400話 私がお世話になった料理を食べてください
プティテーラの伝統料理だから、あるだろうと思っていたけど、よくよく考えたら、月の料理であるコンジェラルチェはさておき、こういうパーティの場に置かれそうにない物なんだよな。
魔水魚の串焼き…
串焼きをドレス姿で頬張る所は見てみたい気もするけど。
それに、デウィスリ夫人も言っていたけど、プティテーラの貴族の人たちって、立ち食い文化がないんだったよね。
だから、コンジェラルチェを美味しく食べて、食欲をそそろうキャンペーンを行ったのだから。
じゃあ、この料理たちって、誰向けなのかな?
「外交向けかもな。」
「でも、プティテーラの貴族の方たちが、食べていなければ、異世界から来た人たちも食べないんじゃない?」
「お前は、食べようとしてただろ?」
だってお腹が空いたし、さらにいうと、既にこの会場でコンジェラルチェという食べ物を口にしているから、あまり気にならない。
「ご自由に…ってテーブルに書かれているし、食べてもいいってことでしょ?挨拶終わってやることないんだから、私はご飯食べたい。」
「分かったよ。それで、これがプティテーラの料理なのかい?」
仕方なく納得してくれたアスガルさんが、小分けにされた串焼きを見て、首を傾げる。
「雫の街ワーテルの料理。魔水魚の串焼きです。雫の街では、魔水魚が有名で、この魚を使った料理がいろいろとあるみたいです。」
「魔水魚というのは?」
そっか。
それも、プティテーラならではだったな。
「プティテーラは、水の都カナリスと自然豊かなナトゥラに分かれているんですが、そのナトゥラで採れた魚のことです。ナトゥラは、魔力が豊富で、それを吸収した魚も魔力をたくさん保有するらしいです。たくさん魔力を保有している魚はとてもおいしいんですよ。」
「ふむ。魔力をたくさん保有する魚か。興味深いな。」
プティテーラで一番初めに食べた料理だったけど、あまりのおいしさに驚いたなぁ。
「他には?五大料理というくらいだから、他にもあるのだろう?」
「はい。」
他の物はどこにあるのかな?
「チヒロ、こっちだ。」
ネロが示す方には、虹色の水団子。
「これは、おしゃれだね。」
「パーティ料理としても悪くないな。」
魔水魚も串に刺さってなかったら、見た目も間違いないんだけどね。
「これは?」
「虹の街アルカンシェルの水団子です。これは、みずみずしく、もちもちとした食感が癖になるんですよね。」
滞在していた場所が虹の街だったため、プティテーラで一番お世話になったと言ってもいい料理である。
さすが、婚約パーティに出される料理だけあって、水団子は鮮やかな虹色だ。
「団子か。綺麗な色をしているな。」
「ですよね。」
料理を目の前に、食べたくなってきちゃったな。
魔水魚も水団子もおいしいと言うことが分かっているので、お腹が空いている今、口の中に唾液が溜まる。
「あ、これ。」
「なんだい?」
「火の街のフレーブです。」
これもしかして、それぞれの街ごとにまとまって料理が置いてあるのかな?
だとすると、プティテーラならでは、それぞれの街の料理というものが、この机に並んでいる数だけあると言うことだ。
ざっと数えても、百種類くらいは並んでそう。
こんなこと言っていいか分からないけど、バイキングみたい。
ミシュティでもバイキングしたなぁ…
こうやって何種類もある料理が並んでいる中で、自分の好きなものを取る。
懐かしい。
魔水魚、水団子、フレーブとくれば、最後にはウォーターフルーツがある。
「じゃあ、これが太陽の街の料理?」
「そうです。太陽の街のウォーターフルーツです。これで、五大料理はすべて紹介をし終えたんですけど、アスガルさんは、どれが気になりました?」
「それ聞く意味あるかい?」
「ないです!」
だって、どれもおいしいから、食べて欲しいですもの。
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