411話 保護者達が心配してくれているようです
「こんな所にいたのか。」
しばらく待っていると、やはりアスガルさんは、現れた。
アスガルさんの様子を見ると、私たちのことを探してくれていたみたい。
「こんな所と言っても、俺たちはアスガルと別れてから、そこまで場所を移動したわけではないから、分かりやすく親切な場所にいたと思うぞ。」
「…言われてみれば、そうだね。僕と別れた後に、一体、何をやっていたんだい?」
何をやっていたと言われても。
「アスガルさんと別れた後は、会場の様子を見つつ、シン王子とアルビナ令嬢の誓い儀式を見て、パルテシオンの音楽を聴いていました。」
「…パーティを楽しんでいたようでなによりだよ。」
そりゃ、楽しんでましたけど…
「アスガルさんは、バルドル公爵達とお話しできたんですか?」
「あぁ、有意義な時間だったな。」
アスガルさんの表情からも、満足さが伝わってくる。
バルドル公爵とアスガルさんって、気が合うんだぁ。
「それで、君たちはこの後どうするつもりだい?」
「あぁ、宿泊施設にそのまま帰ろうかと。」
「それはいいが、いつ、コスモスに帰ってくるんだ…?」
まぁ、アスガルさんからしてみれば、ここまでの長期滞在は、視野に入っていなかっただろうし、そろそろコスモスに帰って来いと言う事だろう。
シン王子とアルビナ令嬢の婚約パーティを見るために、コスモスの帰還を延ばしたわけだし、そろそろ帰る予定も考えないといけない。
「あぁ、そこまで深く考えなくてもいい。早く帰れという事ではないんだ。」
「違うんですか?」
「あぁ、違うわけではないが、帰還を急かしているわけでもないんだ。やることがあれば、それを終わらせるのも大切だからね。ただ…」
ただ…
やっぱり何か問題があるってこと?
「アルバート達、企画宣伝課のメンバーが様子を見て来いと言っていたのでね。」
アルバートさん達が?
「そう。だから、僕が帰るタイミングで企画宣伝課の人たちにチヒロとネロの様子を伝えないといけないのさ。その流れで、いつ帰ってくるのか、フェリシアにも聞いて来いって言われた訳だよ。ミシュティに滞在した時よりも、長い期間をプティテーラで過ごしているわけだし…チヒロの保護者達は、思ったよりも心配しているみたいだよ。」
保護者って。
アルバートさんは、私の師匠ではあるけど。
「そうですか。もともと、シン王子とアルビナ令嬢の婚約パーティのために、コスモスの帰還を延ばしたので…婚約パーティが終わったら、やる残したことを確認しつつ、帰還の予定を立てるつもりでした。」
そう言われてしまうと、私も企画宣伝課の皆に会いたくなってしまうではないか。
「そうか。なら僕は、企画宣伝課のメンバーに元気そうにしていたと言うことと、そろそろ帰ってくるんじゃないかということを伝えれば良さそうだね。」
「はい。プティテーラの事、しっかり持って帰りますので、期待していてくださいと伝えてください。」
「分かったよ。君たち二人が、元気そうにしてくれていて、良かった。無茶なお願いをした身としては、大丈夫か心配だったんだ。」
そういって、アスガルさんは手を私の頭の上に乗せ、ポンポンと撫でてくれた。
髪型を崩さない様に、気を使ってくれているみたい。
「私も異世界でアスガルさんと会えてよかったです。企画宣伝課の皆のことを話で聞くこともできましたし。」
「賑やかな連中だからね。」
それは言えてる。
「アスガル。」
「何だい?ネロ。」
「アスガルは、今日このまま帰るのか?」
そうだ。
パーティが終わって、そのまま帰ってしまうのだろうか?
「あぁ。今回はパーティ参加が目的だったからね。それに企画宣伝課のメンバーに君たちのことを早く伝えてあげないとうるさいだろ?だから、僕はパーティ会場からそのまま異世界転送装置に向かうよ。」
そっか。
話の流れでも、そうかなと思ったけど、帰っちゃうのか。
「なら、私たちは、アスガルさんを見送ろうか。」
「そうだな。」
「え?要らないよ?異世界転送装置に乗るだけだし。」
…なぜ、遠慮する?
「そんな不服そうな顔をしなくても…本当に異世界転送装置に乗れば、すぐにコスモスに着いてしまうからね。」
「ならなおさら、異世界転送装置に乗るまで、お見送りできるじゃないですか。」
今までだって、そうして来たし。
「…分かったよ。じゃあ、よろしく。」
「はい!」
アスガルさんの苦笑いを押し切った形で、お見送り権をゲットした。
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