表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
399/953

389.5話(4)クヴェレSaid 王女様のお願い


「招待状?」


テーブルに置かれた手紙に視線だけ向けて、問いかける。

俺に招待状って誰がそんなことを?

雫の一族と言っても、今はただの使用人なんだ。


「えぇ、パーティの招待状よ?」


あまりにも当たり前のように言う王女様に、頭を抱えたくなる。

そんなことは、分かっているんだ。

聞きたいのはそこではない。


「いや、なぜ俺に招待状が届いたのかを聞きたいんですけど。」

「みんな、王女の世話係に会いたいんじゃないか?」

「あの…ちなみに誰からの招待状でしょう…?」


誰がわざわざ俺に送って来たのかは、把握しておかないといけないだろう。

俺がそう問いかけると、三人ともピタリと固まってしまう。

なんだ?

そんなに答えにくい質問をしただろうか?

招待状が誰から来たのか聞いただけなんだけど?


「さ、さぁ…誰からかしらね。」

「名無しの…おこうか。」

「誰からでもいいと思うわ。」


そして、三人とも反応がおかしい。

なぜ、招待状が届いて誰からか分からないんだ。

怪しすぎるだろ…

そして、誰からでもいい訳ないじゃないか。

招待してくれた人に挨拶もできないんだぞ?

怪しい…

この招待状が誰から来たのか隠したがっている?

もしかして、何か企んでいるとか…?


「そうですか…ちなみに三人もこのパーティに参加されるのですか?」

「私たち?えぇ、するつもりよ。」


ならなぜ、招待状を送った主が分からない…?


「ならば、招待状に応じるわけにはいきませんね。誰が招待したのか分からないパーティに王女様を参加させるわけにはいきませんし。」

「え?」

「当然でしょ?主が危険な場所に行くのを止めない使用人がいると思いますか?」

「いや…でもね?」

「私は、貴方を守る責任がありますので、危険な場所に行かせることはありません。パーティなんて、どこから傷つけられるか分かりません。いいですか?誰が招待したか分からないパーティになんて絶対に行かせませんよ。」

「あの…」


慌てる王女様を無視して次々と言葉を繰り出す。

さて、王女様は、どうでるか?

バルドル様とロゼ様は、呆れた笑いになっていると言うことは、この招待状の主犯は王女様だろう。

バルドル様とロゼ様は、協力したに過ぎない。

ただ、もしそうだとしたら、もう少し頑張って計画を練った方が良かったな。

自分が出席するパーティの主催が誰か分からないなんて、謎設定おかしいだろう。


「それで?王女様、この招待状はなんでしょうか?」


トドメの一撃をいうと、うぐっと言葉に詰まり、モゴモゴとしだす王女様。


「トリウェア?もう正直に言ったら?」

「お前がクヴェレを嵌めるのは、無理があったんだろうな。」


ロゼ様とバルドル様の言葉通りなら、二人は協力しただけで、やはり計画の実行犯は王女様な訳だ。


「怒りませんので、どうしてこんなことをしたのか、教えていただいても?」

「…のよ」


ん?

なんだ?


「だから、クヴェレと一緒にパーティに参加したかったのよ!悪いかしら?」

「は?」


予想外の答えに言葉を失う。

そもそも使用人が参加するパーティなんてある訳がないだろう。


「私は使用人なので、パーティに参加することはありませんけど?」

「でも、一緒に参加したかったの。だから、クヴェレ宛に招待状が届けば、クヴェレはパーティに参加すると思ったのに。」


なるほど。

それで俺宛の招待状を出したという訳か。


「パーティの招待状が誰から来たとしても、俺は参加しませんけど…?」

「え?」


なぜ、それほど驚く?


「王女様、何度も言っていますが、俺は今は使用人として王女様に仕えている立場です。社交の場に赴く訳がないでしょう。」

「私が招待状を出したとしても?」


王女様が俺宛に招待状を…?


「王女様が俺に?なぜ?」

「だ、か、ら!クヴェレと一緒にパーティに参加したかったって言っているでしょ。」

「はぁ…」


頬を膨らませながら、文句を訴えてくる王女様にさらに首を傾げる。

なんで、こんなにこの人は怒っているんだ?


「私が一緒に行きたいと言っているんだから、一緒に行くわよね?」


本来なら、行かないけど…

ここまで言うのなら、何か理由があるのだろうか?


「そうですね…王女様がなぜそこまで俺と行きたいと仰ってくれるのかは、分かりませんが、何か理由がありそうですし、行くとは思いますね。」

「そう…じゃあ、どうしてもよ。一緒にパーティに参加しなさい!」


パアッと顔を明るくする王女様。

コロコロと表情が変わる王女様は、可愛らしいと思う。

仕方ない。

ここは、王女様のお願いを素直に聞くとしよう。


「分かりました…王女様の言う通りにしましょう。」


こうして、俺は社交の場に行くことになったのだった。

読んでいただき、ありがとうございます!


よろしければ、

評価、ブックマーク、感想等いただけると

嬉しいです!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ