36話 生きている飴細工
次に訪れたエリアは、エリア3の花の庭園。
何がすごいって、花一本一本がすべて飴細工で出来ているということ。
花の庭園の名にふさわしく、どこもかしこも花だらけである。
上から垂れ下がっていたり、クルクルと添え木に巻き付いていたり。
花の配置やデザインもその花の特性に合った生え方を活かしたものにしているのだろう。
異世界の花が、所狭しと、並んだ庭。
私が分かる見た目をしている花は、バラのような花。
地球と同じ形で、バラの蔓やとげも似ている。
トラジスがあまりにも優秀すぎて、私のわかる言葉に変換しちゃうから実際は、バラというのか分からないんだけど。
異世界に、こういう地球を思い出すものがあると、面白いって思う。
地球は、どこの異世界にもつながってなかったはずなのに、こうも似たようなものができるのかと。
もしかしたら、知られていないけど、どこかで繋がっているかもしれない。
それこそ、転生や転移を果たした、地球人が帰ってくるすべを見つけて、しれっと地球に帰って来ているかもしれない。
その時に、何か持ち込んで地球に広めていたら…とかね?
妄想が、ひとしきり膨らんで満足し、再び、飴細工のバラに目を向ける。
「すごいよね、これ全部、作ったのかな」
「人が作ったものが、ここまで成長するのは珍しいな」
「成長?」
私の言葉に、ネロはバラのつぼみに腕を向けた。
視線をネロの腕がさす方に持っていくと、ゆっくりとバラが咲いていく。
え?この花、生きてるの?
バラの飴細工じゃなくて、本当にバラってこと?
「バラの生物ってこと?でもこれ、飴だって説明に書いてあるけど。」
「分からないが、魔力を感じる。生物に近い存在ってことじゃないか?
それに、あの噴水もそうだが、ここにあるもの全てに魔力の気配がある。」
魔力のある飴細工か…
これが、人工物なのか分からないが、ミシュティにあるもの全てが、自然に発生したものだとしたら…
未知の現象を目の当たりにしているかもしれない。
謎があるってロマンがある。
「それに、採ることはできないが、自然に落ちることは可能らしいな」
他の観光客が、バラの花びらを採ろうとして、何かの力で手が弾かれた。
でも、確かに地面には、バラの花びらが落ちてる。
試しに、地面に落ちた花びらを触ってみると今度は、触ることが出来た。
「これも、魔力が関係している?」
「んー…あるとしたら、本体から離れると、魔力の影響を受けないとか、か?」
花びらを触ってみると、表面がつるつるしていて、やっぱり飴みたい。
飴の実を作る植物というより、飴そのものが成長している。
不思議現象だ。
ネロも、首をかしげている所を見ると、異世界でもあまり見ない不思議現象ってことでしょ?
お菓子の国、ミシュティ…
なかなかやるね。
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