403話 私の本当の好きな物?
人目を気にせずにご飯が楽しめるようになったので、アスガルさんにどんどんと料理を薦めて見る。
「アスガルさん、次は水団子ですよ。ここに、フレーブとウォーターフルーツも持ってきました。」
「チヒロ、少し落ち着いて。ちゃんと食べているから。」
苦笑いのアスガルさんに、冷静になった。
「好きなものは、大切な人と共有したいのかしら?もう、チヒロちゃんったら、可愛いんだから。」
ロゼ夫人。
そういうことは、気が付いても口に出さないで欲しいです。
恥ずかしいので。
「チヒロは、好きなものを共有したいタイプなのかい?」
「そういう事じゃないですけど…自分の好きを他の人が好きになってもらえたら、一緒に楽しめるので…嬉しくはありますね…」
分析しないでくれ。
本当に恥ずかしい。
「ネロ君は、どう?好きなものを共有したいタイプ?」
ロゼ夫人…話を広げないでくださいよ。
「ちなみに私は、独占したいタイプ。私、独占欲が強いのよねぇ。」
「僕も独占欲は強いタイプですよ。有能な部下を他の部署に取られるのは、許せないかな。」
…ロゼ夫人とアスガルさんは、いったい、何の話をしているの?
「そう言う話なら、俺も好きなものを共有したいとは思わないな。」
どういう話よ。
でも何となくだけど、遊ばれている気がする。
「ちなみに今の話は、好きな人ってことね。」
やっぱり…
「ロゼ夫人。私も好きな人を共有する趣味はありませんよ。恋愛的に好きと好意的な好きは違いますって。さすがに。好意的…うーん。趣味的に好きな物は、好きになってほしいと思いますけど、自分の好きな人が他の人と被ったら、ただの修羅場です。」
「それもそうね。」
「好きな人が他人被っていいことなんてないですよ。好きって感情は、時々怖く感じます。」
だって、自分が操れる感情の外に、嫉妬心ってあると思う。
コントロールが効かなくなる感情。
そういうのって、怖いじゃない。
自分じゃなくなるような気がする。
「じゃあ、チヒロちゃんは、好きな人が他人と被ったら、その人に譲るのかしら?」
…どうだろう。
相手次第な気もするけど。
私が好きでも、相手は私が好きでは無かったり、他の人の事が好きだったりするんだろうし。
「自分と相手の感情次第では?」
「チヒロちゃんは、身を引いてしまうって事かしら?」
その時になってみないと分からないけど、面倒ごとに巻き込まれるのは嫌だし、今答えを出すとしたら、身を引くんだろう。
「そうですね。引いてしまうかもしれません。」
「そう…」
ロゼ夫人は、私の答えを聞いて、黙ってしまった。
何か悪いことを言ったのだろうか。
それとも、何か言いにくいことを言ってしまったのだろうか。
「あの…?何か?」
そして、ロゼ夫人がそっと耳打ちしてくれた。
「そうね。人生の先輩として…チヒロちゃんは、好きを恐れないでいいのよ。」
恐れている?
私が?
「チヒロちゃんが、本当に好きと思えるものと出会えることを祈っているわ。」
本当に好きと思える物?
「あのそれって…」
「さあて、もっと食べようかしらね。」
私が続きを聞こうとロゼ夫人に声をかけると、ロゼ夫人は食べ物の方へ意識を戻してしまった。
ちょっとぉ…
気になるじゃないか。
別に、人と共有したい好きもあるよね?
独占したい人もいて、共有したい人もいる。
それって、両方とも好きという事じゃないの?
人を共有すると言うのは、分からないけど、別にいまそう言う話をしたかったわけじゃ何のになぁ。
それとも私の言動の中に、ロゼ夫人が気になることでもあったのだろうか?
でも、そうか。
アスガルさんも、部下を取られたくないって言ってたし…
それって独占欲かな?
有能な部下は、普通に手放したくない気がするけど。
それに、何が何でも手元に置く努力をすると言う事だろうか?
人事異動とか仕事にはあると思うけど、そう言う異動って仕方ない物じゃないの?
それに、ネロも独占欲が強いタイプなのか…
ネロはどういう意味で言ったのだろう。
恋愛的な意味で言ったのかな?
ネロが独占する…それってどんな感じなんだろうな。
頭がこんがらがりそうだから、私も甘いものを取りに行こう。
ウォーターフルーツは手軽だし、それでいいかな。
読んでいただき、ありがとうございます!
よろしければ、
評価、ブックマーク、感想等いただけると
嬉しいです!
よろしくお願いします!