394話 いたずらっ子のアルビナ令嬢
「そうね。もう少し、シンのことを楽しませてあげたいけど、そろそろ止めようかしらね。」
ニッコリと笑い二人に近づいていくアルビナ令嬢。
そして、シン王子の後ろに付ける。
シン王子は、アスガルさんを見ていて気が付いていないみたいだけど…
アルビナ令嬢、何をするつもりなんだろう。
「何をするんだ?」
「分からないけど、アルビナ令嬢もいたずらっ子の目をしているから、何かするつもりなんだろうね…」
そうネロとぼそぼそしゃべっていると、アルビナ令嬢が動いた。
シン王子の肩越しから、手を伸ばし頬っぺたを掴む。
シン王子は、痛かったのか小さく呻き、引っ張られる方に体を向けた。
もちろん、シン王子が向いた方向にアルビナ令嬢がいるわけだが…
うわぁ…アルビナ令嬢もいい笑顔。
「アルビナ…?痛いんだが?」
いい笑顔のアルビナ令嬢に戸惑いの表情を見せるシン王子とアスガルさん。
「シン?せっかく来てくださった方にそんな態度じゃダメでしょ?」
「ア、アルビナ?」
「それにずっと私のことをほっとくなんてどうかしていると思うんだけど、そこのところ、シンはどう考えているのかしら?」
うわぁ…笑っているのに全然、目が笑っていない。
すごいな。
二人とも黙らせちゃったよ。
アルビナ令嬢強し。
「怒らせるとやはり怖いな…あの令嬢。」
まったく、同意です。
すると、アルビナ令嬢がシン王子に見えない様に私たちの方へと向いて、ペロッと舌を出して、シーっと人差し指を口元へと持っていった。
生き生きしてるなぁ、アルビナ令嬢。
「やはり怒らせてはダメだな。」
「そうだねぇ。」
いたずらっ子アルビナ令嬢は、シン王子をも丸め込むと。
そう言えば、シン王子は絶対にアルビナ令嬢の尻に敷かれるだろうって話をしたことがあったな。
やっぱり、予想通りという事だろう。
「アルビナ、すまない。」
「分かればよろしい。」
「ご令嬢、失礼しました。」
「いいえ。こちらこそ、シンが失礼しました。」
アスガルさんも探るような空気をといて、アルビナ令嬢にお辞儀をする。
「チヒロとネロもすまないね。あそこまで心が読みづらい人がいると…ついね。」
アスガルさんも子供っぽい所があるんだ。
「なにか、不本意なことを思われた気がするが?」
私の心はそんなにも読みやすいですか?
「読みやすいよ?本当に分かりやすい。」
「さすがに読まれすぎじゃないのか…?」
ネロ…私もそう思ったからやめて。
「改めて、ご婚約おめでとうございます。シン王子、アルビナ令嬢。プティテーラの繁栄を、コスモスを代表して、お祝い申し上げます。」
「ありがとうございます。ゲートという支援、プティテーラの繁栄、必ずコスモスに恩を返させてもらいます。」
和解した?
アルビナ令嬢が間に入ることで、あっけない幕引きとなったけれど、コスモスとプティテーラが今後、うまくいけばもっとお互い交流できるようになるかもしれない。
そしたら、頻繁にプティテーラに遊びに行くことが出来るかも。
アスガルさん、私のためにもコスモスとプティテーラにいい関係をもたらしてください。
「チヒロ、父とは会えたか?」
「はい。シン王子とアルビナ令嬢が会場に入る前に、クヴェレ殿下とはお話しさせてもらいました。」
「聞きたい話は聞けたか?」
聞きたい話。
それ以上に話してもらった気がします。
女王様とクヴェレ殿下の話を…
「はい!」
「それは、良かった。」
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