307話 ネロと公子のコンジェラルチェ
「さて、そろそろ凍った頃かしらね。」
大量に作ったコンジェラルチェを冷凍庫から順次出していって、グルグルと混ぜる。
一回混ぜたことにより、さっきよりも断然混ぜやすくなっていた。
「それじゃあ、ネロちゃんとクラトちゃんのコンジェラルチェでも見てみる?」
「はい!」
目の前には、ネロとクラト公子が作ったコンジェラルチェ。
見た目は、両方とも白い塊で、そこまで変わった様子は見られない。
「見た目は、変化なしですね。」
「そうね。じゃあ、混ぜて見ましょうか?」
デウィスリ夫人から、スプーンを受け取ったネロとクラト公子は、自分が作ったコンジェラルチェにスプーンを入れて、そっと混ぜ始める。
すると、ネロの方は、白い塊の中央辺りから、色が変わり始め、混ぜたことによりマーブル模様になった。
「ネロの方、中が青色になってる。」
「ほんとね。見た目に変化が出たわ。」
白と青のきれいなマーブル模様。
「味はどうかしら?」
スプーンで掬って、口に運ぶ。
「ん。甘さが増した?」
「そうね。他のよりも味が甘いわね…なんでかしら…?これがネロちゃんの変化なのね。」
「すごいじゃん。」
ネロに言うと、ネロは気にしていない様子で、自分が作ったコンジェラルチェを一口、二口と食べ進めていく。
「次はクラトちゃん。」
クラト公子は、色の変化ではない。
混ぜている途中で、こちらも中央の方に変化が現れた。
「中央の方がドロッと溶けていませんか?」
「え、固まっていなかったってことか?」
「いいえ、食べてみて。」
デウィスリ夫人に促されるまま、そのドロッとした部分を食べてみる。
「ん…温かい?」
冷たいコンジェラルチェの中に、温かいドロッとしたコンジェラルチェが入ってる。
同時に食べると、冷たいのと温かいのが楽しめて、凄い。
「クラトちゃんの変化は、それね。」
本当に二人とも違う変化が出たなぁ。
「それじゃ、せっかくたくさん作ったことだし、次の工程に移るわよ。」
私、ネロ、クラト公子は、夢中になり、コンジェラルチェにスプーンを入れる。
「もう、食べながらでもいいから、次やるわよ。次。」
食べながらでもいいの?
それなら頑張れる。
もう疲れるのは嫌だけど。
「と、いっても好きな飲み物を選んで、コンジェラルチェにかけるだけのデザートなんだけど。」
「この上にかけるんですか?」
「そうよ?」
へぇ…アイスみたいなものの上に、飲み物をかけるんだ…
「え、熱々な飲み物でもいいんですか?コンジェラルチェが溶けてしまうんじゃ…」
「溶かしていいのよ。溶かしていくたびに味が変わっていくのが楽しめるんだから。」
へぇ…オシャレな飲み方だなぁ。
「はい。完成。」
目の前に差し出されたものは、先ほど作った白いコンジェラルチェに茶色い液体がかけられたもの。
液体がかけられたというか…液体にコンジェラルチェが沈んでいるというか。
「食べてみて。」
スプーンで、白い塊を掬う。
口に入れると滑らかな甘さと、ほんのり苦みが広がる。
コーヒーだ。
「少しの苦みと、コンジェラルチェの甘みが凄い合いますね。」
「そうなのよ。苦みと甘みのセットは、美味なのよ?」
苦みを感じることで、甘みがより甘く感じる。
「これ、ネロちゃんのを入れたら、もっと甘く感じるでしょうね。」
確かに、ネロのコンジェラルチェは、他のより断然甘い。
しかも、青と白のマーブル模様で見た目も楽しい。
「他にも、これ。」
シュワシュワとコップの中で泡が出ている飲み物の中に、黄色いコンジェラルチェが沈んでいる。
炭酸に月が沈んでいるみたい。
これ、呟きツールに呟いたら、絶対に映えるよね。
「このコンジェラルチェを飲み物に沈めるお菓子を、レベーロルチェっていうの。さ、自分の好きなコンジェラルチェと飲み物を使って、オリジナルのレベーロルチェを作りましょう。」
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