362話 ときめきと緊張の婚約パーティ
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水馬車に乗り込むときと、降りる時に盛大に注目されながらも、なんとかセレーネギアに着く。
注目された半分の要因は、クラト公子にあると思う。
愚痴りたい。
それはともかくとして、セレーネギアに着き、クラト公子に促され、月の門のところまで行く。
月の門は、大きなリボンと花で飾られており、まさにウェディングの装いなんだけど…
今日って、婚約発表なんだよね?
そのまま結婚しそうな勢いでは?
「どうだ?あの二人の本気は?」
「凄まじいですね…」
門を通過すると、花とリボンのトンネルが出来ていた。
花も、白やピンク、そして所々に赤やオレンジ。
ずいぶんと可愛らしい、花のアーチだな。
「でもちょっとだけ意外です。こんなに可愛いお出迎えなんて。」
「な。それは俺も思った。カッコつけのシンと素直にならないアルビナ嬢がここまで可愛らしい装飾をするなんて思わなかった。」
クラト公子の言葉は、それはそれは失礼なんだけど。
言おうとしていることは、同意だな。
「でも、アルビナ令嬢は、可愛い物が好きそうでしたし、シン王子もアルビナ令嬢には、甘々ですし。納得もできるんですよね。」
花のアーチを通りながら、プティテーラでシン王子とアルビナ令嬢に巻き込まれたことを思い出した。
…あはは。
「大変だったな…」
そして、ネロも同じようなことを考えているんだろうな。
二人そろって、難儀なものですね。
思いふけながら、花のアーチのトンネルを歩いていると、宮殿の入り口へとたどり着く。
「じゃあ、俺は用があるからここまでしか送れないんだけど、楽しんで。その方がシンもアルビナ嬢も喜ぶ。」
「はい、二人の婚約発表は、楽しみにしていたんです。楽しんできます。」
「それから、火の街宣伝大使のことも忘れない様に。」
楽しもうとしていたのに、仕事を押し付けて行かないでくれ。
心の底から楽しめないでしょ、緊張で。
笑いながら後ろ手に、手を振って去っていたクラト公子を恨めしく思いながらも、宮殿の大きな入口に胸がときめく。
「楽しむのはいいが、コスモス職員としての仕事はあるんだからな?」
「分かっているって。挨拶、忘れないようにしないとね。」
仕事なしで楽しむのは、無理だったな。
コスモス職員としての仕事と…火の街宣伝大使…
仕方ない。
お世話になった手前、断り切れなかったのも本当だし、しっかりと果たしてやろうではないか。
「ネロも宣伝大使するんだよ?」
「なんで俺が?」
「服を受け取っちゃったからだけど?」
直接、ドレスの荷物を手渡ししない辺りが賢いと言うか…
断るには時間も労力もかかる。
やった方が早いかもなぁ…って思わせるのが上手というか。
それを考えていたんだとしたら、ある意味、策士だ。
誰の作戦だろう?
やっぱりクラト公子かな?
「はぁ…広告塔なら、一瞬たりとも気が抜けないな。」
「え?当たり前だろ。人のブランドを背負っているんだから。人前では、まず気を抜けないと思えよ。」
「嫌なんだけど。」
「諦めろ。」
歩く広告塔って、そんなに大変なの?
一瞬たりとも気が抜けないなんて、嫌なんだけど。
早くも決意が鈍りそうになる。
「やっぱり、今から断りに行かない?」
「無理だろ。」
「なんで?」
「服を受け取ってしまったから…だろ?」
ニヤリと笑ったネロに、ガックシと肩を落とす。
「ほら、既に見られているんだから、しゃんとしろ。」
「えぇ…」
「情けない声を出すな。」
急にスパルタのネロが出て来てしまったんだけど。
パーティマナーを叩きこまれたときを思い出す。
「チヒロは、すぐに気を抜くから、多少、人に見られている方が矯正できるだろ?」
「矯正って…」
「対人の。」
別に、普通に関わる分には大丈夫なんです。
ここ最近、関わる人がおかしいだけなんです。
ここだけは、しっかりと主張しておきたいところなのだが、ネロには軽く流されてしまうのだった。
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