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342話 クラト公子の片思いは初々しい


「今日は、助かったよ。ありがとう。」

「もう、あたりが暗くなっているし、これ以上君たち二人を拘束しておくのは、申し訳ないな。それに、お土産のデザインで頭を使った後に、相談にまで乗ってもらったし。」


気づかなかったけど、本当に暗くなってきている。

ブラーさんのボトルについて、四人で話をして、ある程度まとまってきたため、後はブラーさんとクラト公子にお任せすることにした。


「どんな商品になるのか、楽しみにしています。」


私たちが滞在している最中に、売り出しが始まれば、また火の街に来て買いに来ようかな。


「はい。」

「え?」


ブラーさんが、ボトルを二本持って、私に差し出した。


「ほら、あげるって言ったでしょ?」

「でもあれは、売り物になる前の話では?せっかく商品として取り扱うのに、私たちに渡してしまってもいいんですか?」

「いいから。」


強引に二本のボトルを私に押し付け、ブラーさんはそっぽを向く。


「まぁ、今日は世話になったし、このボトルのことも綺麗だと言ってくれたし…夜空の様だって言ってくれたこと嬉しかったし…だから…」


段々と顔を赤らめながら、尻すぼみになっていく言葉。

え…

もしかして、ブラーさんのデレ?

これが、デレなのか。


「なに?いるの?いらないの?」

「いります。」


ブラーさんのデレを噛みしめていると、キッと目を吊り上げ睨んでくる。

機嫌を損ねてしまわない様に、慌てて欲しいと告げると、ブラーさんの顔はふわりと和らいだ。

普段、ツンツンハリネズミなのに、デレると破壊力やばすぎでは?


「二人は、その商品の第一号なんだか、しっかり宣伝してよね。」


宣伝…

私とネロが?


「でも、私とネロは、一会社の上司と部下という関係なんですけど?」


恋人たちのために…のコンセプトとしては、少し外れているような気がする。


「いいんだよ。持っていてくれれば。別に、必ずしも恋愛に絡めなくても、いいコンビとして、持っている分には大丈夫でしょ。」


良いコンビ…


「ネロ、いいコンビだって。やったね。」

「おーそうだな。」


凄い棒読みだ…


「いいコンビかは、ともかくとして、これからも俺がチヒロに振り回される上司だと言う事には変わりないからな…」

「別に、振り回していませんけど?最近は、ネロだって、私に甘えて朝起きてこないじゃん。」

「それは、部下の仕事だろ?」


どんな部下だ。

そんな部下の仕事があってたまるか。


「はいはい、そこで言い合いをしない。二人が、仲が良いことはよく分かったからさ。」


クラト公子が私とネロをなだめてくるけど、今の言い合いは仲の良さを主張するものではないですが?


「そう言えば、公子。」

「なんだ?ネロ。」


ネロも不服そうにしているかと思いきや、ニヤリと笑ってクラト公子を見ている。


「お前は、そのボトルを渡さないのか?あの、観光案内人の女性に。」

「な…?」


そう言えば、クラト公子は片思い中だったよね。

観光職員の女性?

…え?

もしかして、ルアルさん?

プティテーラに来て一番初めに出会った観光案内所にいた女性。

雰囲気は、ふんわりとしていて、まさにかわいいと言った感じだけど…

確かに、どことなく、アピさんに雰囲気が似ている気がする。

チラリとクラト公子の方を見ると、顔を真っ赤にして固まっていた。

おぉ…

クラト公子…初対面の時に軽そうとかチャラそうとか思ってごめんね。

そんなこと、全然なかったね。


「ネロ、よく分かったね。クラトから聞いた?」


クラト公子の様子を見て、ケタケタと笑っているブラーさん。


「いや。ただ、前に火の街に来た時に、公子が女性のことを見つめていてな。雰囲気があの観光案内人の女性に似ていたから、もしかしてと。」

「な…」


確かに、アピさんのこと見ていたなぁ。

シン王子も、思い出していると言っていたし…

クラト公子って意外とムッツリさん?


「それに夫人の所でも、片思いだと言うことを暴露されていたし。しかも、公子は俺たちの行動も結構把握していたし、観光案内所にでも通っているかと思っただけだ。確証はなかったが、そうだったのか…公子?」


わなわなと震えるクラト公子を見て、完全に煽り耐性にはいったネロ。

楽しそうだなぁ…

生き生きしているなぁ。


「でも、クラト公子って、女性慣れしてそうな雰囲気なのに、片思いなんですね。」

「チヒロ何言っているの?クラトは、女性慣れしているけど、あくまでそれは女性への気遣い。恋愛…ましてや好きな人には、こうして奥手になってしまうのさ。」


へぇ…意外かも。


「なら、ちょうどいいんじゃないですか?告白の背中を押してくれるボトル。クラト公子もブラーさんから、買った方がいいですよ。」

「それいいね。クラトとルアルが僕のボトルを持ってくれれば、さらにいい宣伝になるんじゃない?」

「それは、もちろんです。宣伝には時間がかかるものですけど、世間に影響力がある人が関わると、一瞬で拡散されることもあるんですから。」

「公子の恋愛の後押しが出来て、ブラーの店の宣伝にもなる。それは、盛り上がるな。」


クラト公子を置いて、私とネロ、ブラーさんは大盛り上がり。

ニヤニヤしながら、クラト公子を三人で見ると、顔に手を当ててガックシとしているクラト公子がいた。


「勘弁してくれ…」

「いい恋愛が出来るといいですね!」

「チヒロが言うと、怖いんだよ。」


なにを!

確かに、独自の恋愛観を語ったけど!

気持ちは変わると言ったけど、別に冷めるとか悪い意味でだけではない。

恋から愛に変わるのも、気持ちが変化すると言うでしょ?


読んでいただき、ありがとうございます!


よろしければ、

評価、ブックマーク、感想等いただけると

嬉しいです!


よろしくお願いします!

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