347話 観光案内所でおススメスポットを聞きました
クラト公子が観光案内所に行くと言った後、ブラーさんにも一緒に観光しようとブラーさんを誘ったが、荷物を届けただけだと言って、クラト公子を置いて、そのまま帰って行った。
もちろん、帰るブラーさんを憎らし気に眺めているクラト公子。
そして、その置いて行かれたクラト公子を見る私とネロ。
だから、なぜそんなに敵を見るような目で見る?
「クラト公子?」
「大丈夫か?」
ブラーさんの去ったドアの方に目を向けていた、クラト公子に声をかける。
すると、スッと立ち上がって、私たちの方に振り向いた。
「あぁ。当たり前だろ。」
そうですか…
ならいいんですけどね。
そして、私とネロは、クラト公子を連れて、観光案内所へと向かっているんですけど…
「クラト公子…置いていきますよ?」
「重症だな。」
私とネロのだいぶ後ろを歩いているクラト公子。
舟には何とか乗せて、ゲート近くの観光案内所に着き、舟を降りる。
そこから徒歩移動だと言うのに、だいぶ後ろを歩いているクラト公子にため息がでる。
だから、そんなに心の準備が出来ていないのなら、またの機会にすればいいじゃん。
「おいていこう…」
「このままだと日が暮れるな。」
私とネロは、後ろを歩いているクラト公子を放っておくことにした。
そして、再び訪れた観光案内所。
白のコンクリート造りの建物が、なんだか懐かしい。
目の前の赤いドアを引いて、中へと入っていく。
「こんにちわ。」
「いらっしゃいませ。ようこそ…あら!コスモスの!」
グレーの髪に緩く巻かれた三つ編みを揺らし、私たちが来た音に振り向き、眩しい笑顔を向けてくれた。
「チヒロです。」
「ネロ。」
初対面の時、自己紹介したっけ?
してなかったかも。
コスモスの観光職員ということは、言ったけど。
改めて、挨拶をしないとね。
「はい。お噂はかねがね。すごいですね。」
何が凄いんだろう…
そして、なんの噂なんだろう…
聞きたいような、聞きたくないような…という感じである。
「それで本日は、どのような御用で?」
「また、ルアルさんに、観光スポットのおススメを聞きに来ました。」
一瞬、キョトンとした顔をして、再びにっこりと笑う。
「あぁ!前回も、私の話を聞いてくれましたね。カナリスはいかがでしたか?」
「水の都、きれいでした!」
「うまい物もあったしな。」
宿泊施設の案内、おすすめスポット、初日からお世話になったんだよな。
もっと、早く来ていればよかったかも。
「それは良かったです。そうですね。おススメ…そこにいるクラトは、何かないの?」
「えっ!?」
え?
後ろを見ると、ちょうどドアからクラト公子が入ってくるところだった。
クラト公子、いつの間に観光案内所に入ってきていたの?
「俺か?そうだな…今は、ナトゥラとかいいと思うけど。」
「いい紹介なんじゃない?」
あれ?
クラト公子、さっきまでの雰囲気とは全然違う。
ヘタレではない。
それにしても、ナトゥラ。
主要な場所は、シン王子に案内してもらったけど、まだまだ見どころがあると言う事かな?
「ナトゥラには、行ったことがありますか?」
「はい。何度か。」
月の約束の下見や、ナトゥラの地下に潜入していたことは、黙っておこう。
「現在、シン王子とアルビナ令嬢の婚約祭により、普段では気球でも近づくことが出来ない世界を囲う滝付近や、ナトゥラの上の方を開放しているんです。上からの見学になるんですけど、特別開放なので、おススメですよ。」
そう言えば、前回の訪問は、ナトゥラの世界の縁の滝周辺には、行かなかったな。
世界の中央をウロウロとしていたと言うか…
「アクアルテの上の方が開放されているんですか?」
「はい。普段は、火の街の職人や、そこに行く許可がある人達しか行けないんですけど、今回は、気球でなら入ってもいいそうです。」
火の街の職人さんが利用していると言うことは、モノづくりの材料がアクアルテの上の方にはあると言うことだ。
もしかしたら、ココロヴァートが見られるかもしれないよね。
他にも、動物がいるって言っていたから、それも見れるかも。
うん。
あらためて、ナトゥラ観光に繰り出すのも悪くないね。
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