315話 プレゼント作りの楽しさに気づいたか!
ネロの体をドライヤーで乾かし、しっかりと櫛で梳かしていく。
私がネロの機嫌を取るためにしたことは、猫ちゃんを気持ちよくしてあげて、機嫌を取ろう大作戦。
しっかり乾かし、毛を梳いて、よしよし、わしゃわしゃと撫でる。
ネロもゴロゴロと気持ちよさそうにしていたので、機嫌取りには成功したのだろう。
「ネロー。寝ないで。」
「…なんだ。てっきり寝かせようとしていたのかと思ったが?」
「一時間後に集合って言ったでしょ?これから、プティテーラお礼大作戦をするんだから。」
「だから、なんだよ、それは。」
呆れかえったネロの声は、ほっておいて、机の上にミサンガの糸を並べていく。
「作ります。」
「…今からか?」
「そう。本当は、今日一日を使って作る予定だったけど、無理だったし。それに昼は、誰かが来る可能性を捨てきれないので、一日の終わりにコツコツと作って、終わらせたいと思います。」
「お前…これをいつまでに完成させるつもりなんだ?」
あー…そうだなぁ。
「シン王子たちの婚約パーティに渡せる人だけでも渡したいよね。」
「人様の婚約パーティにか?」
「シン王子とアルビナ令嬢には、大丈夫でしょ?」
「それもそうか。」
少し考えるそぶりを見せ、ネロは納得してくれた。
「そういえばさ、婚約パーティに何か持って行った方がいいのかな?」
「お前が?」
「私の世界では、結婚式には、お金をいくらか持っていくんだけど…あと、お気持ち品?王族の婚約パーティって、何か持っていくものあるの?」
「お前からお金をもらう必要は、あの二人にはないと思うが。」
「それはそうかもしれないけど…」
私の微々たるお金は必要ないと?
初めから、お金なんて持っていくつもりないけども?
「こういうのは、気持ちでしょ?何か持って行った方がいいの?」
「そうだな。酒とか、花とかが妥当なんじゃないか?」
花か。
お酒は良さが分からないから、お気持ちにしても、あげられないな。
お花なら可能性あるかも。
「だが、俺は、このミサンガでいいと思う。」
「え?王族の婚約パーティだよ?本気?」
「気持ちなんだろ?感謝の気持ちで渡すなら、このミサンガが一番いいだろ。」
ネロ…
そんなふうに言ってくれるとは思わなかった。
「なら、ミサンガ作り、より頑張らないといけないね。」
「今から作るんだろ?」
「そうです。」
前回、ネロに作り方を教えたし、今回は前回よりも少し応用して、模様をつけるミサンガもありかもしれないな。
「じゃあ、さっそく作っていこうか。」
「了解。」
二人でミサンガ作りをし始めて思う事。
ネロって、本当に器用なんだよね。
「ネロ…それは?」
「ミサンガは糸の結び目が模様になるんだろ?結び目を変えたら、違う模様になった。面白いな。ミサンガ作り。」
既にコツをつかみ、私の教えは全く必要ないみたい。
「それ、誰当ての物だっけ?」
「ラックの色合いじゃないか?」
「ラックさんか。」
ラックさんの色合いは、青、水色、オレンジ。
使う色の数は、九本。
糸の本数を増やすと、ミサンガが太くなるんだけど、ラックさんは太めのミサンガの方が似合うだろうとみんなで話し合って決めた。
青と水色は、水の一族ということで、そしてオレンジは、ラックさんの明るさから。
ネロの手元を見てみると、順調にミサンガを編んでいる。
ネロが作っているミサンガは、私が前回作った斜めラインではなく、ひし形を模様にしたミサンガ。
「ネロ、ミサンガを作ったことあるでしょ?」
「ない。」
「絶対あるでよ。」
「ないって言ってるだろ?チヒロが前回、作っているのを見て、結び方によって色が付くことを知った。だから、模様をつけることもできると思っただけだ。」
…だけじゃないよ。
普通は、そんなこと考えないんだって。
既に、自分のアレンジを加え始めている。
「だが、人に物を作ると言うのは、楽しいな。」
「なに?急に。」
「いや、チヒロはモノづくりをいつも楽しそうにやっていただろ?それを見て、気になっていたんだが、やってみると意外と楽しい。そして、気持ちがのるな。」
「でしょ?プレゼント作りって、結構楽しいんだから。」
「そうだな。」
二人で笑いながら、ミサンガを編んでいく。
疲れもあったけど、二人でしゃべりながらするミサンガ作りは、とても楽しかった。
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