366話 ミルキーウェイ
ブラーさんから、さっき言った以上のボトルを受け取り、これまたブラーさん達から受け取っていたポシェットにボトルを詰め込む。
若干ポシェットが悲鳴を上げている気がしないでもないけど、そこは無視をしよう。
全部詰め終えると、ネロとブラーさんは、ドン引きした目で私とポシェットを見ていた。
「あぁ…カバンが可愛そうなことになっている。」
「もし、カバンから声が出るとしたら、ぎょえぇぇぇぇぇ…だね。」
ちょっと、カバンを可哀そうな目で見ないで。
思ったよりもたくさん入るから、調子に乗ってブラーさんからいっぱい買い取ってしまった。
むしろ、コスモスの人たちのお土産、これでいいんじゃないかな?って思うレベルでいっぱい買った。
それに、ブラーさん。
鞄から声は出ないです。
でも、もし、もし出たとしても、そんな謎な叫び声じゃないと思いたい。
「あ、忘れる所だった。」
「なに?まだ何かあるの?」
大事なことを思い出し、口からポロリと言葉が出ると、ブラーさんの顔がギョッとする。
そんな追剥にあったような顔をしなくてもよくないですか?
実際、追剥に近いことはしたけど、あくまで私がしたのは買取だからね?
「そんなに怯えなくても。」
「怯えてないし。」
「もう買取ではないですって…」
そう告げると、ブラーさんは、疑いの目を向けつつも、少しだけ緊張を解いてくれた。
「名前です。」
「名前?」
「最初に聞いたでしょ?このボトルの商品名は何ですか?って。あと、売り出し文句は決まりました?」
「あぁ…売り出し方は、チヒロが前に言った方法を取ることにしたよ。二本一対のボトルを作り、チャームで差別化。あと、ボトルの形も種類を出せると思ってね。設定も、チヒロの世界のタナバタ伝説を借りようと思う。キャッチコピーは、『繋がる二人、色褪せることのない恋』だね。」
おお、ちゃんと考えられているし、私にも優しい。
これならば、私も他の人たちに説明がしやすい。
「ただ…」
「ただ?」
何か問題でも?
「名前については、悩んでいるんだよね。どれもしっくりこないと言うか。」
「どんな候補が?」
「そら。」
「そら?」
「そう、S、O、R、Aでそらとか…星とか。」
おぉ。
ストレートかつ分かりやすいとは思うけどね。
端的に説明しているし。
オシャレだとは思うけど。
しっくり来ていないのであれば、ダメだろう。
名づけた商品とは、今後も関わってくるだろうし、ないとは思うけど、名前がしっくりこなくて、愛着がわかなくなったなんて言われても困っちゃうし。
それに作り手がしっくり来ていないのであれば、大衆にもしっくりこないのだろうな。
それは、商品を売るうえで致命的だ。
「名前は、伝わりやすい方が、宣伝しやすいですよ。」
その単語が出たら、商品を連想できる…それくらい良いネーミングがあればいいんだけどね。
それか、名前にインパクトを持たせて、興味をそそるか。
CMって、そう言うのが多いよね。
CMに登場した人、曲、単語から、商品をイメージさせるものと、商品とは全く関係がないけど、インパクトでごり押しして、視聴者にCMの印象をつける物と。
まぁ、他にもあるだろけど。
「分かりやすい…そう言えば、チヒロ。タナバタ伝説で頻繁に登場していた天の川というのは、他に言い方がないの?」
「天の川…?そうですね。うーん…あ!」
「なに?なんかあるの?」
天の川…
夜空に輝く星の川。
「ミルキーウェイ…ですかね?」
「ミルキーウェイ?」
「はい。星の集合体とは、また違う意味なんですけど。」
自分で言っていて、思ったけど、なんでミルキーウェイ何だろう?
「ふーん…」
「あの?ブラーさん?」
「じゃあ、このボトルは、ミルキーウェイにしよう。」
えぇ?
そう言う感じで決めるの?
「しっくり来たし。本来のタナバタ伝説を盛り込めているし、いいと思う。決めた。このボトルは、ミルキーウェイね。」
にっこりと笑って、嬉しそうな様子を見て、まぁいいかと思う。
直訳すると、乳の道なんだけどね。
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