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356話 あの目は撫でてと言っています


しばらく小型飛行機の中で動物を眺めていたが、動物たちは襲い掛かってくることはなかった。

それどころか、時間が経つごとに、森の奥からどんどんといろんな動物が出て来て、小型飛行機の周りはモフモフパラダイスである。


「チヒロとネロは、何か動物を寄せ付ける匂いでも発しているのか?」


もしそうだとしても、動物が寄ってくるのと、動物を手なづける技術は、別の物だと思う。

そして、草食動物が肉食動物の前で寛ぐ理由も、肉食動物が草食動物を食べない理由も異世界とは関係ないと思うんだけど。


「まぁ…もし、異世界人にそう言う技術があるのだとしたら、このままナトゥラの新エリア開放は危険かもしれませんね。」


動物たちが、異世界人になついて攫われてしまうかもしれないし。


「いや…他の異世界人にその可能性はない。今までもシンが婚約を発表してから、新エリア開放が行われているが、今の所観光客から、動物を見たと言う知らせは来ていないし、気球に搭載されたカメラからも、動物の映像は確認できない。だから、異世界人というよりは、チヒロとネロの二人に寄ってきていると思うんだよなぁ。」


そうは言われても、私は全然思い当たる節がない。

ということは、ネロだけど、いままで一緒に旅行してきて、そんな雰囲気なかったしなぁ。

こういう風に動物と会わなかったと言うのもあるけど。

まぁ、ネロから何か漏れ出ていると言うことにしておけば、いいんじゃないかな?

同じ動物同士、通じるものもあるのだろう。


「動物さんたちが気まぐれで姿を現してくれたのかもしれませんし、私的には、運が良かったと言うことで、とても満足です。」


クラト公子は、思うことがあるのかもしれないけど、それは今解明できることでもないだろうし。


「そうだな。チヒロは満足したらしいが、ネロはどうだ?」

「俺か?あぁ、動物たちに会えて、良かったよ。」


ネロは、小型飛行機の周りにいる動物たちをグルっと見回して、微笑んだ。


「まぁ…二人が満足してくれたのなら良かったよ。そろそろ、飛行限界時間になる。カナリスに帰ろうと思うけど、何かやり残したことはあるか?」


やり残したこと…

モフりたいけど…


「あの…モフモフしたいです!」

「モフ…?」

「動物に触ることは、出来るのでしょうか?」

「え…?」


まぁ、普通のサファリパークは、ふれあいコーナー以外はお触りNGだし、期待はしていないけど。

それに、一応野生だしね。

さすがに触らせてくれないよねぇ。

オオカミのリーダーをじっと見つめると、オオカミも見返してくれる。

そして、スッと横になって寝転んだ。


「あれ…?」

「撫でていいとでも言いたげな、恰好だな。」

「いやいや、野生だって言ってるだろ?」


横になりながら、ジッと小型飛行機の方を見つめているオオカミさん。


「あの、じっと見つめて来ています。」

「撫でないのか?って言っている気がするな…」

「…だから、野生…あぁ、もう、分かったよ。その代わり、気球から出るのは禁止。あのホワイトムーンウルフがあの体勢から動いたら、撫でるの中止。それ以外でも。危険だと思ったら、気球ですぐ離脱する。いいか?」


クラト公子!

さすが、クラト公子です。


「まったく…」


ぶつぶつと文句を言いながら、クラト公子は小型飛行機の窓を開けてくれた。

スッと窓から手を出すと、ゴロゴロと転がるオオカミさん。

ヒェ…

可愛いんですけど。

さわさわ…

そっとオオカミさんの体に触ると、手にすり寄るように体をこすりつけてくる。


「く…クラト公子…」

「なんだ?手を食われたか?」


その返しは、どうかと思う。


「食われてません…」

「じゃあ、なんだ?」

「可愛いです。モフモフです。あぁ…癒しです。」

「そ、そうか…」


ネロも窓から手を出すと、動物たちがワラっと寄ってきた。


「ネロ、モテモテだねぇ。」

「そうか、こんなもんだろ?」


猫にじゃれつく、オオカミの絵面はなかなか見ないと思いますけど?

何でもないと言った風のネロに、心の中でツッコミを入れた。


「嘘だろ…本当にお前たち、変な匂いでもついているんじゃないのか?」

「やめてください。乙女に匂うなんて言うの…」


モフモフとした動物たちに囲まれ、癒しを貰い、満足したことで、動物たちにお別れを言い、カナリスへと帰ることにした。

カナリスに帰るときも、動物たちはジッと気球を見つめてくれていた。

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