308話 オリジナルのコンジェラルチェ
冷凍庫から取り出した、色とりどりのコンジェラルチェ達。
机の上に並べると、量の多さに驚いた。
私たち、こんなにたくさん、混ぜて、すりおろしてを繰り返していたんだなぁ。
頑張った甲斐があるってものだ。
「こう見ると、凄い量ね。」
デウィスリ夫人がクスクスと笑っている。
「夫人が作らせたんだからな?」
「でも三人ともノリノリで作っていたじゃない。」
ノリノリ…?
ヘトヘトの間違いではないだろうか?
結構、文句言いながら作っていたよ?
「もう、細かいことは気にしなくていいのよ?さ、レベーロルチェを作りましょう?」
あ、話を逸らした。
でも、目の前には甘いお菓子がこんなにたくさん。
作らないわけがないよね。
「コンジェラルチェが甘いから、上からかける飲み物は苦い方がいいのかな…」
「そうでもないわよ。甘いコンジェラルチェに、甘い飲み物でも、とびっきり美味しいレベーロルチェが出来るわよ?」
ボソッと言った言葉をデウィスリ夫人にちゃんと拾われてしまった。
は、恥ずかしい。
でも、そうか。
甘いものに甘い物でもいいのか…
こういう時に、とことん甘いものを食べるのもいいかもしれない。
「ネロは、どんなのにするの?」
「ん?」
今更なんだけど、ネロが一生懸命、コップにコンジェラルチェを詰めている様子…
なんか、可愛いんですけど。
「なんだ、その顔は。」
「え?どんな顔してた?」
「腹立つニマニマとした顔。」
腹立つは余計じゃない?
別に、いつもこんな顔ですけど?
そう思いながら、ネロの手元を覗き込むと、ネロの作った青と白のマーブル模様のコンジェラルチェにシュワっとした透明の液体。
「ネロ、自分のやつにしたんだ。」
可愛いとこあるなぁ。
やっぱり自分の物が食べたかったわけね。
「これが一番、食べた中では、甘いからな。」
「シュワっとしているのは、炭酸?」
「あぁ、レモン風味の炭酸らしい。」
レモン風味かぁ。
「甘いものと爽やかなレモンでちょうど良さそう。」
「当たり前だろ。」
当たり前なんだ。
「クラト公子はどんな風にしたんですか?」
「俺?俺は、これ。」
コップの中を覗いてみると、透明度の高い赤い色をした液体。
中にあるのは、クラト公子の作った物かな?
クラト公子の作ったコンジェラルチェって、中身を見ないと判別できないというか。
「この赤いやつ。お茶らしいよ。」
「赤いお茶ですか?」
「そう。茶葉にお湯をかけたら、赤になったんだ。」
「綺麗…」
「だろ?お茶の苦みがちょうどいいと思ってさ。」
コンジェラルチェをお茶のお供にするなんて。
クラト公子もやりおるな。
二人とも、黙々と作業をして、ちゃんと自分のレベーロルチェを作ったみたい。
よーし、私も。
「レモンの炭酸いいなぁ。でも、茶葉を使うのもいいし。そもそも、コンジェラルチェもどんなものにするか決まってないしなぁ。綺麗な色のコンジェラルチェがいいよね。それにモフモフのふわふわの美味しいものがいいなぁ。」
スプーンでコンジェラルチェを掬って、一口食べる。
これは、ほんのり爽やかな味。
こっちは、凄くなめらか。
それで、これは…
「あれ?他の物に比べて、固いような…」
「それは、好きな形に成型することが出来るコンジェラルチェよ。他のコンジェラルチェに比べたら、固めでしょ?形を作るにちょうどいいのよ。」
「形かぁ。」
ウーン…と悩んだ後、そのコンジェラルチェを掬う。
「それにするのね。」
「はい。これって、手で触って形を作ることもできるんですか?」
「できるわよ。はい、手袋。」
デウィスリ夫人の手の上に用意されていたものは、白いビニール手袋。
準備良すぎ。
「ありがとうございます。」
私は、手袋を受け取って、手に付け、コンジェラルチェに触れた。
「よし。」
芸術品を作り上げてやるからな。
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