333話 コスモスの皆を想像しながら作るのが楽しい
順調に、コスモスの人たちへのお土産デザインを考えていく。
最初の一、二個はと、戸惑いながらの挑戦だったけど、何回かやって行くにつれて、ドームアートづくりに慣れてきた。
もちろん、慣れると言っても見た目完璧といったやつでは無くて、あれの次はそれ、それの次はこれ…段取りを覚えたと言う事なんだけどね。
いい成長、いい進歩。
何事も覚えるという作業が大切なのだ。
段取りを覚えてこそ、スムーズな作業が出来ると言うものである。
「フェリシアさんには、蝶々のラメを使いたいな。」
「蝶?なんでだ?」
「え?蝶でしょ。フェリシアさんって。」
「あいつはどこをどう見ても毒蜘蛛だろ…」
いやいや、あの美しさは蝶だって。
「毒を持つものほど、見た目が美しく鮮やかだったりするんだぞ?」
それは聞いたことがあるかも。
毒をもつものほど、キノコは鮮やかで綺麗だって。
「美しいと思って触ったものが、毒を持っていて、そのまま死に至るケースだってあるぞ。」
まぁ…そうなんだけどさ…
ネロは、フェリシアさんのことを何だと思っているのだろう?
「あとで、フェリシアさんにチクろ。」
「やめろ…」
まぁ、フェリシアさんは目の笑っていない笑顔で、ありがとうって言いそう。
「お前も大概、フェリシアのイメージ良くないよな。」
「そんなことないですけど?フェリシアさんには、お世話になっているし、親切にしてもらっているし、だからこそ感謝しているもの。」
「あーはいはい。フェリシアに、チクろ。」
勘弁してください。
フェリシアさんの真顔の笑顔、怖いんだもん。
「それで、他の奴らは?」
「アンジュ君とアンヘル君には、天使の羽ラメ。リリスさんには、黒ラメかなぁ。カイン君はもちろん赤!」
「いいんじゃないか?」
こうやってみんなを思い浮かべながら、作業をするって楽しい。
土台も、それぞれ別にして、魚が泳いでいたり、天使が飛んでいたり、花畑を作ったり…
ネロと私が意見を出し合いながら、しっくりくるものを当てはめていく。
「結構進んだんじゃない?」
「そうだな。まぁ、時間も結構立っているけど。」
「嘘?」
時計を見ると、作り始めてから四時間位が経過していた。
嘘!?
こんなに時間が経っていたなんて。
夢中になってやり過ぎた。
反対側に座っていた、クラト公子とブラーさんの姿は見えなくなっている。
「二人はどこにいったんだろう?」
「さあな。何を言わずにいなくなったのであれば、特に何かを伝える必要がなかったんだろ?」
「えぇ?」
「それくらい、集中して作っていたんだから、仕方ないだろ?」
そうだけどさぁ。
店主そっちのけで夢中になってしまうとは思わなかった。
すると、ブラーさんとクラト公子が部屋の奥から出てきた。
「あれ?終わったの?」
「いえ、やっている途中なのですが、ふと二人がいないことに気が付きまして。」
「あぁ、邪魔しちゃいけないと思ってね。それに、二人が楽しそうにやっている姿を見たら、僕も新作を作りたくなったんだよね。だから、その材料を奥から取って来たんだ。クラトはその手伝い。」
奥の部屋から戻ってきたブラーさん達は、お盆を持って、その上にいろんな種類の道具が置かれていた。
「新作ですか?」
「そう。ガラスの形も小さめにして、可愛いサイズのガラスアートを作るんだ。」
なんだか面白そう。
「チヒロ達は、まずその作業を終わらすこと。明日も、火の街に来たいわけ?さすがに火の街の住民たちも驚くよ?」
三日連続かぁ…
悪くはないけどね?
でも、同じことをやって時間を過ごすには、ちょっともったいないかも、
せっかく、旅行に来ているわけだしね。
「出来たら見せてあげるから、二人はまた作業。わかった?」
「分かりました。」
「あぁ。」
ツンツンしているけど、世話焼きなんだよね。
ブラーさんって。
「クラトは、僕の手伝いね。」
「お前は、俺のことを雑用係だと思っているのか…?」
そして、クラト公子はちょっと哀れなことになっているけど…
ブラーさん達がどんなものを作るのか気になりつつ、私とネロもお土産づくりに再び戻ることにした。
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