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294話 糸に願いを込めて


「さてさて、ではでは、さっそく糸の色を選んでいこうと思います。コスモス解説のネロさんと、プティテーラ解説のファイさんとアピさんです。よろしくお願いします。」

「何やっているんだ?」


テンションを上げていたら、ネロから冷めた目付きで見られました。


「いいじゃん。ちょっとくらい。」

「早くしろ。」


すみませんでした。


「あはは…それで僕たちは何をすればいいのでしょうか?」


ファイさんは、苦笑いを浮かべながら私に聞いてくる。

良いんですよ…そんなに複雑そうな顔をしなくても。


「糸の色選びを手伝って欲しいです。」

「選ぶ色は、一本でいいのでしょうか?どんなものを作るのか、イメージがあれば、糸選びの手伝いができると思うのですが。」


言われてみれば、本数は決まっていない。

むしろ、糸の本数でも、見た目が全然違うものになる。

それもそうか…

一つ作ってみようかな。

久しぶりだし。


「それもそうですね。糸を何本かいただきたいのですが。」

「いいですよ。好きに選んでください。」


うーん…

私はちらりとネロの方を向く。

ネロをイメージして、一本作ってみようか。

ネロの色は、深い青を四本と黄色が二本にしてみよう。

お試しだし、イメージと違ったら、ネロにはもう一回作ればいいしね。


「糸が六本。色の種類は二種類。それでなにを?」

「見ていてください。」


まず、六本を束ねて端を玉結びにする。

玉結びにしたところをテープで止めて、引っ張っても取れない様にする。

そして、青二本、黄色二本、青二本の順番に糸を配置する。

一番左端にある青一本を右手に持ち、その隣の糸を左手で持つ。

右手に持っている糸を左手の糸の下から通し、数字の四の形にする。

その数字の四の形の三角形の空間に、下から通した右手の糸を通しいれる。

左手の糸をそのままにして、右手の糸を上に引っ張ると、上に引っ張った糸の色の結び目が出来る。

右手に持った糸を、隣の糸と結んでいく。

それの繰り返し。


「あ…青の結び目が出来て来てますね。」

「それを繰り返していきます。」


右手に持っていた糸が、一番右まで行ったら、また左端を結びながら、一番右まで持っていく。


「青の結び目が二列に。」


そして、三本目は黄色。

黄色もどんどんと同じ要領で結んでいく。


「青いラインに黄色いラインが出来てます。すごい。」

「これを繰り返していくと、模様が出来てくるんです。今回は、一番単純な、斜めのラインができる結び方なんですけど。これ、ミサンガって言うんです。」


ミサンガ。

私の青春時代によく作ったものなんだけど。

私の周りでは、願掛けやおまじない、誓いに使われていた代物。


「みさ、んが?」

「はい。このミサンガは、いくつもの結び目が連なってできているモノなので、切れにくいんです。だから、ミサンガが自然と切れた時、願いが叶うとされていました。」

「うわぁ!コロロヴァートと本当に一緒ですね。」

「そうなんです。まぁ…ミサンガは普通の糸で作るので、コロロヴァードで作った場合、さらに切れにくくなるかもしれないんですけどね。」


切れにくい糸に切れにくいミサンガ。

願いが叶うのは、いつになるだろうか…

それでも、そう言った願掛けも面白いのではないかと思うのだ。

いつ切れるか分からない、だからこそ、願いを込めて、その願いに向けて頑張る。

大会前に、好きな人とかにミサンガを渡すんだけど…


「このミサンガの糸の色を選ぶのを手伝ってほしいということですか?」

「そうです。できた。」


しゃべりながら、手だけはしっかりと動かし、ミサンガ試作品が完成する。


「わぁ、青と黄色のラインが、いい感じですね。」

「ですよね。色が違うと、また違ったミサンガが出来るんです。はい、これはネロにあげる。」

「俺に?」


ネロの細い腕にミサンガを結び、要らない部分をはさみで切る。


「そう。試作品だけど思ったよりもよくできたし、ちゃんとネロをイメージして糸の色を選んだから。」

「あぁ…お前の言う深い青…」

「そう、ネロの色。この糸を見た瞬間に、ネロに作ろうって決めたんだよね。」


ネロの腕に巻き付いたミサンガ。

黄色がいい味を出しているな。


「似合ってます。」

「いいですね。」


ファイさんとアピさんもネロの腕のミサンガを見て、興奮気味だ。


「さぁ、色選び、付き合ってくださいね。」

「もちろんです。」


ファイさんとアピさんは、ミサンガを見ながらグッと手を握りガッツポーズをしてくれた。

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