街の料理を食べつつ、最後は火の街にたどり着くというのが、いいかも。
ざっくりとした予定を頭の中でたてつつ、船に揺られながら、料理を堪能するのだった。
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