416話 雫の街観光は、食べ歩きツアー
そうだなぁ。
プティテーラに来て、一番初めに行く観光スポットって、どこだろう。
朝からだから、ナトゥラに行くこともできるけど、一番初めじゃないよね。
それよりさ、思ったよりも早い集合時間だったから、朝を食べそこなっているんだよね。
朝を抜いて、早めのお昼でもいいんだけど、メルとビスクートさんは、朝ご飯を食べているかな?
「メルと、ビスクートさんって、ご飯はもう食べましたか?」
「集合早かったし、お腹もまだ空いてなかったから、食べていないよ。でも、今はお腹空いてきたかも。」
「そうだね。」
二人のお腹が空いているなら、どこか食べに行きたいよね。
それに、昨日のパーティで、プティテーラの料理がいろいろ出されていたけれど、せっかくだから、二人が食べていない物の場所に案内したかも。
「昨日のパーティでは、何か食べました?」
「チヒロとネロと一緒にコンジェラルチェを食べたよ。」
「それから、会場内の壁沿いにあるテーブルから、少し貰ったね。」
「どんなものを食べました?」
プティテーラの五大料理は、食べただろうか?
ルアルさんと一緒にいたのであれば、料理の話も聞いているかな?
「とにかくスイーツっぽい物を食べたなぁ。」
「なるほど…」
さすがお菓子の世界出身。
それならば、五大料理、コンジェラルチェを除いた料理は、食べていないかもしれない。
「俺も腹が減った。」
ネロもやっと眠りから覚醒したようで、眠りの次はお腹が空いたらしい。
君は、私の肩の上で優雅だね。
「ネロ?プティテーラに来て、一番初めに観光したいところと言えば、どこ?」
「雫の街で食べ歩きツアーだな。」
この子は、お腹が空いているだけだな?
雫の街は、私たちがプティテーラに来て一番初めに周った場所でもあるし、ありかも。
それに、観光案内所から近く、すぐに行けるから、ご飯を待つ必要もない。
「じゃあ、雫の街で魔水魚でも食べに行きましょう。」
「分かったわ。」
「案内をよろしく頼むよ。」
雫の街は、舟で移動した方が楽だから、舟を借りよう。
舟の乗り場を発見し、四人で舟に乗り込む。
「舟の番は、俺がやるからな。」
「ネロがやるの?」
「チヒロには、させられない。」
私の運転での信用度がゼロなんですけど。
「チヒロの運転ってそんなにひどいの?」
「あぁ。」
メルが疑問を口にすると、ネロは即答した。
何度も言うが、そこまで悪いとは思わないんですけど…
「この舟は、自動運転が可能と聞いたんだが?」
「刻印によって、自動運転も手動運転もできるようになっている。事故が起きない様に、瞬時に切り替えができるようにな。」
「それなのに、そんなにひどいと…?」
「チヒロの運転は、とにかく酔う。一度、舟の運転をチヒロがしたときは、地獄だった。それでも良ければ、体験してみるのも悪くないな。」
ネロがあまりにも淡々と語るので、メルとビスクートさんは、綺麗にそして、静かに首を振った。
別に、異世界の舟の運転が出来なくたって、生きて行けるし。
水路で雫の街に入る。
今日も、舟の上や道に出店が並んでおり、活気がいい。
「プティテーラは、自然エリアのナトゥラと人がたくさん住んでいる水の都カナリスに分かれているんだけど、雫の街ワーテルが一番、水の都って感じがするんだよね。」
街中を流れる水の量や、舟の上でお店を展開する方法。
全てが水中心の街というイメージだ。
「確かに、私たちが泊まっていた虹の街とは、雰囲気が全然違うね。」
「そう。プティテーラには、月の地区の他に、四つの街があるんだけど、どこも雰囲気が違って楽しいよ。それぞれの街で名物も違うみたい。」
「ご飯の話をした後に、ここへ連れて来てくれたという事は、ここには美味しい食べ物があるってこと?」
「こらこら…」
興奮気味のメルを船から落ちない様に抑える、ビスクートさん。
「どの街にも美味しいご飯があるけど、雫の街で有名な食べ物は、魔水魚。それを食べよう。」
私とネロがプティテーラに来て、一番初めに食べた料理。
メルたちを案内しながら、思った事なんだけど、ちょっとだけ懐かしいって思った。
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