表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
329/953

323話 思い立ったら即行動です


よくよく考えたら、なんでこんな事になったのだろう?

机の上に広げられた、お店の設計図。

それを真剣に見つめながら、意見を出し合う、ブラーさんとクラト公子。

私たち、ここに何しに来たんだっけ?


「それで、お店の雰囲気はこんなもんでいいの?」

「あぁ…はい。」


さっきまで、ツンツンしたハリネズミだったブラーさんが、私に意見を聞いてくれることにソワソワする。


「あの、今すぐ、リフォームなんてできないと思いますし、今日はその辺で終わりにしても…」


私は、お土産探しに来たというのに、なぜか話が逸れに逸れまくっている。

ドームアートづくりの話は、一体どこに消えてしまったと言うのか…


「何を言ってるの?こういうのは、思い立ったらすぐ行動でしょ?プティテーラが、外交を開いたばかりの今がチャンス。観光客の人たちの気持ちをしっかりつかみ、プティテーラにも異世界にもドームアートの存在を広めてやるんだから。」


言っていることは、確かにその通りなんだけど。

店の立て直しなんて、すぐにできることじゃないでしょ。

一応、私とネロもドームアートを作りに来たお客さんだと言う事を、ブラーさんは多分忘れているんだろう。

お客さんを使った宣伝効果というのもあるのになぁ。

あと、今だったらシン王子とアルビナ令嬢の婚約発表の献上品とか?

俗っぽい話にはなるけど、宣伝効果としては抜群だと思う。

それに、純粋にこのドームアートを貰ったら、シン王子もアルビナ令嬢も嬉しいと思うんだけどなぁ。


「あの…」

「今度は何?」


そんな食い気味に話を遮りに来なくても…

気合十分なブラーさんは、とにかく真剣で…

これはもう、黙って見てるしかないかもなぁ。


「なぁ、お土産、このままで行けるのか?」

「うーん。なんか、話を切り出す順番を間違えたかもしれないねぇ。」


ネロも、ブラーさんとクラト公子の様子を見てどうした物かと言った感じだ。

まぁ、さっきよりも二人とも楽しそうだし、それはそれでいいんだけどね?


「チヒロ、ネロ。この設計図はどう?」


このやり取りも何回目だろうか。

緊張した面持ちで、図面が書かれた紙を私とネロに見せてくれる。

紙を覗いて確認してみると、今までとは全く違うお店の図。

ドアを作り、お店に入りやすくしたうえで、窓をつけ外からチラリと中が見えるようにする。

中の雰囲気を明るくし、天井から吊下がったガラスの球体がキラキラと輝くように設置。

店内も通路を広くし、動きやすくしたうえで、ディスプレイをするための棚を設置。

そして、なにより長くて面倒くさい廊下をドームアートの展示場として置き、その先にドームアートを作る体験スペースを作る。

廊下の方は、店内と逆に光を抑え、夜を表現。

キラキラと輝くガラスたちによって、星のような輝きが出るようにと考えられていた。


「いいですね。ワクワクします。」

「入りやすいうえに、見やすい。興味をそそる工夫もあるし、なにより楽しそうだ。」


設計図からでも伝わるワクワク感。


「じゃあ、さっそく作り変えるぞ。」

「そうだな。善は急げというしな。」


ん?

今なんて?


「ちょっと、待ってください。今から、店の中をリフォームするつもりですか?」


焦った私を不思議そうに見つめる二人の顔。

なんでそんな顔をするの?


「あの…私一応、ドームアート作りに来たんですけど…」

「あぁ、だから、店が出来たら、続きを教えるって。」


続きも何も、最初から何も教わっていないのだが。

お客さんがいるのに、お店のリフォームを始めるな。


「店のリフォームって、時間がかかりますよね…?今日中には、ドームアートを作ることが難しいってことでしょうか?」

「何を心配しているかと思えば、そんなこと?」


そんなこと…ではない。


「心配するなって。」


不安そうな顔をしていた私に、クラト公子が声をかけてくれる。

それでも、心配はなくならないけど。


「心配って…そりゃあ、しますけど。」

「大丈夫だって。火の街は、職人の集団だからさ。」


華麗なウインクをバチコンと決めてくれたクラト公子とブラーさん。

うーん…

私たちって、本当にここに何しに来たんだ?

正直、ここに来た目的を疑問に思いつつ、お店の出来も気になると言えば気になるし、完成まで待つことにしたのだった。

読んでいただき、ありがとうございます!


よろしければ、

評価、ブックマーク、感想等いただけると

嬉しいです!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ