396話 結婚式は夢の詰め合わせ??
「指輪の交換は、お互いの左手薬指に指輪をはめ合うんです。お互い向かい合いながら、相手の指に指輪をはめるので、ロマンチックですよ。」
「お前、この前…」
「こら、ネロ。シッー」
ブラーさんやクラト公子には、アクセサリーは相手を縛るものだと言ったけど、婚約する二人に言う必要はないし、ロマンチックな部分もあることを知ってもらわないといけないしね。
それに、企業の策略です…なんて言うのも野暮だろう。
「なんで、指輪を送り合うんだ?」
「それに、左手薬指の理由は、なにかあるの?」
…なんでだろう。
なんで、送り合うんだろうな?
「指輪を送り合う理由は、詳しくは分からないんですけど、左手薬指の理由は、何となくわかります。」
「なんなんだ?」
私は、右手で左手薬指から左胸をそっとなぞる
「左手薬指は、心臓に直接つながっていると、昔から言われていたそうです。そんな大事な指にお互いが指輪をはめ合うことが、相手を特別と思う行為だとされた…と。」
「心臓に繋がる指を縛ることで、心臓を縛ると言う事か?」
…こらこら。
ネロさん。
「ネロ。そもそも結婚生活自体が契約。縛る行為だよ。左手薬指の指輪は、目に見える形というだけで、それがあろうとなかろうと、既に縛られているって。」
「お前の世界は、本当に縛ることが好きだな。」
…そういう訳ではないと思うけど。
「いいじゃないか。縛る行為も愛を伝える一種ってことなんだろ?」
「そういう事です。」
独占欲は、少女漫画でも鉄則だし、指輪を付けることが、そう言うものをアピールする一種としても使われている。
形としては、成功しているんじゃないか?
「じゃあ、ケーキ入刀っていうのは?」
「そうですね。新郎新婦の初めての共同作業と言われるもので、二人で大きいナイフを持ち、ケーキを切るんです。」
「なんのために…?」
何のために!?
何のためだろう…
「二人で行うことで、今後の未来を一緒に協力していこう…みたいな感じでしょうか?」
「そんなことをしなくても、子作りという共同作業があるじゃないか。それが一番いい共同業だろ?」
シン王子…?
こんな場所で何を?
「そうね。わざわざ、二人でケーキを切ることないわ。結婚したら初夜があるもの。」
アルビナ令嬢も何を言っているの?
ケーキ入刀に意味なんて考えたことないよ…
私、今まで思考停止していたんだろうか?
そう言うものだと思っていたけど…
「みんなの前で、行われるパフォーマンスです。二人で切ったケーキは、来てくれた人に振舞われることがよくあるそうですけど。」
「…来てくれた人に振舞うって、どれだけ大きいケーキなんだよ。」
「すごく大きいケーキなの。大きいケーキを二人で切ることが重要なの。ケーキを切るのって、結構大変なんだからね。それを二人で協力して切るんだから、困難も二人で乗り越えていきますと言うアピールになるでしょ?」
…きっと、そうだ。
「じゃあ、ブーケトスというのは?」
「ブーケトスは、花嫁がブーケを持って、来てくれた人たちに向かって投げるパフォーマンスの一種ですね。」
「もしかして、それにも何か意味があるのか?」
ネロは、私の世界の物事の意味恐怖症にでもなったのだろうか?
なにかと、突っかかってくるけど。
「ブーケトスは、花嫁が投げたブーケを一番初めに取った人が、次に結婚できるという話がありますね。」
「それ、ほんとうなのか?」
「それとも次の結婚でも決められているの?」
「いえ、あくまで、そうだといいね…程度に思えばいいんじゃないでしょうか?」
そんなに重く考えるパフォーマンスなのだろうか…?
「気になったことがあったんだが、もし結婚している人が取ったらどうなるんだ?」
…どうなるんだろう?
空気読んで、取らない様にするとか?
でも、それってどうなんだ?
結婚式の場でも、空気読み…
気まずいよね。
もしかしたら、他の物を投げる文化もあるんだろうな。
私は知らないんだけど…
「人を選ぶパフォーマンスってことかもしれませんね。もし、気になるのなら、別の物を投げる人もいると思います。」
「たとえば?」
投げる物と言えば…
「お菓子とか?」
ハロウィン?
そもそも、結婚式でお菓子を投げられて、拾いたい人っているのか?
ニーズはちゃんと確認すべきだわ。
思ったよりも結婚式って難しいんだな。
あまりにも考えることが多すぎる。
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