表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
324/953

318話 好きを説明するのは、難しい


クラト公子に舟を任せ、火の街へ来た。

私が運転をかって出ようとしたら、クラト公子とネロに止められてしまった。

舟を置いて、火の街に降り立つ。

一昨日振りなんだよなぁ。

自分でも思うけど、やっぱり火の街に来すぎだろう。


そして、火の街を歩くクラト公子は、特売品売り場のように人が寄ってくる。

特売品エリアを一人抜け出て、小さい男の子がクラト公子の方に来た。


「クラト公子、今日は帰ってくるのが早いね。サボり?」


ほう。

クラト公子にこの口の利き方。

そして、はっきりとサボりと言い放つ臆面のなさ。

将来、大物になるに違いない。


「サボりじゃない。よく見ろ。俺は、今日、火の街を案内するんだ。」

「でも、前も案内してたよね?この人たちのこと。」

「あぁ、この人たちは、火の街のことが好きになったらしい。だから、何回、火の街に遊びに来たとしても、飽きないんだ。」


いやいや。

何を言っているのか…


「へぇ、火の街好きなのか。」


そうすると、クラト公子に話しかけていた、男の子は、今度ターゲットを私とネロに変えた。


「そうだね。火の街は好きだよ。」

「どこがだよ?好きなんて言葉は、簡単に言えるんだぜ。」


おませなちびっ子よ。

どこでそんな言葉を覚えてくるの?


「ほら、火の街が好きなら答えることが出来るだろ?」


ブスッとしながらも、どこか真剣な目をしている男の子。

なんだか憎めないんだよねぇ。


「おい、絡むのはやめろ?」

「そうだね…」

「チヒロも大丈夫だ。」


クラト公子は、気を使ってくれているみたいだし。

まぁ、自分の好きな街のことを、見ず知らずの奴が好きと適当に言っていたら、まぁ気にいらないだろうな。

私は、男の子の目の高さに私の目線を合わせるようにして、屈む。


「人が温かいところかな。」

「へ…?」


せっかく答えたのに、なんだ、その間抜け面。


「前回、クラト公子に案内してもらった時にも思ったんだけど、クラト公子が来ると、クラト公子の周りに人が集まるでしょ?でも、クラト公子がいないときに来ても、人の周りには人が溢れていた。そういう街の雰囲気っていいなぁと思って。職人としての技術は、研ぎ澄まされているのに、温かい雰囲気。私はそういうのが好きだよ?」

「……」

「ご満足いただけたでしょうか?」

「…うむ。仕方ないから、火の街に足を踏み入れることを許そう。」


口をぷっくりと、フグのように膨らませていた男の子。


「お許しいただけましたね。」


クラト公子の方を向いて、ピースサインをすると、ポカンと口を開けたクラト公子が、やれやれと言った雰囲気で笑った。

そして、男の子の頬を思いっきり、引っ張った。


「いひゃいひゃ。」

「俺の客人だぞ?チヒロとネロが優しくてよかったな?こう見えても、この二人、ちょっと偉い立場なんだからな?」


こらこら。

子どもに嘘を教えるんじゃない。

下っ端ですから。

コスモス職員の新入社員だから。


「だって、火の街のこと悪くいうやつなんて、火の街に来てほしくない。それに、プティテーラにも来てほしくないもん。」


観光客と何かあったのかな?

いろんな人がいるしねぇ…


「でも、お姉さんたち、ごめんね。」

「全然。むしろ私は将来、有望な子とおしゃべり出来て、ラッキーでしょ?」

「お前は何を言っているんだ…?」


可愛い子どもの素直な謝罪に、心もほっこりしてしまう。

ネロの言葉なんて気にならないくらいに。


「悪いな。」

「いえいえ、全然?面白い子は好きですよ?」

「チヒロの面白い基準が分からないが、さっさと、ここを離れるか」


このまま、クラト公子の特売市場をしている訳にもいかないしね。

そんなことをしていたら、日が暮れてしまうよ。


「クラト公子は、愛されてますねぇ。」

「恥ずかしいから、やめてくれ…」


街の人たちもクラト公子が大切な様に、クラト公子も満更でもないと言った感じだろうか?

照れなくてもいいのにー。

読んでいただき、ありがとうございます!


よろしければ、

評価、ブックマーク、感想等いただけると

嬉しいです!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ