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418話 みんなで揃っていただきます


雫の街の水路を舟でのんびりと移動しながら、先ほど受け取った食べ物たちを舟の上に広げる。

雫の街の魔水魚…

タレ焼き、から揚げ、フレーブサンド。

どれも美味しそうだし、から揚げは揚げたてだから、とてもいい匂い。


「…なぁ。聞きたいことがあるんだが…?」


ネロが舟の上に広げた料理たちをじっと見つめた後に、メルとビスクートさんの方を見る。


「なに?」

「どうかしたのかい?」


ネロが、メルたちに質問…

一体何を聞くんだろう?


「そのだな…俺は、お腹が空いていたから、手軽に食べられる雫の街の料理を指定したわけだが…」


なんか顔をしかめながら、言い訳っぽいことを言い出したぞ?


「雫の街の魔水魚は、プティテーラの五大料理で、プティテーラを代表する料理だ。」


そして、的を射ない言葉の羅列。

ネロらしくないけど、なんだろう?


「あのだな…」

「もう、どうしたの?何か言いたいことがあるなら、遠慮せずに言って?」


言いよどむネロにメルがしびれを切らし、ネロに言葉を促した。

ネロは一瞬考えこんで、メルとビスクートさんの方を再び向いた。


「お前たち、魚は食べられるようになったのか?」


……え?


「いや、いうか迷ったのは、そこだ。魚だと認識しなければ、食べられるのではないかと思ったんだが、そもそも食材の名前が魔水魚…どう考えても魚だろ?気づかないわけがない。せっかくの観光なのに、食べられない物を紹介するのは、どうかと思ってな…」


待って?

そう言えばメルに初めて出会った時に水辺にいた魚を見て、食べる物なのか…と聞いてきたことがあったっけ?

あの時、メルはグネグネしている魚を見て、そんなにいい顔をしなかった。

そっかぁ。

プティテーラに来て、コンジェラルチェと壁沿いに置かれた食べ物を食べたと言っていた。

そうだよね…プティテーラでは、甘いスイーツが主食だもんね…

観光職員としても友人としても割とダメじゃないか?


「そんなに心配しなくても大丈夫よ。ミシュティも外交を開いて、私と叔父さんは、いろんな異世界に行く機会も増えたの。だから、外での料理に触れることも多くなったわ。もちろん、今では魚も食べられるようになっているし、ミシュティで魚料理や肉料理が徐々に浸透しているわ。」

「もちろん、ミシュティの良さである、スイーツがメインであることは変わらないが、それでも甘い物だけではダメだと気付いたからには、ミシュティでも試行錯誤しながらも、いろんな食材に触れていこうということになったんだ。」

「ミシュティにあった食材をうまく利用して、ミシュティを活気づけてくれた人たちから、しっかり学ばないといけないと思っているのよ?」


メル…ビスクートさん…


「じゃあ、二人は魚料理を食べるようになったってことでいいんだよね?」

「そうね。」

「兄さんなんて、魚を捌いて、生で食べるのが今ではお気に入りらしいよ。」


刺身…

生の魚は、生っぽくて、癖があるから、嫌いな人はとことん嫌いなものだけど。

グラースさんは、生魚が好きなのかぁ。


「それに、この魔水魚。名前からして、魚だとは思ったのだけど、見た目が全然魚っぽくないわね。」

「そうだね。」


タレ焼きも、串に刺され、見た目は魚ではないし、から揚げも、魚には見えない。

フレーブサンドも、魚だと言われないと分からないだろうな。


「こんなふうに魚を料理に使えるなんて、知らなかったわ。これもまた、ミシュティに持ち帰らないと。」

「さて、せっかく出来立てを貰ったんだ。冷めないうちに食べないと、先ほどの女性に申し訳ないよ。」


二人の様子を見るに、魚が食べられないことはないだろう。


「ね?チヒロとネロが紹介してくれた、魔水魚料理、食べたいよ?」

「…そっか。じゃあ、食べよう。」


これで、魚がダメにならないといいんだけど。

メルとビスクートさんは、手を合わせて私の方を見る。

え?

もしかして、いただきますを覚えてくれているの?


「食べる前は、いただきますでしょ?」

「そうだね。」


二人に倣って、私とネロも手を合わせる。


「いただきます。」


元気よく挨拶をして、みんなで朝ごはんだ。

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