415話 観光のプロに任せてください?
「…メル、ビスクートさん。おはようございます。」
「おはよう、チヒロ、ネロ。なんだか、眠そうね。」
眠いです。
そして、驚きました。
集合場所は観光案内所と言っていたけど、集合時間の話をしていなかったなと思い、ネロと二人で昨晩、悩みぬいた結果、明日ちょっとでも早く観光案内所の近くに行っておけばいいか…という話でまとまり、二人して寝ることにした。
もちろん、ちょっとでも早くというのは、友達と遊ぶときの少し早め。
九時集合だと考えて、その少し前に着いていればいいか…と思ったのだ。
友達と遊ぶにしても、九時って、私的には、結構早い時間だと思うんだよね。
でも実際に集合したのは朝八時…
メルが観光案内所で、私とネロの滞在場所を聞いたらしい。
そして、宿泊施設に電話をかけてきて、朝方、集合時間を伝え忘れたんだけど…というメッセージが届いたわけだ。
そのメッセージを確認して、自分たちの想像よりも一時間、集合時間が早まったことにより、慌てて起きて、慌てて準備して、今に至る。
「メッセージが届いてよかった。集合時間を決めていなかったから、待ち合わせできないかと思って。でも、チヒロ達も虹の街に泊まっていたんだね。」
チヒロ達も?
「私たちも、虹の街に泊まる所をとったんだ。宿泊地やホテルが有名なだけあって、サービスも行き届いていて、快適だったよ。」
そうか。
プティテーラに滞在するなら、虹の街に宿泊する可能性が高い。
それぞれの街の特色を考えれば、そう思わないといけなかった。
こんな事なら、集合場所を私たちの宿泊施設にしておけばよかった…
そうしたら、観光案内所に来るまでの時間を宿泊施設でゆっくりできたはずだ…
「虹の街に滞在していたのに、集合場所を変更しなかったのは、なんで?」
「なんで…って、それは、もちろんこういう場所の方が、待ち合わせ感があって、いいでしょ?」
どっちにしろ、虹の街での集合はなかったかもしれない…
それと、軽く流していたが、私とネロのプライバシーは、どこに行ったのだろう?
観光案内所ということは、ルアルさんでしょ?
ルアルさん…助かるけど、なんで私たちの宿泊している場所を?
「すまないね。メルが、昨日のパーティで、ルアルさんと仲良くなってね。それで、チヒロさん達の話題で盛り上がったんだ。」
ルアルさん…
私、昨日のパーティでルアルさんに、挨拶できていないんですけど…
そこから、どうやって私たちにメッセージを入れる流れになるんだ?
「その話をしていたら、クラト公子とブラー公子が来てね。さらに君たちの話題で盛り上がったという訳だ。」
わお。
メルたちも、よくピンポイントで私とネロがプティテーラで知り合った人たちを引き当てているな。
「それで、クラト公子とブラー公子が、君たちが滞在している宿泊施設によく訪ねていたという話を聞いた。」
「そこから、いろいろ合って、集合時間、決めてないな?という事に気が付き、ルアルさんに聞いたら、電話を入れてくれると言うことで、メッセージを残したってわけ。さすがに、二人の滞在している場所までは、知らないから安心して。」
なるほどね?
まぁ、メルたちに関しては、あんまり気にしていない。
ルアルさんも、最大の気遣いをしてくれたんだろうな。
感謝、感謝。
「さて、せっかく早く集合したんだし、これからどこかに行く?」
「チヒロ達に、任せてもいいかな?」
任せられてしまった。
「メルたちは、プティテーラにどのくらい滞在する予定なの?」
「旅行も兼ねているんだけど、メインは新しく外交を開いた世界が、どういう所なのかしっかり見て帰ることなんだよね。ミシュティも異世界旅行は、行われていたとはいえ、外部から取り入れることを、今までほとんどしてこなかったわけだから。という訳で、観光に関しては、観光のプロにお任せしようと思って。」
観光のプロ…?
あぁ、コスモス観光部の職員だからか。
観光のプロと言っても、まだまだペーペーなんですけど。
でも、ネロと一緒に頑張るしかないな。
頼みの綱であるネロは、いまだに私の肩の上で、目をクシクシと擦っていて、眠そうだけど。
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