324話 私は変態ではありませんけど?
ブラーさんとクラト公子は、お店に設置してあった固定電話でどこかに連絡をし始めた。
本当にこの状況で、誰かしらが来るのね…
二人とも電話を終えると、満足そうな顔をしている。
そんなやり切ったという顔をされても、まだ何も終わってないのですが。
「よし。じゃあ、外に出るか。」
「そうだね。」
クラト公子とブラーさんに促され、結局私たちも外に出ることになった。
赤い扉を超えて、長い廊下を渡り、一番初めに入ってきた入口から出る。
外に出たことで、室内と違った眩しさに一瞬目を閉じる。
室内の明るさに慣れると、外の明るさって、ちょっと眩しいんだよなぁ。
「あ、来てる。」
目を閉じていると、ブラーさんの嬉しそうな声。
その声の様子が気になり、そっと目を開けると、二人の男の人が立っていた。
誰だろう?
体つきは、がっしりとしていて、体をしっかり鍛えている人達なんだろう。
ブラーさんは、その人たちに駆け寄り、先ほど私とネロに見せてくれた設計図を、その男性たちに見せていた。
え?
もしかして、あの人たちが火の街の職人たちなのだろうか?
体つきから、職人と言われても納得はできるけど、二人だよ?
「テール、アゲル、よく来てくれたね。」
クラト公子もその二人に声をかけると、スポーツマン並みのさわやかな笑顔でクラト公子に笑いかけていた。
顔つきが似てる…
もしかして、兄弟とかかな?
「チヒロ、ネロ。こっちに来て。」
クラト公子が私たちを呼ぶと、奥にいた二人は首を傾げた。
「クラト公子、どなたっすか?」
「あ、でも、前に火の街で見たことあるかも。」
近くで見ると、半そでから見える腕の筋肉がいい感じだ。
でも、ガタイはよさそうと言っても、細マッチョ?
服の下とかどうなってるんだろ?
意外と着やせしているタイプかな?
腕を見る限り、服の下も筋肉はしっかりと付いているんだろう。
「あの?」
「大丈夫っすか?」
やば…まじまじと体を見つめてしまった。
ラックさんもいい体つきをしていたけど、この二人マジでいい体だな。
別に筋肉フェチではないけど、服から見える腕の筋肉の筋や、首のラインに目がいくというか。
「すみません。」
良い体なので思わず見てしまいまして…とは、さすがに言えないけど。
別に私が変態な訳ではないと思う。
足が細くてきれいな女性を見たら、自然とそこに目がいったりするじゃん?
綺麗な髪の毛だったら、目を引くじゃん?
姿勢がいい人は、立っているだけで、ずっと見ていたくなるじゃん?
そういうことだから。
心の中で自分に言い訳をして、私はにっこりと笑って体裁を保つ。
まぁ、ネロの目を見る限り、ネロにはしっかりとバレていましたが。
「そう。この二人が、ブラーの店のリフォームをしてくれる、テールとアゲルね。見ての通り、双子の職人だよ。」
似ているとは思ったが、双子だったか。
赤茶の髪の毛を短髪刈り上げ、さっぱりとした雰囲気。
スポーツマンにだったら、引っ張りだこだろうな。
「そして、この二人が、チヒロとネロ。コスモスから来た人たち。」
クラト公子に紹介してもらい、ネロと二人でペコリとお辞儀をする。
「あー…コスモスから来た第一王子の友人の方たち。」
「クラト公子も、前に火の街を一緒に歩いていましたよね。」
どんな覚えられ方をしているんだろう?
パーティに参加している人たちからは、女王の前で転んだ奴。
街の人たちからは、王子の友人。
なんか、目立ってない?
「すっかり有名人だな?」
「誰のせいですか。誰の。」
ヘラヘラと笑うクラト公子に、貴方が連れ回してくれたからだよ…と文句を言いたい。
でも、助かったのも事実なので、心の中で言うことにするけど。
「それじゃあ、すぐに取り掛かるので、どこかで暇でも潰してきてくれていいですよ。」
「一時間くらいはかかるので。」
一時間?
壁をぶち破ったり、窓を取り付ける大掛かりな作業を一時間でやるの?
一体、この人たちは、どんな作業をするというのだろうか。
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