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380話 交友関係は綱渡りだったらしい


会場の隅で、室内全体を見渡しながら、ズコズコと飲み物を啜る。

そこかしこがきらびやかで、そして賑やかだけど気品あふれる。

隣には甘いものを受け取って、もぐもぐと食べ進めているネロと、その様子を呆れながら見ているアスガルさん。


「本当に大人しくしているんだね…」


ストローをくわえがら目線だけアスガルさんに向ける。

チュッと吸ったストローから甘酸っぱい、けどシュワっとした感覚が口に流れてくる。

プハッとストローから口を離すと、炭酸が喉を通過しグッと喉に力が入った。


「さっきまで、賑やかだったので。私、賑やかな所もいいですけど、静かにゆっくりできる空間がやっぱり好きなんですよね。落ち着くと言いますか。」

「チヒロは、自分からトラブルに当たりに行っているようものだ。それに、何か常に起きていないと、ソワソワとして、ぜんぜん大人しくならないだろうが。」


まぁ、確かに何もないよりは、毎日何かと変化があった方が楽しいけど。

楽しいと落ち着くは、また別だしなぁ。


「さっきのご夫人ともプティテーラで知り合ったのかい?」


うーんと考えていると、アスガルさんが唐突な話題転換。

そうか、デウィスリ夫人のこと、アスガルさんには紹介できなかったのか。


「そうですね。クラト公子の紹介で、プティテーラの料理について、教えてもらいました。元々、月の一族の方で、クラト公子やナンナル王子、あと第一王子の教師だった方です。」

「チヒロ、君の交友関係には驚かされるよ。いつの間にプティテーラの貴族に人を紹介してもらえるようになったんだい…」


そんなことを言われたら、このパーティに招待してくれた人がパーティの主催であるシン王子とアルビナ令嬢だと言ったら、アスガルさんはどうなるだろうな…

さすがに怒られることはないだろうけど…


「いや、たまたまなんですよね。」


本当にたまたま。

ナンナル王子に会ったのもクラト公子に会ったのも、そこからお付き合いができるようになったのもたまたま。

でも、運が良かった。

良い知り合いに会えたし。


「アスガルさん、私たちはコスモスのゲートを通じてきた人たちに挨拶をしなくていいんですか?」

「挨拶をする気があったのかい…?」


いや、やるべきかもしれないけど、やらなくてもいいならやらないかなぁ…


「僕が大方、既に済ませている。君たちは大丈夫だ。」


それはありがたいけど、なんでだろう?

一応、コスモスのゲートを使ってもらうということは、お客様ではないのかな?


「コスモスの立場は、世界を開いてもらい、多くの世界に旅をするルートを開くこと。各世界の重要人物と関係を持つ機会もあるが、それは他の世界も同じ。世界が違う…関わることが相当難しい。だから、本来だったら上層部が対応するんだ。だから、これは僕の仕事だから、二人は安心してくれていいよ。」


このプティテーラでの関わりも、たまたま巡って来たんだっけ?


「もしかして、私、結構、綱渡りなことしてました?」

「今更、気が付いたのかい?チヒロの交友関係に驚きと不安でいっぱいだよ。いい関係を築いてくれているようだから、助かるけど、僕以外の上層部がこの話を聞いたら、冷や汗をかいていることだろうね。」


これは、シン王子にヘタレだと言ったとか、クラト公子に来すぎと言った事がアスガルさんにバレたら、怒られるだけじゃすまないかもなぁ。

結果的にいい方に転んだとはいえ、よく不敬罪を免れたものだ。

シン王子とアルビナ令嬢の懐の深さに…いや、うーん。

お互い一途に思い合ってくれていたことに感謝しておこう。


「お前のプティテーラでの交友関係を知ったら、アスガルは固まるかもな。」

「うーん。穏便に済ませたいな。」

「無理だろ。」


バッサリとネロに切り捨てられてしまった。

無理かぁ。


「あ、いたぁ!」

「お姉ちゃーん!それから、猫ちゃん!」


再びチビチビとストローを吸っていると、子供二人の声がだんだん近づいてきた。

そして、私の目の前に立ち止まると、ニコニコとした顔で私とネロを見上げてくる。


「リカちゃん、リオ君?」

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