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321話 じゃあ、壁でも壊しますか?


「本気?」

「はい、お世話になっている人たちに渡したいので。」

「しかも、取りあえずって言った?」

「はい。なので、まだ増えると思います。」


企画宣伝課のメンバーに、いつもお世話になっている部長職の三人。

それから、お買い物担当になったことにより、今後お世話になるであろう四人。

そして、面白い話を聞かせてくれるユオ。

これで14人なんだけど。

それから、ミシュティの人たちにも国際便みたいなもので送れたりするのかな?

送れるんだったら、メルにプレゼントしたいな。

メルは、こういうの好きそう。


「ちょっと予想外なんだけど…」

「良かったな。大量発注が来たじゃないか。」

「こういうものは、大量発注するものじゃないから!」

「いいだろ?お客さんも、あまり来ないんだし。」


クラト公子が、気になる言葉を言ったな。


「そうなんですか?こんなに綺麗なのに。」

「あぁ。ブラーがちょっと性格に難があるだろ?」

「あぁ…」

「ちょっと?否定しろよ。」


クラト公子の言葉に、思わず反射で同意してしまい、ブラーさんに横から睨まれた。


「ひぇ…」

「お客さんもまばらなんだよな…」


だから、今後、プティテーラの代表的なお土産になるであろう物と言ったのか。

言い方が少しおかしかったから、何事かと思ったけど、そういう事か。


「ブラーの性格に難がないなら、こんなに綺麗なものが売れないわけがないだろ?」

「僕の性格のどこに難があるって言うのさ!あぁ??」


ガラ悪…

ブラーさん…

もしかしたら、そういう所かもしれません。

クラト公子とブラーさんの言い合いは、そっとしておこう。

辺りを見回して、お店を見て回る。

まぁ…原因は…


「分かりづらい」


そうそう。

分かりづらい…ってあれ?

声のした方を見ると、そこには、ネロがいた。


「ネロ。」

「ここの店が売れない理由なんて、決まっている。」

「まぁ…そうだろうね。」


はははは…

ブラーさんは、職人というモノづくりに能力を全振りして、経営戦略方面は、あまり得意じゃないかもしれないな。

この家に入ってから、思った事なんだけど。

なんで、ドアから入って、しばらく歩いてまたドアがあって、その向こう側に店を構えているのだろう?

お店に入るの、面倒くさくない?

しかもこの部屋には、赤いドア一つしかない。

ということは、あの長い廊下を歩いて、ここまで来なくてはいけないのだ。

お店に入る理由は、欲しいものがあるという明確な理由と、少し気になったから見て見たいという、曖昧な理由がある。

欲しいものが明確化している人たちは、欲しい物を買うことが目的のメインなので、余計な買い物はなかなかしない。

だから、売り上げを出すには、気になったからという曖昧な理由を持った人たちを確実に掴み取る所にあると思う。

曖昧な理由の人たちは、面倒くさいことはしない。

絶対欲しい物ではなく、あくまでいい物があれば買いたいという感覚だからだ。

それに、外の雰囲気とお店の中の雰囲気が違うのも、売り上げが伸びない理由なんだろうな。

せっかく綺麗なんだけどなぁ…


「なに?二人して。お店の中を見回して。何か気になることでもあるの?」

「いえ、なんだかもったいないなぁって。」

「そうだな。せっかく綺麗なのにな。」


うーん…

やっぱりもったいないなぁ。

でも、余計なお世話かなぁ…?


「なんだ?二人とも。この店が盛り上がる方法でも思いついたか?」

「まぁ、あるには…あるんですけど。」


口出ししすぎるのは、この手のタイプの人は好きじゃないだろうし。

ちょっとだけ、歯切れ悪い言葉が私の口から出ていった。


「なに?この店がうまくいく方法があるって言うの?だったら、教えて欲しい。僕は、ドームアートを続けていきたいし、この良さを分かってほしいんだ。」


真剣なまなざしでブラーさんは、私とネロを見てくる。


「うーん…じゃあ、あそこの壁を壊しますか?」

「は?」

「え?」


何を言っているんだと言う顔で、再び私は見られたのである。

だから、言いたくなかったのに。

読んでいただき、ありがとうございます!


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