280話 再び図書館にやってきました
再び、太陽の街シャムスの図書館に訪れる。
入り口は、受付のお姉さん。
前回はクラト公子がいたけど、今回はいない。
クラト公子が居なくても入れると言ってはいたけど…
よし、行ってみるか。
「あの、すみません。」
私は、恐る恐る受付のお姉さんに声をかけてみる。
「はい、どうかされましたか?」
「図書館の中に入りたいのですが…」
すると、受付のお姉さんが私の方をじっと見てきた。
…もしかして、何か疑われている?
「初めてのご利用ですか?」
「いや…前回は、ゲストとして招待してもらいました。」
「どなたの招待でしょうか?」
これ、名前を借りても大丈夫かな?
「えっと…」
「どなたの招待ですか?」
すみません。
クラト公子のお名前を借ります。
「火の街アリファン家のクラト公子です。」
「確認をいたします。身分を証明できるものを、お持ちですか?」
私とネロは、観光者ライセンスを受付のお姉さんに渡す。
すると、ピタリと動きを止めて、再び私たちの方を見てきた。
「あの…」
「あぁ、すみません。少々お待ちください。確認してまいります。」
「え…よろしくお願いします。」
そそくさと奥の部屋に入っていった受付のお姉さんに向かって言った。
「何だったんだろ?」
「公子は、観光者ライセンスが珍しいものと言っていただろ?それじゃないか?」
「そっか。実際、プティテーラが外交を開いてから、結構立つけど観光客ってもう来てるのかな?」
「さぁな。でも、まだ外の世界から来る人達は、プティテーラにとっては珍しいんだろうな。さっきの受付嬢も嫌悪は、感じられなかったが、珍しい物を見る目ではあったからな。」
「それは、空飛ぶ猫は珍しいから、二度見するでしょ。私もしたし。」
そう言うと、ネロが私の頭をスパンと叩いてきた。
「痛いけど?」
「猫じゃない。虎だ。」
「はいはい。」
見た目とサイズ感は完全に猫だから。
虎だって言われなければ、虎という選択肢には、いれないと思うけども?
二人で話をしながら待っていると、奥の部屋から先ほどの受付のお姉さんが出てきた。
「お待たせいたしました。確認が取れましたので、お入りいただいて大丈夫です。」
「え?」
「どうかされましたか?」
どうかしたというか…図書館に入るのに、もっと時間がかかると思っていたから…
「なにか、確認することとか…」
「アリファン侯爵家のご子息から確認を取ることが出来ましたので、入っていただいて大丈夫ですよ。」
「クラト公子?」
「はい。連絡しまして、確認が取れましたので。」
結局、クラト公子に助けられてしまったというわけか…
次に会えたら、お礼を言わないとな。
「シャムスの図書館を、またご利用になられる予定はありますか?」
「はい。もうしばらく滞在する予定なので。また、調べ物をしたいときは、来る予定です。」
「でしたら、こちらをお渡しします。」
手渡されたのは、オレンジと茶色の色をした二枚のカード。
「これは?」
「こちらは、図書館をご利用いただくための会員証になります。次回からは、受付を通さず、カードスキャンのみで図書館の中に入ることが出来ます。お二人に渡す様にと、アリファン侯爵のご子息から承っていました。」
クラト公子…
何から何まで…
「ありがとうございます。」
「そのカードに、生体認証がございます。それだけここでやって行ってもらってもいいですか?あとの個人登録については、次回ご利用になるまでに登録していただければ大丈夫なので。」
生体認証…
カードをクルクルと回すと、色が変わっている場所があった。
そこに指をあてると、カードから音が鳴る。
「これで大丈夫ですか?」
「はい。図書館に入る際は、その生体認証部分を触れながら、入口にカードをスキャンしてください。そこに触れていないと、入口は開きませんから。」
へぇ…便利じゃん。
ネロにもカードを渡し、登録を済ませる。
「それでは、行ってらっしゃいませ。」
受付のお姉さんに見送られながら、図書館の中に入った。
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