278話 滞在時間が伸びました
「俺たちは、これからやることがある。今日はここでお開きにするぞ。」
この王子、ほんとに自由だなぁ…
「そうね。急いで明日の準備と、一週間後の準備をしなくてはいけないわ。」
「あぁ、まずは、母たちに伝えなくてはならない。」
「私も、両親に話を通さないと。」
え…?
話を通すところからなの?
本当に間に合うのだろうか?
「世界中に婚約発表をしなくてはならないし…やる事は、たくさんある。」
「えぇ、でも二人でなら乗り切れる。」
「あぁ。」
またもや二人の世界…
ではないらしいけど、二人の世界に見えるでしょ。
「ラック、爆速号を貸せ。」
「え…」
「爆速号なら、セレーネギアに、すぐたどり着けるからな。」
爆速号…
あの危険な乗り物ね…
「はいはい…壊すなよ。」
「何を言っているんだ?ラック、お前も来るんだよ。」
「は?なんでだよ。」
「俺とアルビナを送った後、爆速号はどうするんだ。」
「お前らが返しに来い。」
「無理だ。これから忙しくなる。それにラックにも手伝ってもらうことがあるからな。これから作戦会議をする。ラック、さぁ、行くぞ。」
強引に話をまとめ、シン王子はラックさんを爆速号の方に引きずっていった。
「それじゃあ、私も行くわね。」
「楽しみにしています。」
「もちろん、期待していて。またね。」
アルビナ令嬢は、私たちの方に手を振りながら、シン王子たちを追いかけて行った。
「行っちゃったね。」
「そうだな。」
「一週間は滞在することが確定したけど、ネロは何かしたいことある?」
「もう一度、カナリス、ナトゥラ共に行ける時間が出来たんじゃないか?漏らしもあるかもしれない。もう一度、探索してみるのはどうだ?」
一度行ったところに、もう一度か…
「うん。アリなんじゃない。そうしよう。」
「それから、文化や歴史を知るなら、もう一度、図書館に行ってみるのもありだな。」
「うんうん。それもアリ。」
滞在時間が伸びたため、やりたいことが、どんどん湧いてくる。
「それから、あれはいいのか?」
「あれって?」
あれって何だろう…?
「だから、あれだよ。」
「いやいや…だから、あれって何?」
なんで、そんなに言い淀んでいるのかな?
「だから、コスモスの奴らや、プティテーラの人たちに…」
コスモスの人たち…?
プティテーラの人たちに…?
「もしかして、お土産のこと?」
私が伺うように言うと、ネロの顔がピクッと反応する。
お土産のことを言っていたのね。
「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに。」
「恥ずかしがってなんかいない。」
「えぇ…自分からお土産のことを言い出したくせに?」
「お前が忘れていると思っただけだ。」
はいはい…親切にどうも。
まったく素直じゃないね。
「じゃあ、お土産も探しつつ、街探索にしようか。」
「それ大丈夫なのか…?」
「今はピンと来ていなくても、実際に目にしてみたら、これだって思えるものに出会えるかもしれないじゃん。」
「ならいいが…」
ネロは、納得してくれたみたい。
「それにしても、ネロがみんなにお土産やプレゼントを贈りたいと思うなんて…なんかいいねぇ。」
「うるさい。前回買っていったとき、あいつら嬉しそうだっただろ?今回なかったら、絶対にうるさいから、買っていった方がいいと思っただけだ。」
「はいはい。そういうのは、いいから。」
「俺のことを生暖かい目で見てくるな。」
私は、暴れるネロを捕まえて、ナデナデをしながら、アルビナ令嬢たちが去っていった方を向く。
「どうかしたか?」
「ん?シン王子とアルビナ令嬢の婚約発表と婚約パーティ、うまくいくといいね。」
「俺らは、もうやることないだろ。招待されたんだ。楽しみに待っておけよ。」
「それは、当たり前じゃない。」
今度こそ、二人の婚約発表が世に知れ渡るのだから。
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