332話 キラキラ舞うラメは、まるで魔力の様
「必要なものは、水と液体のり。それから自分が作りたいパーツの部品どを集めれば、オーケー。」
机の上に昨日作ったガラス瓶とドームアートで使うであろう材料たち。
ガラスの中で舞っていたラメたちは、水と液体のりの粘り気で浮いていたのか。
あれ?
「私たちが作ったガラス瓶って、蓋なんかついていましたっけ?」
机の上に並べられているガラス瓶たちには、もれなくセットでガラス瓶のふたが付いていた。
昨日ネロが作ったのは、ガラス瓶だけだし、そもそもオリジナルで作ったガラスの瓶に蓋なんてある訳がない。
「ああ、それは昨日のお礼。俺とブラーが二人で作ったやつ。ドームアートには、どうしても瓶のふたが必須だからな。」
「感謝してよね。」
えぇ?
この量のガラス瓶のふたを、二人で作ったの?
凄すぎないか?
感謝するに決まっている。
え?え?
どうやって、感謝を表せば…
ブラーさんたら、素直にお礼を受け取ってくれないし。
でも、これはきちんとお礼がしたいし。
「チヒロ…顔がうるさい。」
顔が…うるさい…
どんな牽制の仕方ですか?
「まずは、パパっと僕が作って説明しちゃうね。見てもらった方が、分かりやすいだろうし、イメージも沸くだろうから。」
そういって、ブラーさんは、瓶のふたを裏返しにし、瓶の内側に入る部分を上にしておく。
そこに、オブジェとして、小さい木を一本置いた。
もちろん木のサイズは、瓶に収まるほどの大きさ。
そして、瓶の方に水とノリをパンパンに入れる。
瓶の中に入った水と液体のりの中に、ラメを入れてグルグルとかき混ぜた。
すると粘り気のある、液体のりの水の中でラメが舞い上がる。
おぉ…これだけでも綺麗かも。
最後にガラス瓶に先ほど木をくっつけた蓋をすれば完成。
木の周りに光が飛んでいるかの様な、綺麗なドームアートになっている。
「おぉ…手早い。」
「まぁ、これは説明のために、簡易的に作った物だし。このふたの部分がどれだけ凝れるかによって、出来が全然違うからね。」
確かに、ふたのイメージによっては、善し悪しが変わるかもしれない。
「さて、見本も見せたことだし、さっそく作ってもらおうかな。じゃないと、なん十個も作り切れないし。」
「え…?」
「お土産は、数十個は作らないと…みたいなこと言ってたでしょ?作業自体は単純だけど、センスも問われるから、結構頭使うと思うよ。」
センス…
それは置いておいてと…
「ネロ、さっそく作ろう。」
「そうだな。まずは誰から作る…?」
「うーん…アルバートさん!」
アルバートさんの名前を出すと、ネロは顔を歪ませたが、その後仕方ないと言った風にため息をついた。
「アルバートか…やるか。」
「うん。」
二人でイメージをすり合わせながら、共通の知人へのプレゼントを作っていく。
ミシュティの時は、出来合いの物を買ったけど。
こういう手作りのお土産も、趣があっていいんじゃないか?
「アルバートさんは、やっぱり魔力のイメージがあるよね。私のお師匠さんだし。」
「まぁ、コスモス一の大魔法使いだしな。」
「このラメって、魔力が舞っている時と似ているよね。」
水中で漂うラメは、まるで魔力を収束し、拡散する時と似ている。
「チヒロにしては、いい案なんじゃないか?」
「私にしてはって…どういう事よ。」
「そのままの意味だが?」
センスはないけど、頑張ってるってことね。
大丈夫です。
自覚してるので。
「こういうのは、気持ちだって誰かが言ってた。」
口をとがらせながら、拗ねたポーズをしてみると、ジトっとした目でこちらを射抜いている。
「誰かって誰だよ。」
「誰かは、誰かだけど?」
「だから、誰だそれ。」
全く口うるさい猫ちゃんなんだから。
「手を動かしてくださーい。」
コスモスの人たちにお土産を作りつつ、私はネロに叩かれるのだった。
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